くノ一に成りたい!

武智城太郎

第一話 乙女の憧れ(脚本)

くノ一に成りたい!

武智城太郎

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〇山並み
  緑に覆われた、神々しい山々。
  その奥深くに──

〇山間の集落
  忍びの里はあった。

〇村の広場
馬吉「あ~また的外れだな」
鹿丸「そもそも手裏剣って、命中率は大事じゃないからな」
馬吉「そうなのか?」
鹿丸「ああ、刃先にトリカブトの毒でも塗っときゃ、かすっただけで敵はイチコロだ」
馬吉「でもトリカブトって、猛毒すぎて取り扱い怖くないか?」
馬吉「ウンコ塗るんでもいいんだろ? 傷口からウンコ毒が入って破傷風に・・・」
鹿丸「そうかもしれないけど、「あの里の忍びは手裏剣にウンコ塗る」て言われるのイヤじゃないか?」
馬吉「それもそうだな」
鹿丸「おい、あれ」
鹿丸「たまに着物姿を見ると、やっぱりいい女だよな。胡蝶って・・・」
馬吉「あれで変わり者でなけりゃ、俺の嫁にするのに」
鹿丸「いやいや、変わり者でもいいから俺の嫁に──」
胡蝶(今日こそは、惣領に直談判して認めてもら うんだから!)

〇古風な和室(小物無し)
惣領「胡蝶よ。おぬし、今年でいくつになった?」
胡蝶「十五になります、惣領様」
惣領「年頃になって、さらに美しくなったな。母親譲りじゃの」
胡蝶「はあ、ありがとうございます・・・」
惣領「ところで、また縁談を断ったそうじゃな」
惣領「相手は大店の商家の長男だとか。村の若い娘たちが身悶えとったぞ」

〇山中の川
「もったいな~~い!!」

〇古風な和室(小物無し)
胡蝶「はあ・・・」
胡蝶「それで今日伺ったのは、お願いがあってのことなんですが・・・」
惣領「ふ、ふむ、なんじゃ?」
胡蝶「自分はくノ一になりたいのです!」
惣領「・・・指南役から、チラッと話は聞いてないこともないが、本気なのか?」
胡蝶「はい!! まごうかたなき本心にございます!!」
惣領「男の忍び同様の任務をこなす女忍び・・・またの名をくノ一」
惣領「さようなものになりたいとは、まったく馬鹿げとる」
胡蝶「そんなことはありません!!」
胡蝶「この里にも、唯一ながら前例があるではないですか!!」
胡蝶「伝説のくノ一、黒揚羽!!」
胡蝶「男顔負けの大活躍!! しかも絶世の美女!!」
胡蝶「強くて美しくて・・・」
胡蝶「あたしも、ああいうふうに成りたいんです!!」
惣領「むぅ・・・おぬしの両親はなんと言っとるんだ?」
惣領「おぬしの家は裕福な地主。愛娘の突拍子もないワガママを許したりせぬじゃろ」
胡蝶「父と母は──」

〇古民家の居間
「胡蝶の好きなようにしたらいいよ~」

〇古風な和室(小物無し)
胡蝶「──と言ってくれてます」
惣領「むぅ・・・そういえば、そういう夫婦だったな。あそこは」
胡蝶「お願いします!!」
胡蝶「くノ一になるべく、日々の鍛錬も欠かしておりませんから!!」
惣領「しかし指南役によると、おぬしはどこにでもおるお転婆な女子程度の身体能力だとか・・・」
惣領(鍛錬のおかげか、肉感的な体つきにはなっとるがの)
胡蝶「あたしは実践向きです!!」
胡蝶「臨機応変の判断力と冷静さがありますから!」
惣領「おぬしはまだ実践なんか経験しとらんじゃろ」
惣領「その自信の根拠はいったいどこから来るんじゃ?」
胡蝶「己のことだからわかります! 想像で!」
胡蝶「どうか自分に任務を与えて、力を試してください!!」
惣領(こりゃ、諭しても聞くまい。こやつは小さい頃から妙に頑固なところがあるから)
惣領「わかった。そこまでいうなら、隣国の領主信隆(のぶたか)様の依頼を果たしてみい」
惣領「見事成功したら、おぬしの願いを聞き届けよう」
胡蝶「まことでございますか!!」
惣領「うむ。じゃが、失敗したらあきらめるんじゃぞ」
胡蝶 「はい!! 承知いたしました」
惣領「任務の内容は、直接信隆様から聞け。極秘じゃからな」
惣領「念のために言っとくが、とうぜん危険が伴う任務じゃぞ」
胡蝶 「は~い♪」
惣領(万が一にも成功するはずのない無茶な任務じゃ)
惣領(すぐに怖気づいて逃げ帰って来るじゃろう)
惣領(まさかあやつに、〝黒揚羽の真実〟を教えるわけにもいかんし・・・)

〇古民家の居間
胡蝶「さて、モグモグ・・・」
胡蝶「任務遂行にもっとも必要なのは何かというと──」
胡蝶「仲間ね」
胡蝶「〝一人忍びに良いことはなし〟って、忍び歌でもいってるわ」
胡蝶「黒揚羽も、いつも単独で行動してたわけじゃないらしいし」
胡蝶「頼りになる仲間を探さないと」
胡蝶「最低でも一人、いや二人は」

〇村の広場
鹿丸「いいぜ、いっしょにやっても」
胡蝶「ほんとに!? 危険が伴う任務らしいんだけど」
馬吉「その代わり、今から俺たちと・・・」
鹿丸「楽しい秘密の遊びを・・・」

〇山間の集落

〇集落の入口
光吉「ほう、胡蝶がぼくと組みたいと」
胡蝶「うん。危険が伴う任務らしいんだけど」
光吉「詳しいことは、静かな場所で二人でまぐわいながら──」

〇山間の集落

〇けもの道
胡蝶「ダメだ。もっと信頼のおける仲間でないと・・・!」
胡蝶「そうすると、あいつくらいしか・・・」

〇寂れた村
作蔵「断る」
胡蝶「そこをなんとか。幼馴染でしょ」
作蔵「俺は忍び稽古なんて、とっくに飽きてるんだ」
胡蝶(飽きたっていうか、運動神経ゼロで落ちこぼれてたような・・・)
作蔵「今は新工夫道具の開発で忙しくてな」
胡蝶(またロクでもないもの作ってるのね)
作蔵「おまえこそ、まだくノ一なんかになるとか言ってんのか?」
作蔵「いつまでも幼稚な女童気分で・・困ったもんだ」
胡蝶「何にも困らない! あたしは本気だって言ってるでしょ!」
作蔵「忍び働きなんか、体力バカとやればいいだろ」
胡蝶「みんなに断られちゃって・・・」
作蔵「いったい、どんな任務なんだ?」
胡蝶「仔細は、まだあたしも・・・ 隣国の信隆様の依頼だって」
作蔵「信隆様の!? それは例のあの依頼だろ!」
胡蝶「知ってるの? 極秘のはずなんだけど」
作蔵「内容は知らんが、成功したら莫大な報酬がもらえるというのは噂になってる」
作蔵「仕方ない。幼馴染の頼みは断れん」
胡蝶「ほんと!? 恩に着るわ、作蔵!」
作蔵「ただし、取り分は半々だ。新工夫道具の開発資金が必要だからな」
作蔵「だが俺たちだけではな。もう一人くらい、いたほうが良かろう」
胡蝶「心当たりがあるの!? 助かるわ。だれ?」
作蔵「又郎だ。知ってるだろ」
胡蝶「え? あの人? 話したこともないけど。気持ち悪くて・・・」

〇草原の一軒家
作蔵「又郎、いるか?」
又郎「グヒヒ・・・」
作蔵「重要な任務がある」
又郎「グヒヒ・・・」
作蔵「そうだ、毒物使い放題だ」
作蔵「こいつは毒の扱いなら、里で一番なんだ」
胡蝶「そ、そうなんだ」
作蔵「成功すれば報酬が出る。お前も所帯を持ったばかりで銭がいるだろ」
胡蝶「え? 結婚してるの?」
夕顔「あなた~あら、お客さま?」
胡蝶「ヒイッ!! 少女監禁!!  警察に通報!!」
作蔵「おまえも、若くて可愛い嫁さんに楽させたいだろ」
胡蝶「せ、戦国の世だからいいのか・・・」

〇草原の道
胡蝶「方角は西。隣国のお城まで、明日のお昼には着くはずね」
胡蝶「作蔵、その荷物はなに?」
作蔵「俺が作った新工夫武器だ。どんな任務でも役に立つだろう」
又郎「グヒヒッ・・・」
胡蝶 「それでは、しゅっぱーつ!!」

〇黒
  つづく
  次回 
  第二話 人魚の肉
  
        お楽しみに!

次のエピソード:第二話 人魚の肉

コメント

  • 「くノ一に成りたい!」は、コメディ要素がありながらも、女忍者を目指す胡蝶の熱意に感動する作品です。胡蝶がくノ一になるために、様々な困難に立ち向かい、仲間と協力して任務に挑む姿は、とても勇気にあふれています。また、キャラクターたちの掛け合いや、ちょっとしたギャグも笑いを誘います。全体的に、軽快で楽しい雰囲気があるので、読んでいてストレスがなく、とても楽しめました!

  • いわゆろ王道的な物語設定に、笑いの要素が散りばめられていて楽しいです!個性豊かな3人組で、何をしでかすのかワクワクですね!

  • お供の二人がどんな毒や道具を駆使して胡蝶をサポートするのか楽しみです。自信満々の胡蝶のお手並み拝見ですね。それにしても、黒揚羽の正体はまさか・・・。

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