チャリキルアニキの大車輪

快亭木魚

第四輪 四輪駆動の怪男児(脚本)

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快亭木魚

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〇山道
  3か月前
リキ「もうすぐだ!張り切って漕ぐ!」
マキ「兄!速いって!チャリを漕ぐのもう疲れたわ!」
リキ「あと一息だ!丘の上から見える景色を見せてやりたいんだ」
マキ「都内からずっと漕ぎっぱなしでよく疲れないよな」
リキ「食料を配達するバイトでいつもチャリを漕いでるからな!」
マキ「よし着いた!」

〇海辺の街
マキ「おおおおー!いい景色だ!」
リキ「だろ?自転車を漕げばこの景色まであっという間にたどり着ける!」
リキ「チャリ最高!」
マキ「兄はさ。なんでそんなにチャリが好きなん?」
リキ「チャリはさ・・・」
リキ「ペダルを漕ぐことで前に進める」
リキ「自分の力で人生を前に進めてる感じがするんだ」
マキ「へえ〜!カッケーこと言うじゃん!」

〇地下の避難所
チャリキルアニキ「ぐわあ!巨大車輪に!押しつぶされる!」
ティーチャーイチリ「リキ!我々の輪に入れ!」
ティーチャーイチリ「我々と共にワキルストの輪を世界中に広げるんだ!それが車輪の下じきにならない生き方!」
チャリキルアニキ「まっぴらごめんだ!」
チャリキルアニキ「ぐわあああ!」
マキ「兄!気を確かに持て!チャリキッていくんだろ?」
マキ「「ペダルを漕ぐことで前に進める」って自分で言ってたじゃないか!」
マキ「身体中のペダルが止まってるぞ!」
チャリキルアニキ「そうだ!巨大車輪の圧倒的重さで全身のペダルを漕ぐことを忘れていた!」
チャリキルアニキ「俺は!全身のペダルを!漕ぐ!」
マキ「すごいぞ兄!全身のペダルを漕ぐことで各チャリのホイールが回り風を起こしている!」
マキ「ティーチャーの巨大車輪をちょっとずつ押し返している!」
チャリキルアニキ「チャリの回転で風を起こし巨大な車輪を押し返す!」
チャリキルアニキ「チャリ扇風機だ!」

〇地下の避難所
チャリキルアニキ「おらあ!」
マキ「やったぞ兄!巨大車輪から脱出した!」
ティーチャーイチリ「くそ!私としたことがバランスを崩して倒れるとは!」
チャリキルアニキ「見たかよ先生!車輪の下から脱出してやったぜ!」
ティーチャーイチリ「全く・・・反抗的な生徒だよ」
チャリキルアニキ「逃げるぞマキ!椅子ごとお前を連れていく!」
マキ「ええー!」
チャリキルアニキ「配達バイトの経験を活かす技!妹を椅子ごと奪って走る」
チャリキルアニキ「ウーバーイースだ!」
ティーチャーイチリ「待て!また巨大車輪で踏み付ける!」
ティーチャーイチリ「速い!こちらが体勢を立て直す最中にもう出て行った!」
センシャレイ「愚か者!2人とも逃すとは何事か!」
ティーチャーイチリ「申し訳ございません」
センシャレイ「全ワキルストに告ぐ!チャリキルとその妹を捕らえよ!」
センシャレイ「2人を捕らえた者には金の輪を与える!」
ミツワトライク「今度は逃がさねえぞチャリキル!」
テジョーザポリス「了解。これより本官はマルチャリの捕獲に向かう。どうぞ」
クノウ「リキ逃げたのか!あの野郎!俺が折角誘ってやったのに!」
クノウ「キルスト光線をもっと浴びて!俺は真のワキルストになって!必ずリキを捕まえてやる!」
クノウ「先生!俺に光線を当ててくれ!」
ティーチャーイチリ「本気か?クノウ!」
クノウ「本気だ!先生!俺は今こそ小さい頃からの思いを実現させる!」

〇教室
  クノウ、小学生時代
イチリ先生(数年前)「おめでとう。君達はもうすぐ卒業する」
リキ(小学生)「卒業しても一理ある先生のことは忘れねえぜ!」
クノウ(小学生)「先生は一かなり理解ある日だったよ!ありあとー」
イチリ先生(数年前)「ありがたいことを言ってくれる生徒達だ。誇らしいよ」
イチリ先生(数年前)「君達は今後社会という巨大な車に乗る」
イチリ先生(数年前)「車から落ちて車輪の下じきにならないよう願っているよ」
リキ(小学生)「縁起でもねえ!車に轢かれるかもってことか!」
クノウ(小学生)「俺は四駆が好きなんだ!早く免許取って運転する側になる!」
イチリ先生(数年前)「ヘッセの『車輪の下』を読むといい・・・車輪は比喩だ」
イチリ先生(数年前)「車の事故だけでなく・・・人生は困難の連続だ」
イチリ先生(数年前)「勉強、仕事、友達や恋人や家族との関係、競争につぐ競争、事件事故や病気に天災」
イチリ先生(数年前)「あらゆる場面で挫折はつきものだ。君達が車輪を操れる側になることを祈っているよ」
クノウ(小学生)「俺は車を乗りこなしてやるぜ!」

〇地下室
クノウ「俺は!車を乗りこなす!車輪を自在に操る!」
クノウ「ウオオオ!俺は!キルスト光線を沢山浴び!リキを超えるワキルストになるんだ!」
ティーチャーイチリ「クノウ!急激に大量のキルスト光線を浴びるのは危険だ!」
クノウ「止めるな先生!俺は!真のワキルストになるるるるーん!」

〇薄暗い廊下
チャリキルアニキ「オラァ!漕いで前進!漕いで前進!」
マキ「兄すげえ!私を荷台に乗せたままチャリを漕ぐなんて!」
チャリキルアニキ「ぜぇっぜぇっ!流石に疲れたぜ。ちょっと休憩」
マキ「お疲れ様!」
チャリキルアニキ「チャリケンで今輪っかをほどいてやる!」
マキ「よしほどけた!動ける!ありがとう兄!」
チャリキルアニキ「兄たる者、妹を助けてやらねえとな!」
マキ「カッケーこと言う!」
チャリキルアニキ「静かに!何かが近づいてくるぞ!」
マキ「獣のような鳴き声!」
チャリキルアニキ「来るぞ!」
チャリキルアニキ「クノウ!クノウなのか!全身に車を着ている!」
ヨンリンクノウ「俺はばば四駆が好きなんブォーンオンオン」
チャリキルアニキ「クノウ!お前、ヨンリンクノウになっちまったのかよ!」
ヨンリンクノウ「リキオーンオン・・・お前を捕まえブォーブォーンオンオンオンオン」
マキ「しゃべりが車と化してる!目もイッちゃってるしかなりやべえよこいつは!」

〇地下の避難所
ミツワトライク「ヨンリンクノウになったあいつがチャリキルと接触した」
ティーチャーイチリ「2人とも私の教え子だったよ」
ミツワトライク「見たところクノウは正気を失っているように見える」
ティーチャーイチリ「ワキルストとは輪を操るスペシャリスト。漢字で輪着達人と書く」
ティーチャーイチリ「だがワキルストにはもう一つ別の意味がある」
ティーチャーイチリ「輪で己自身をキルしビーストになる者の意味だ。輪殺野獣と書く」
ティーチャーイチリ「キルスト光線を当てても何も起きない者がいる一方」
ティーチャーイチリ「輪に執着する者、積極的に輪に加わる者が現れる。この第一段階の者がエキスパンズの9割だ」
ティーチャーイチリ「ごく稀に輪を操る力を得る者が現れる。これが第二段階。私やミツワ、君のような幹部だ」
ティーチャーイチリ「だが第二段階に進化する途中で理性を失いビースト化する者も現れる。クノウはビースト化している」
ミツワトライク「大丈夫なのか?」
ティーチャーイチリ「ずっとビースト状態のままの可能性はある」
ティーチャーイチリ「輪を大きくするには犠牲はつきものなんだ」
ミツワトライク「元教え子がビーストになっても・・・ティーチャーは冷静だな」
ミツワトライク「チャリキルはどうなってんだ?明らかに第二段階だが俺達の輪に入りたがらない」
ティーチャーイチリ「ごく稀に第二段階まで行ったがエキスパンズとは合わず離れて行く者がいる。かつてもいた」
ティーチャーイチリ「その人物の元の性格、体力や精神力や人生経験などによりワキルストにも違いが生まれるんだ」
ティーチャーイチリ「ワキルストに関してはまだまだ分かっていないことも多い」
ティーチャーイチリ「だからこそセンシャ様はチャリキルとその妹を欲するのだ。珍しいパターンだからな」
ミツワトライク「妹もワキルストなのか?反応は出ていないって話だぜ」
ティーチャーイチリ「センシャ様はチャリキルを『害悪をもたらす者』、マキを『幸福をもたらす者』だと予言した」
ティーチャーイチリ「おそらく妹の方は今後チャリキルとは異なるキルスト化の道をたどるはずだ」

〇地下広場
ヨンリンクノウ「お前ブォー捕まえブォーンオンオンオン」
チャリキルアニキ「突進してきた!よけるぞ!」
チャリキルアニキ「あぶねえ!壁を破壊するほどの威力だ!」
チャリキルアニキ「とんだ四駆駆動の怪男児だこと!」
マキ「やべえ兄の口調がおかしい。動揺してる証拠だ!」
  ヨンリンクノウと化した友にショックを受けるチャリキルアニキ
  果たしてきょうだいは無事に脱出することが出来るのだろうか?
  続く!

次のエピソード:第五輪 五輪選手のご冗談

コメント

  • ヨンリンクノウ、最高にイカした格好で面白かったです!続きも期待しています!

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