チャリキルアニキの大車輪

快亭木魚

第九輪 九輪草と決着点(脚本)

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快亭木魚

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〇研究所の中枢
ティーチャーイチリ「チャリキルとマキの動きを映像で確認して気づいたことがある」
ティーチャーイチリ「マキがフーパーと交戦した際にフーパーの輪を跳ね返した瞬間があった」

〇怪しい実験室
フーパーフカダ「投げたフラフープが・・・」
フーパーフカダ「自分の手元に戻ってきた!どういうこと?手を触れずに攻撃を跳ね返せる?」
マキ「良かった!フラフープよけれたみたい」
ティーチャーイチリ「この時、マキは自覚してないが確かにフラフープを跳ね返しているように見える」
ティーチャーイチリ「映像を見返して気づいたのだが」
ティーチャーイチリ「「跳ね返している」というよりは同じ軌道で「巻き戻している」」

〇シックな玄関
マキ「どうなってんのそのチャリ?触るよ」
チャリキルアニキ「マキに会ったら元気出てきたぜ」
ティーチャーイチリ「直前までビースト化していたリキが理性を取り戻した。妹の声を聞いて我に帰ったのもあるが」
ティーチャーイチリ「マキが車輪に触れた瞬間に更に自我を取り戻している」
ティーチャーイチリ「マキが触れることによってリキの状態を「巻き戻している」のだ」

〇大広間
マキ「兄!頑張れー!」
チャリキルアニキ「おお!背中からチャリパワーが全身に巡って行く!」
ティーチャーイチリ「この時もそうだ。マキはリキの背中上が不安定過ぎてまともにチャリを漕ぐことが出来ていない」
ティーチャーイチリ「にも関わらずリキは元気を取り戻している」
ティーチャーイチリ「リキ本人はチャリパワーだとか言っているが、ようは元気を取り戻している」
ティーチャーイチリ「マキが触れることによりリキをより良い状態に「巻き戻している」んだ」

〇後宮の庭
チャリキルアニキ「巻き戻せる力?」
マキ「味方に関しては悪い状態から良い状態に巻き戻す。敵に対しては攻撃をしてくる前の段階に巻き戻す」
マキ「って感じのことが少しだけ出来るみたい」
センシャレイ「私の弾丸も巻き戻したというのか・・・!」
センシャレイ「もう一度試してやる!」
マキ「撃ってきた!巻き戻す!」
センシャレイ「はっ!弾丸が届いてない!巻き戻されたのか!」
センシャレイ「素晴らしい。ぜひエキスパンズに迎え入れたい!」
センシャレイ「命名!『マキ↩︎モドセル』!」
マキ↩︎モドセル「勝手に命名すんな!」
センシャレイ「マキ↩︎モドセル!エキスパンズに来い!」
マキ↩︎モドセル「嫌だ!断る!」
マキ↩︎モドセル「兄!かなり疲弊してるから元気な状態に巻き戻すよ!」
チャリキルアニキ「おお!マキがチャリに触れることで元気が戻ってきた!」
チャリキルアニキ「サンキューマキ!」
  チャリーン
センシャレイ「無駄にベルを鳴らしおって!」
チャリキルアニキ「あんたに危険が迫ってるとベルで警告してやったのさ!」
チャリキルアニキ「行くぞ!チャリ技の集大成!」
チャリキルアニキ「大車輪!」
チャリキルアニキ「全身のチャリを回して風を起こし!更に自分自身も大回転させて竜巻を発生させる!」
チャリキルアニキ「あらゆるものを吹き飛ばす!これが!チャリキルアニキの大車輪!」
センシャレイ「まさか!全身の戦車ごと私を吹き飛ばす気か!」
センシャレイ「うわー!」

〇後宮の庭
センシャレイ「うう・・・」
ピアノトイ「気がついた?お姉ちゃん、結構な勢いで吹っ飛ばされたね」
ピアノトイ「見て。お姉ちゃんが倒れた場所に九輪草(くりんそう)が咲いてる」

〇洋館の一室
トイ(小学生)「お姉ちゃん!お花、プレゼントしてあげる」
レイ(小学生)「あら珍しい。ありがとう!」

〇後宮の庭
ピアノトイ「私があげた九輪草を植えてくれていたんだね」
センシャレイ「・・・」
ピアノトイ「お姉ちゃんは本質的には昔から変わってないと思う」
ピアノトイ「厳しい表情の中に優しさがある。声からも全身の戦車からもそんな音がする」
ピアノトイ「だから人が集まってくる」
騎士姿の下級信者「総帥!大丈夫ですか?」
センシャレイ「心配ない。生きておる」
信じやすい男下級信者「センシャ様!ご無事で何より!」
熱心な女下級信者「センシャ様にもしものことがあったら私生きていけません!」
軍師っぽい下級信者「私の計略が不甲斐ないがゆえに危険な目にあわせて申し訳ございませぬ」
センシャレイ「いやお前の(全く役立たない)計略は関係ない。(軍師気取りの無職の)お前はいちいち謝らなくてよい」
軍師っぽい下級信者「なんとありがたいお言葉!センシャ様万歳!」
ピアノトイ「既にこれだけ心配してくれる人達がいるんだから」
ピアノトイ「組織に入ることを拒むマキを無理矢理勧誘しないで欲しい」
センシャレイ「・・・そうだな。今回は見逃してやろう」
ピアノトイ「お姉ちゃんの予言は当たってたんだよ」
ピアノトイ「確かにチャリキルアニキさんは幹部を倒していく『害悪をもたらす者』だった。お姉ちゃんにとっては」
ピアノトイ「そしてマキは『幸福をもたらす者』だった。それはお姉ちゃんにとっても私にとっても」
ピアノトイ「「人を殺してしまう」という不幸から逃れることができたんだよ」
ピアノトイ「お父様を殺しかけた頃より更に強くなってるお姉ちゃんは」
ピアノトイ「マキが巻き戻さなかったらチャリキルアニキさんを殺してたと思う」
ピアノトイ「マキは文字通り幸福をもたらしてくれたんだ」
センシャレイ「・・・仕方ない。今回はそういうことにしといてやろう」
軍師っぽい下級信者「ああセンシャ様!なんと素晴らしいお方・・・!」
チャリキルアニキ「あの軍師っぽいオッサン、首輪がとれてるのにずっとセンシャ様センシャ様だな!」
センシャレイ「お前は首輪の力で皆が私の言うことを聞いていると思っていたのか?」
センシャレイ「違うぞ。皆心からしたってくれているのだ」
センシャレイ「人は輪に入らずにはいられない」
センシャレイ「社会の輪の中に入れず苦しんでいる者がどれだけいると思う?」
センシャレイ「見捨てられていると感じている者、孤独を感じている者は無数にいるのだ」
センシャレイ「私は孤独にとらわれている者達を救っている」
チャリキルアニキ「俺達きょうだいはあんたに救われたかねえよ」
センシャレイ「お前達きょうだいもいずれは輪に入りたくなるはずだ」
チャリキルアニキ「ねえよ、それは」
マキ「強引に人をさらうような奴らの輪には絶対入りたくない」
チャリキルアニキ「二度とうちの妹に手を出すんじゃねえ」
チャリキルアニキ「次はただじゃおかねえぞ」
チャリキルアニキ「行こうぜマキ」
「・・・うん」
センシャレイ「今回は見逃してやる」

〇朝日
チャリキルアニキ「やっとエキスパンズのアジトから外に出ることが出来たぜ。もう朝だ」
チャリキルアニキ「ってマキ!しれっと元の姿に戻ってる!」
マキ「ディスク引っ込めー引っ込めーって念じたら何とかなったよ」
チャリキルアニキ「マジか。俺はまだチャリをコンパクトに駐輪するの苦手なんだよなあ」
トイ「おーい!」
マキ「トイ!」
トイ「このたびはうちの姉が迷惑をかけて本当に申し訳ございませんでした」
チャリキルアニキ「君が謝るこたぁねえよ!助けてくれたんだし!」
マキ「マジで助かったよトイ、ありがとう!」
トイ「いえいえ。お詫びにキルストが社会生活に溶け込む方法教えます」
チャリキルアニキ「そいつはありがトイ!」

〇後宮の庭
ティーチャーイチリ「リキとマキは去ったか・・・」
センシャレイ「まったく。お前の元教え子は散々荒らしてくれたな」
ティーチャーイチリ「ダメージはあったが驚くほど収穫もあったよ。沢山新しいデータがとれた」
センシャレイ「ちゃんと次の研究に活かせよ」
ティーチャーイチリ「ああ、やるさ。いやしかし・・・本当に刺激的だった。君とはじめて会った頃を思い出すよ」

〇谷
  数年前。レイとイチリがはじめて会った時。
イチリ「ふぅ。やっと着いた」
イチリ「ここが歪んだ気、歪気(エキ)が蔓延する歪気の谷だ」
イチリ「歪気を浴びれば神秘的な力が手に入ると言われているが・・・」
イチリ「精神が崩壊し人ではなくなってしまう者も多くいると言う・・・」
イチリ「さあどうしたものか。うかつに近づけない」
レイ「沢山の機器を抱えているな。研究者か?」
イチリ「ああ。元教師だが研究者の血が騒いでね。最近は神秘の力を研究している」
イチリ「イチリだ。よろしく」
レイ「私はレイだ」
イチリ「君は何者だ?この谷は危険だぞ」
レイ「承知の上さ。研究者よ、その知識を見込んで頼みがある」
レイ「私に協力してくれ。私の勘が信頼できる者だと判断している」
イチリ「例えば君が歪気を浴びて正気でいられるなら協力してやってもいいが」
レイ「言ったな?」
  全てのはじまりがいま明かされる。
  次回、最終回!

次のエピソード:第十輪 十輪十色の大団円

コメント

  • まさかマキもワキルスト!しかもヒーラーだったとは驚きです!

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