エピソード10(脚本)
〇寂れた雑居ビル
出会いは不思議
例えばその人が生まれた場所
進学先や就職先
それが変わると・・・
そう・・・
全く違った絆が生まれる
エピソード10
──新たな絆──
〇店の事務室
大宮和英「これをメインテーマ曲にしようと思うけど。どうかな?」
牛島良太「俺はゲ―ムにマッチしてると思います。瑠美はどう?」
天野瑠美「私も賛成。想像以上です」
大宮和英「了解!その他場面に応じた曲はまた考えておくよ」
天野瑠美「大宮さん。開発中のゲ―ムに関して何か意見ないですか?」
大宮和英「そうだね。ゲ―ムのスト―リ―性、RPG(ロ―ルプレイングゲ―ム)のキャラクターも素晴らしいと思う。ただ・・・」
大宮和英「終わりまで全て完璧に発案するよりも今はステージ1のみに集中したほうがいいのでは?」
大宮和英「俺たちが決めた最初の目標は、まずインディ―ゲ―ムの開発コンテストで大賞を受賞する事だろ」
大宮和英「最初に強烈なインパクトをユ―ザ―に与えれば、エンタープライスが興味を示し権利を買い取る可能性も出てくるよ」
天野瑠美「そうですね。牛島君もそれでいい?」
牛島良太「分かった。もう一度ステージ1の被写体から追及してみるね」
牛島良太「お昼だし休憩しましょう。俺、コンビニで弁当買ってきます。何かご要望ありますか?」
大宮和英「おまかせでいいよ」
天野瑠美「私も」
天野瑠美「大宮さん一度お聞きしようと思ってましたがそれって?」
大宮和英「んっ?」
大宮和英「ああ、これ・・・」
天野瑠美「既婚者・・・ですか?」
大宮和英「この前婚約したんだけど、恥ずかしい話その後婚約解消されちゃってね」
天野瑠美「えっ?」
大宮和英「未練がましい男でかっこ悪いよね」
天野瑠美「大宮さんみたいな素敵な男性でも振られる事あるんですね。いつからのお付き合いだったのですか?」
大宮和英「彼女とは大学時代バンドを組んでいてね。 俺がギターで彼女はベ―ス。当時から相性抜群でそのままずっと付き合ってた」
大宮和英「お互い初めての恋愛でね・・・その後は彼女の優しさにずっと甘えていたから神様が試練を与えたのかな」
大宮和英「だから恋愛はしばらく休憩。今はこの仕事に全力を注ぐよ」
天野瑠美「一途な恋って素敵ですね。大宮さんの事がますます好きになりました」
大宮和英「えっ?」
天野瑠美「いや・・・あの」
天野瑠美「大宮さんだといろんな意見もテキパキ答えてくれるし、牛島君がますます子供に見えちゃうなと思って・・・」
大宮和英「人の陰口は言わないほうが・・・」
大宮和英「でも確かに彼はちょっと鈍いとこあるな」
天野瑠美「やっぱ分かりますよね!」
大宮和英「分かる分かる!それに彼は・・・」
牛島良太「ただいま」
牛島良太「あれ?何か怪しいなあ」
牛島良太「ないしょ話ですか?」
牛島良太「んっ?」
〇海辺の街
日真島
〇役所のオフィス
日真島役場
倉田典子「お願いした改善点が全く直っていませんが」
高橋修平「努力はしました」
村下幸三「まあまあ二人とも落ち着いて」
村下幸三「いがみ合うのはやめましょう」
村下幸三「倉田さんも雇用期間が3ヶ月ですし、ホ―ムページ改善は諦めて毎日配信頂いている島のコラムに力を注いでは?」
村下幸三「3ヶ月なんてあっという間に終わりますよ」
倉田典子「そうかもしれませんね」
村下幸三(おっ!諦めるか?)
山路みゆき(えっ!諦めるの?)
倉田典子「村下さんがおっしゃるようにホ―ムページ改善は諦めてコラムに専念」
倉田典子「な──んて言うと思いましたか?」
倉田典子「女だと思って私をなめてます?いいですか! ギブアップするつもりは毛頭ないので必ずホ―ムページは改善して下さい」
倉田典子「改善してくれるまで毎日嫌味を言いに来ますよ」
高橋修平「無理ですよ倉田さん」
倉田典子「村下さん。この人やる気ないみたいだから担当変えて下さい」
村下幸三「えっ?」
山路みゆき「あの」
山路みゆき「私を担当にしてくれませんか?」
村下幸三「えっ!」
村下幸三「それがいい!山路君が担当してくれ」
村下幸三(こんな聞き分け悪い奴構ってられないよ)
村下幸三「と、いうことで、私たちはお昼の休憩時間ですから昼飯に行きます」
村下幸三「高橋君!行くぞ」
高橋修平「はい」
山路みゆき「早速ですけど倉田さん。ちょっと見て欲しいものが」
倉田典子「えっ?」
山路みゆき「私なりにホ―ムページを改善して新しいサイトを思案してみました」
倉田典子「これよこれ!私が要求・・・いやそれ以上の出来映え」
倉田典子「あなたのお名前は?」
山路みゆき「山路みゆきです」
倉田典子「素晴らしいよみゆき!」
山路みゆき(みゆき?)
倉田典子「あっ!私のことも典子でいいよ」
倉田典子「ねぇ連絡先教えて!友だちになろうよ」
山路みゆき「えっ?あっ!はい」
山路みゆき(友だち)
倉田典子「みゆきが作ったこんな素晴らしいホ―ムページを世の中に出さないわけにはいかないから」
倉田典子「あのバカ男どもを説得するのに少し時間はかかると思うけど」
倉田典子「必ず説得してみせるわ」
山路みゆき(今までの人生でこんなに褒められて期待される事なんてなかった)
〇ビジネス街
芸能プロダクション「F」
〇事務所
芸能プロダクション「F」庶務課
畠山庶務課所長「庶務課の仕事も慣れたかい?」
前田美里「はい」
畠山庶務課所長「退社時間だから私はお先に失礼するよ」
前田美里「お疲れ様でした」
前田美里(ここは私の居場所じゃない)
前田美里(信雄は元気にしてるかな?)
前田美里(会いたい)
前田美里(ダメだよね)
〇ネオン街
〇シックなバー
ランボ―
マスター「どうしたの?美里ちゃん」
〇事務所
前田美里「マスター。今から飲みに行ってもいい?」
〇シックなバー
マスター「お待ちしてますよ」
通話終了
マスター(さて・・・連絡するかな)
マスター「ここに来ると連絡入ったよ」
〇お台場
日の丸テレビ
〇綺麗な会議室
日の丸テレビ会議室
高力淳司「部長。急に呼び出しとは何か悪い知らせですか?」
高力淳司
日の丸テレビの豪腕プロデューサー
山下昇「君が担当しているト―ク番組だが、来月で打ち切りが決まった」
高力淳司「えっ!」
山下昇「視聴率の低迷は無視出来なくなってね」
高力淳司「後がまは決まってるのですか?」
山下昇「マリンのト―ク番組を予定してる。担当はもちろん木本プロデューサーでね」
山下昇「彼の番組は今や飛ぶ鳥を落とす勢いで視聴率を叩き出すからな」
高力淳司(はぁ?どれもマリンにおんぶにだっこの番組だよ!)
山下昇「話は以上だ!では宜しく」
高力淳司(あんな青二才に俺が負けるとは・・・)
高力淳司(木本の野郎!許せない)
〇ネオン街
〇シックなバー
マスター「いらっしゃい」
前田美里「寂しくて来ちゃった」
〇ネオン街
〇シックなバー
マスター「思いを寄せる人はもう来店してるよ」
前田美里(えっ!信雄?)
通話終了
前田美里「誰?」
マスター「美里ちゃんにどうしても会いたいらしい。 もう店の前だって」
前田美里「えっ?」
中島拓哉「お久しぶりです美里さん」
中島拓哉
芸能プロダクション「スペック」所属の売れっ子タレント兼歌手
前田美里「どうしたの?拓哉」
中島拓哉「期待してた人と違ってガッカリしたかな」
〇ネオン街
〇シックなバー
中島拓哉「聞いたよ美里さんの処遇。美里さんの経歴を無視した許せない処遇だと思うけど」
前田美里「確かに悔しいけど、今まで気を張り詰めて仕事してきたから骨休みには丁度いいわよ」
前田美里「それより何で私に会いに来たの?」
前田美里「うちのプロダクションから移籍して成功を収めた若武者がもう私に用事なんてないでしょ」
中島拓哉「美里さん」
中島拓哉「もう一度俺の担当マネ―ジャ―になってくれない?」
前田美里「えっ?冗談でしょ?」
中島拓哉「いや!真剣にお願いしてる」
前田美里「そんなこと急に言われても・・・」
中島拓哉「俺の今があるのは、新人時代美里さんが厳しく俺を指導してくれたおかげ」
中島拓哉「だけど今の俺は成長が止まってると感じるんだ」
中島拓哉「だからもう一度俺を鍛え直して欲しい」
前田美里「それって私にFを捨てて移籍しろって話だよね?簡単に返事出来る事じゃないわ」
中島拓哉「分かってる。でもどうしてもお願いしたい」
前田美里「無理よ」
マスター「美里ちゃん。俺も拓哉君の提案に賛成だよ」
前田美里「えっ?」
マスター「今の美里ちゃんは仕事に対しての意気込みが感じられない!そんな美里ちゃん俺は見たくないから」
前田美里(マスターの言うように、私にはもうFに対しての義理はない)
前田美里「・・・分かった」
前田美里「少し考えさせて」
中島拓哉「了解!いい返事を期待してるよ」
〇空
──数日後──
〇ホテルの受付
議員スピーチ会場
〇大広間
渡辺直子「以上をもちまして私のご挨拶に代えさせていただきます」
渡辺直子国会議員
〇渋滞した高速道路
〇車内
吉岡勝「先生。この後のスケジュールですが・・・」
渡辺直子「ごめんなさい。電話だから少し待って」
渡辺直子「もしもし。あなたから連絡くれるなんて珍しいわね」
渡辺直子「話はよく分かったわ!女性の職場環境改善と雇用の充実は政治家としての根幹。それが私の政治理念」
渡辺直子「女性の権利を揺るがす行動には徹底的に抗議するから」
渡辺直子「もうすぐ臨時国会の会期終了だから少しだけ待って」
渡辺直子「でもあなたがこんなに怒るなんて・・・あなたの性格まで変えてしまうその子に会ってみたいわ」
〇渋谷スクランブルスクエア
芸能プロダクション「スペック」
〇豪華な社長室
芸能プロダクション「スペック」社長室
早瀬知行「期待してますよ前田さん」
早瀬知行
芸能プロダクション「スペック」社長
早瀬知行「ここでは遠慮は無用です。あなたのキャリアを活かして思う存分暴れて下さい」
中島拓哉「美里さん。宜しくお願いします」
前田美里「了解しました」
前田美里「拓哉!容赦しないから覚悟しなさいよ」
中島拓哉「はい」
〇渋谷スクランブルスクエア
劣勢に立たされていた元「J」の女性陣
新たに手にした絆を武器に
逆襲が始まろうとしていた
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