シュレーディンガーの方程式

Nazuna

第一話:シュレーディンガーの猫(脚本)

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Nazuna

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〇黒背景
  この物語はフィクションです。

〇散らかった研究室
  2032年 8月21日 13:17
  ノイマン研究室
猫元才「・・・できた」
猫元才「くず!」
葛城大河「なんだ?」
猫元才「ついに完成したわ」
葛城大河「・・・そのパソコンのことか?」
猫元才「そう。だけど、ただのコンピューターじゃない」
猫元才「世界初の、完全実用型量子コンピューター」
猫元才「名前は、」
猫元才「『デルタ』」

〇散らかった研究室
  同日 16:22
三条唯「猫先輩!」
三条唯「・・・ついに、完成したんですね」
猫元才「ええ」
三条唯「これが、世界初の実用型量子コンピューター、『デルタ』・・・」
三条唯「すごいです!やっぱり猫先輩は天才です!」
猫元才「唯ちゃんが手伝ってくれたおかげだよ。ありがとね」
三条唯「そんなことないです!猫先輩の頭脳あってこそですよ!」
葛城大河「・・・えー、ごほん」
三条唯「・・・ああ、葛城先輩。いたんですね。こんにちは」
葛城大河「・・・相変わらず俺には冷たいな」
三条唯「そんなことよりも先輩、ノイマン教授にはもう報告したんですか?」
三条唯「いつ公に発表するんです?」
猫元才「実はまだ教授には報告してないの」
猫元才「公の場に発表するのも、しばらく後にしようと思う」
葛城大河「どうしてだ?そんなにすごいものなら、さっさと発表した方がいいんじゃないのか?」
猫元才「これは、世界を変えてしまう可能性がある代物なの。魅力的だけど、同時に危険でもあるのよ」
猫元才「だから、慎重に扱わないと」
三条唯「うーん、猫先輩はやっぱり天才です。そんなものをその若さで作り上げてしまうなんて」
葛城大河「才の考えていることは、俺には難しくてよくわからんな・・・」

〇散らかった研究室
  同日 20:54
葛城大河「・・・雨が降ってきたみたいだな」
葛城大河「・・・なあ、才。唯のやつ、傘持ってったか?」
猫元才「・・・さあ」
葛城大河「そうか」
「・・・・・・」
  20:58
猫元才「・・・くず」
葛城大河「なんだ」
猫元才「こっち向いて」
葛城大河「・・・?」
葛城大河「これでいいか?」
葛城大河「うお!?」

〇黒
  20:59
  ・・・目、開けちゃだめ
  ・・・お前の手が邪魔で目を開けようにも開けれないんだが
  ねえ、くず
  ・・・なんだ
  葛城の硬い唇に、柔らかいものが触れた
  きっと、また会えるから・・・
  私を見つけて、くず
  ・・・・・・

〇散らかった研究室
  21:01
「・・・」
三条唯「ただいまー」
三条唯「いやー、雨で白衣がぐしょ濡れですよ全く」
三条唯「・・・あれ、猫先輩は?」
「・・・唯」
三条唯「なんですか、葛城先輩」
  ・・・才はどこだ?

〇警察署の入口
  2032年の8月21日、将来を期待されていた天才科学者、猫元才が姿を消した
  葛城や三条も警察署で話を聞かれたが、有力な手掛かりはなし
  2ヶ月が経過した今も、彼女は見つかっていない
  彼女が発明した量子コンピューター『デルタ』は、今も彼女の机に置かれたままになっている

〇警察署の食堂
  2032年 10月21日 20:22
  大学内、食堂
三条唯「・・・2ヶ月前の今日、猫先輩は研究室の中で姿を消した」
三条唯「彼女が発明した『デルタ』は世間には発表されず、今も机の上」
三条唯「『デルタ』のことを知っているのは私、葛城先輩、そしてノイマン教授だけ。そうですね?」
葛城大河「・・・ああ、そうだ」
葛城大河「これは!?」
三条唯「研究室から持ち出してきました」
葛城大河「俺がどうこう言える立場ではないが・・・」
葛城大河「勝手に持ち出して大丈夫なのか?」
三条唯「勝手ではありません。教授の許可は取っています」
三条唯「それに、少しとはいえ開発には私も手を貸していますから、持ち出す権利くらいはあるはずです」
葛城大河「・・・まあ、そうだな」
葛城大河「それで、今日俺をここに呼び出したのには、この『デルタ』が関係しているんだな?」
三条唯「勿論です」
三条唯「画面を見ていてください。今、電源を付けますから」

〇黒背景
  ___I
葛城大河「画面に、ひとりでに文字が・・・」
  ___I AM ALIVE
三条唯「『I am alive』」
三条唯「意味は、わかるはずです」
葛城大河「『私は、生きている』・・・!!」
三条唯「まだ、続きがあります」
葛城大河「これは・・・!?」
葛城大河「数式・・・?なにかの公式なのか?」
三条唯「これは『シュレーディンガー方程式』」
三条唯「量子力学の、基本となる方程式です」
葛城大河「量子、力学・・・」
葛城大河「お前、そして才が研究していた分野か」
三条唯「その通り」

〇警察署の食堂
  20:30
三条唯「さて、『デルタ』に残されたメッセージはこれで全てです」
三条唯「少なくとも、現在確認できる限りでは、ですが」
葛城大河「『I AM ALIVE』のメッセージと、『シュレーディンガーの方程式』・・・」
葛城大河「これは、才が残したもので間違いなんだな?」
三条唯「そのはずです」
三条唯「『デルタ』を使用するにはパスワードが必要で、猫先輩はそれを私にすら教えてくれませんでしたから」
葛城大河「そうか・・・」
三条唯「さて、本題はここからです」
葛城大河「ああ」
三条唯「私がこのメッセージに気づいたのは、事件から一週間後でした」
三条唯「それから今日まで、私は」
三条唯「このメッセージが何を意味するのか」
三条唯「そして、猫元才はどのようにして消えたのか」
三条唯「様々な仮説を立てては否定してきました」
葛城大河「・・・」
三条唯「・・・葛城先輩」
三条唯「これから私が話すことは、先輩が今まで学んできたこと、培ってきた常識を根底から覆すものです」
三条唯「猫先輩を見つけるために、自ら危険に飛ぶ込むことになるかもしれない」
三条唯「そのうえで聞きます。葛城先輩、」
三条唯「猫元才を救うため、全てを捨てる覚悟はありますか」
葛城大河「・・・当たり前だ!」
葛城大河「才は・・・」

〇黒
  ・・・私を見つけて、くず

〇警察署の食堂
葛城大河「・・・才は、俺たちの大事な研究仲間だ。そうだろ?」
三条唯「・・・ありがとうございます」
三条唯「協力して、私たちの研究室メンバーを見つけ出しましょう」
葛城大河「・・・ああ」
  差し出された右手を、葛城は強く握った
葛城大河「それで、才の行方について、考えがあるんだろ?」
三条唯「・・・はい。荒唐無稽で、突拍子もないものですけど」
三条唯「一度、研究室に戻っても構いませんか。ここだと他の人が入ってくるかもしれませんし」
葛城大河「勿論、構わないぞ」
三条唯「じゃあ、行きましょうか」
三条唯「よいしょ」
三条唯「お、重い・・・」
葛城大河「俺が持つよ。貸してくれ」
三条唯「あ、ありがとうございます・・・」
葛城大河「俺には量子力学とやらのことは全くわからないからな。力仕事は任せてくれ」
三条唯「助かります。じゃあ、今度こそ研究室に向かいましょう」

〇散らかった研究室
  20:41
  ノイマン研究室
葛城大河「これ、才の机の上に置いとくぞ」
三条唯「ああ、はい。ありがとうございます」
葛城大河「ところで、なんで初めからこっちに来なかったんだ?そしたらわざわざ『デルタ』を持ち出さなくても・・・」
三条唯「・・・猫先輩がいない研究室は、寂しく感じてしまいますから」
葛城大河(あまり表情に出ないからわからなかったが、唯だって才がいなくなったことを悲しんでいるんだな)
葛城大河(そりゃそうか。一番才に懐いていたのは唯だったしな・・・)
三条唯「でも、今は大丈夫です。二人なら、きっと見つけられます」
葛城大河「・・・ああ、そうだな」
葛城大河「必ず、見つけ出してみせる」
三条唯「それでは、本題に入りましょうか」
三条唯「猫先輩が消えたあの日、何が起こったのか」
葛城大河「ああ、頼む」
三条唯「私の考えでは、彼女はあの日、消えたんじゃない」
三条唯「『量子テレポーテーション』によって、どこか別の場所に移動させられた、というのが私の仮説です」
葛城大河「量子、テレポーテーション・・・?」
三条唯「そうです。瞬間移動といってもいいかもしれません」
葛城大河「・・・馬鹿な」
葛城大河「唯、お前は何を言っているんだ」
葛城大河「そんなこと、科学的に不可能だ!俺はひとりの科学者として、そんな仮説は否定しなければいけない」
三条唯「・・・落ち着いてください」
三条唯「だから最初に言ったんです」
三条唯「常識は捨てなければいけない」
三条唯「私が、そして猫元才が研究していた量子力学は、不可能を可能にするものなんです」
葛城大河「だが、しかし・・・」
葛城大河「瞬間移動なんて、存在するわけがないだろう・・・!!」
三条唯「私たちが存在するこの空間に限って言えば、その通りです」
三条唯「しかし、量子の世界では違う。それが量子力学です」
葛城大河「だが、才はれっきとした人間だ。量子の世界の理論は、俺達には通用しない」
三条唯「人間だって量子の集合です」
三条唯「量子世界で可能な現象は、私たちの世界でも起こり得るというのが私の考えです」
三条唯「あのシュレーディンガー方程式は、この出来事が量子力学と密接に結びついていることを示唆するためだと思います」
葛城大河「・・・」
三条唯「来てください」

〇廊下のT字路
葛城大河「どこへ行くんだ?」
三条唯「今、猫先輩の机にあるものはただのデバイスです」
三条唯「量子コンピューター『デルタ』本体は別の部屋に保管されています」
葛城大河「本体が別にあるのか!?」
三条唯「ついてきてください。今からあなたに、『デルタ』の本当の姿を見せます」
葛城大河「『デルタ』の、本当の姿・・・」

次のエピソード:第二話:量子間のテレポーテーション

コメント

  • 難しい話かなと思ったけど、そうでもないのかな?

  • ”シュレーディンガー”に”猫”元才に”ノイマン”教授、ネーミングだけでもワクワクしてしまいますw 本格派のSF作品を期待します!

  • 才が消える直前に先輩にした口づけでなにかとてつもない力が働き彼女を一瞬にして消し去ったのかと思います。そもそもこのことが、彼女が研究していたものなのでしょうか?続きが楽しみです。

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