チャリキルアニキの大車輪

快亭木魚

第十輪 十輪十色の大団円(脚本)

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快亭木魚

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〇谷
  数年前。レイとイチリが出会った頃。
イチリ「これ以上進むのは危険だ」
イチリ「この谷は歪んだ気、歪気(エキ)の濃度が濃い」
イチリ「歪気を浴び続ければ必ず身体に変化が起きる」
イチリ「肉体はモノと融合し精神は崩壊し人ではなくなる可能性だってある」
イチリ「あ!人が忠告しているのに聞かず歪気の中に入っていく!」
レイ「確かに歪んだ気だ。おかしくなるのもうなづける」
レイ「しかし私が体験した環境の歪みに比べれば・・・大したことはない」
イチリ「歪気を浴びても平気なのか?」
レイ「私は既に何度も歪気を浴びている」
レイ「足を見ろ。戦車が出てきた。私が着こなすのは戦車のようだ」
イチリ「信じられん!歪気を浴びて正気を保っているとは・・・」
レイ「歪気に耐えたぞ。約束どおり私に協力しろ」
イチリ「降参だ。協力しよう」
イチリ「戦車を身にまとう現象にも興味がある」

〇研究装置
ティーチャーイチリ「歪気の成分を研究しキルスト光線を開発することに成功した」
センシャレイ「さすがだ。教師を辞めてまで研究したかいがあったな」
ティーチャーイチリ「この研究が人類を一段階上の存在に導くと信じている」
ティーチャーイチリ「歪気は人の欲望に反応し身体に変化を与える。コントロールが難しく危険なものだ」
ティーチャーイチリ「歪気の成分から作ったのがキルスト光線。この垂直に伸びている光線だ」
ティーチャーイチリ「キルスト光線は歪気よりは安全で扱いやすい」
ティーチャーイチリ「そしてこの光線を浴びた者は「輪」に執着するようになる。そう設定した」
ティーチャーイチリ「成功率はまだ低いがうまくいけば輪を操るワキルストになれる」
ティーチャーイチリ「フウとジョーは成功した」
フカダフウ「フープを自在に操れるようになって最高の気分です」
センシャレイ「フカダフウ。ワキルストの世界へようこそ。フーパーフカダと命名しよう」
フカダフウ「ありがとうございます」
スダジョー「本官は手錠を操れるようになった模様、どうぞ」
センシャレイ「素晴らしい。命名、テジョーザポリス!」
スダジョー「サンクス、どうぞ」
センシャレイ「我々はこのキルスト光線を使い、輪を拡大していく!」
センシャレイ「私、イチリ、フーパー、テジョー。この4人が初期メンバーだ」
センシャレイ「組織名はもう決めてある」
センシャレイ「歪気をキルスト光線にして自在に操る「歪気のエキスパート」になる意味と」
センシャレイ「仲間の輪を「拡大する」、「エキスパンド」の意味をかけ合わせた」
センシャレイ「「エキスパンズ」だ!」
ティーチャーイチリ「え、組織名までもう決めてるの?この人怖」
スダジョー「エキスパンズおもろ、どうぞ!」
フカダフウ「いいです!その組織名!」
フカダフウ「独自の挨拶も作りましょうよ!ワキルストだから」
フカダフウ「「輪を着る輪を着る輪を尊ぶ」ってどうですか?」
センシャレイ「採用!」
フカダフウ「やったー!」
ティーチャーイチリ「うわ、こうやってあっさり決まっていくもんなんだヤバ」

〇後宮の庭
ティーチャーイチリ「懐かしい・・・。エキスパンズ結成の頃・・・」
ティーチャーイチリ「数年でここまで拡大させたのは見事だ」
ティーチャーイチリ「って総帥いねー!」
ティーチャーイチリ「あの人、結成から今に至るまでずっとマイペースだな!」

〇川に架かる橋
  チャリキルアニキがエキスパンズをこらしめてから数日後・・・。
リキ「よし!今日もチャリで大学から無事に帰ってきたぜ」
リキ「いやあでも・・・普段は全身のチャリを隠しながらの生活は・・・むずむずすんなあ」
マキ「よ!兄!浮かない顔してるじゃん」
リキ「マキ!お前は変わらないなあ!」

〇明るいリビング
リキ「全身がムズムズしてディスクを無性に出してー!ってなる時ない?」
マキ「あんまりないなあ。兄はそんなに常にチャリを着てたいの?」
リキ「ああ、そうだよ。駐輪!」
チャリキルアニキ「チャリ着る男!チャリキルアニキ!」
マキ「変身後の決め台詞まであるじゃん!」
チャリキルアニキ「いやあ〜やっぱりスッキリするんだよなあ、この格好の方が」
マキ「私は普通の格好のままでもムズムズしないから、やっぱり人によるんだね」
マキ「そうだ!見せたいモノがあるから今日来たんだ」
チャリキルアニキ「おいおい!髪の毛の間からするっとディスク出すじゃん!」
マキ「兄もするっと全身にチャリ着るでしょ。同じだよ」
マキ「巻き戻し能力の応用でさ。過去の記憶を映像にしてディスク保存できるようになった」
チャリキルアニキ「何それ!すごすぎるだろ」
マキ「兄ならディスクをメガネにすれば観れるはず」
チャリキルアニキ「マジか。ってかマジだ!ディスクメガネに映像が映し出されてるぅ!」
チャリキルアニキ「チャリキルになった俺を見てマキが驚く場面だ!忠実に再現してるなあ」
マキ「今回の騒動をまとめて映像化したから」
マキ「タイトルは『チャリキルアニキの大車輪』!」
チャリキルアニキ「いいじゃん!でも再現映像で観る自分、ちょっと小っ恥ずかしい!」
マキ「今さらテレんなって!」
マキ「じゃ!私はライブがあるんでもう行くね!バーイ」
チャリキルアニキ「行っちまった!あいつ忙しいのによく来てくれたな」
チャリキルアニキ「まあ無事に日常に戻れて何よりだ」
チャリキルアニキ「一人一人持っている輪が違う。十人十色、いや十輪十色だ」
チャリキルアニキ「マキはマキの輪で、俺は俺の輪で生きていくんだろう。それを妨害させはしねえ」
チャリキルアニキ「む!電話だ。この番号は・・・」
ティーチャーイチリ「やあリキ!元気かい?」
チャリキルアニキ「先生!俺はエキスパンズには入らなねえと言ったはずだぜ!」
ティーチャーイチリ「いや今日の話はエキスパンズとは関係ない」
ティーチャーイチリ「個人的に君たちきょうだいに迷惑をかけたお詫びをしたいのさ。元教師として責任を感じてるんだ」
ティーチャーイチリ「今から言う場所に来てくれないか?」
チャリキルアニキ「うーむ・・・」

〇海岸の岩場
リキ「こんなひとけのない海岸に呼び出すとはよ!どういう魂胆だよ?」
イチリ先生「よく来てくれた。まあお詫びを受け取ってくれ」
リキ「何だよこの封筒は!」
リキ「え!おいおい何だヤバい数の札束が入ってるぞ!?」
イチリ先生「お詫びだ、受け取ってくれ」
リキ「いやいや怪しいぜ!金になんか細工してるんじゃねえか?」
イチリ先生「まあ疑うのも無理はないな。だが心配しなくていい」
イチリ先生「本物の札束だし私のポケットマネーだ」
リキ「そうだとしても!簡単には受け取れねえ。なんか裏があるんじゃねえか?」
イチリ先生「さすがの察しの良さだ」
イチリ先生「実は君にちょっとした仕事を頼みたい。この金はその仕事の報酬も兼ねている」
リキ「仕事だと?」
イチリ先生「配達のバイトで生活費をまかなっていることは知ってる」
イチリ先生「仕事一案件につき君が配達バイトで一か月で稼ぐ金額の倍を払おう。悪くない話だろう?」
リキ「ちきしょう!金欠なのもお見通しかよ!」
イチリ先生「む!そろそろ来る!」
ティーチャーイチリ「全身にチャリを着て戦闘体勢に入ってくれ。この海岸は人が通らないからチャリ姿を見られることもない」
リキ「おいおい?一体何が来るってんだよ?」
ティーチャーイチリ「海からコーヒーが飛んでくるぞ!よけろ!」
リキ「あぶねー!熱っ!なぜ海から熱々のコーヒーが?」
ティーチャーイチリ「チャリメガネを使うんだ!敵の姿が見えるはず!」
リキ「仕方ねえな。駐輪!」
チャリキルアニキ「チャリキルアニキ!チャリメガネをかける!」
チャリキルアニキ「うわ!海の中に全身マグカップを着た変態がいる!」
マグカップガイ「何だよお!俺の姿が見えてんのかよクソ!マグいぜこいつは」
ティーチャーイチリ「奴はマグカップガイ。食器を着るショッキルストだな」
チャリキルアニキ「食器を着る奴までいるの?」
ティーチャーイチリ「トイピアノを着るピアノトイは楽器を着るガッキルスト。キルストにも色々種類がある」
ティーチャーイチリ「マグカップガイは組織に属さない野良のキルストだ」
ティーチャーイチリ「歪気を直に浴びて変化している為、ワキルストより凶暴だ。我々ワキルストにとっても厄介な奴さ」
チャリキルアニキ「仕事ってのはこいつと戦うってこと?」
ティーチャーイチリ「その通り!野良キルストをこらしめて悪さが出来ないようにして欲しい!」
ティーチャーイチリ「最近このあたりで若い女性にコーヒーをかけて更に後ろから抱きつくという事件が多発している」
ティーチャーイチリ「犯人はお前だな?マグカップガイ!」
マグカップガイ「マグマグマグぅ!うるせえこの野郎!」
マグカップガイ「俺はマグわいてえんだよ!熱くほとばしった俺のコーヒーをかけてマグわいてえだけだ!」
チャリキルアニキ「危険な野郎だ。ほおっておくわけにはいかねえな」
ティーチャーイチリ「リキ!引き受けてくれるか?」
チャリキルアニキ「ちょうど全身のペダルを漕ぎたかったところだ。引き受けるしかあるめえよ!」
マグカップガイ「なんだこの変態チャリ野郎!喰らえ!」
チャリキルアニキ「オラァ!」
マグカップガイ「マグぅ?チャリの回転の風圧でコーヒーをかき消しただとぅ!」
ティーチャーイチリ「さすがリキ!私の元教え子!」
  チャリーン
マグカップガイ「野郎!ベルを鳴らしやがって!」
チャリキルアニキ「てめぇの身に危険が迫ってると警告してやってるのさ!」
マグカップガイ「マグうるせえこいつ!俺のマグカップナックルを喰らえ!」
マグカップガイ「マグぅ?」
マグカップガイ「マグヤベぇ!チャリの車輪で止められた!」
チャリキルアニキ「ジャンプチャリキック!」
マグカップガイ「うぎゃあ!」

〇ライブハウスのステージ
マキ「聴いてくれてありがとう!」
トイ「マキ!今日の歌、いいよ!」
トイ「すごくエスプレッシーヴォ!表情豊かだ」
マキ「今日はライブ前に元気が出る人と会ってきたからね!」
マキ「次の曲は新曲です。私が慕ってる人をイメージして作りました」
マキ「聴いて下さい。『チャリキルボーイ』」
マキ(兄!兄が助けてくれたおかげで今日もこうして元気に歌えてるよ!)

〇海岸の岩場
マグカップガイ「強い!チャリ野郎!てめぇはマグで何もんなんだ?!」
チャリキルアニキ「俺か?俺は・・・」

〇海岸の岩場
ティーチャーイチリ「彼こそが」

〇ライブハウスのステージ
マキ「兄こそが」

〇海岸の岩場
チャリキルアニキ「俺こそが」
チャリキルアニキ「チャリキルアニキ!」
チャリキルアニキ「さあ!チャリキッていくぜ!」

〇朝日
  MOKUGYO GAMES presents
  KAITEI MOKUGYO TapNovel STORY
  『チャリキルアニキの大車輪』
  出演
  チャリキルアニキ  リキ
  マキ↩︎モドセル  マキ
  センシャレイ  センダレイ
  ティーチャーイチリ  イチリ先生
  フーパーフカダ  フカダフウ
  テジョーザポリス  スダジョー
  ミツワトライク  ミツワトライクオ
  ヨンリンクノウ  クノウシロウ
  ピアノトイ  センダトイ
  シナリオ・演出 快亭木魚
  制作ツール TapNovel Maker
  スペシャルサンクス 読んで下さった皆様
チャリキルアニキ「最後まで読んでくれて」
マグカップガイ「マグありがとう!」
マキ「え、お前が言うの?」
マグカップガイ「マグ無言でチャリキルアニキに蹴られたー!」
チャリキルアニキ「あらためてチャリキルアニキより」
チャリキルアニキ「最後まで読んでくれてチャリがとう!」
マキ「最後までチャリ!」
チャリキルアニキ「元気でな!」
マキ「『チャリキルアニキの大車輪』完!」

コメント

  • ああ、終わっちゃった……
    次に何着る人が出てくるんだろう、とワクワクしながら読ませていただきました!
    もっと読みたかったです!
    めちゃくちゃ楽しかった〜😆
    素敵な時間をありがとうございました!!

  • マグカップガイ😆最終話で終わらせるにはもったいないキャラでしたね。
    最終話まで熱い展開で面白かったです。お疲れ様でした。

  • ㊗️完結🥳最高のエンディングでした🌟
    1話目の衝撃を10話もキープし続ける創作力、本当にすごいと思いました。
    ありがとうございました🙌

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