異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第三話『失礼な宰相が超警戒、神の御使いはかなりヤバイ奴らしい』(脚本)

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〇謁見の間
ユニファ王女「今日はとっても楽しい時間を過ごすことができました、マコさん」
マコ「私もとっても楽しかったよ、ユニファ。 また一緒にご飯食べようね、おやすみ」

〇城の廊下
マコ「いやー、楽しかった♪」
ドロシー「随分とユニファと打ち解けていたわね」
マコ「うん、とってもいい子だよね。それにしても驚いたな。ユニファってさ、私をここに寄越した女神様にそっくりなんだよね」
マコ「ふわふわ系なところとか、素直でほんわかしているところとか。あと何かポカしそうで、なんだか目が離せないというか」
ドロシー「確かに似てるわね。ユニファって変な所で行動的で、皆の為だって率先して動くもんだから、何か助けてあげたくなっちゃうのよね」
マコ「そういえばユニファは、この国が大変だって話は全然していなかったけど、本当にこの国ってピンチなの?」
ドロシー「かなりピンチよ。端的に言うと、このユグド聖国のお隣さんの国が大軍率いて攻めてきそうなのよ」
マコ「それって人間相手の戦争ってこと!」
ドロシー「しかも左右からね」
マコ「ダブルで! ヤバイじゃん!」
レヴィリック「それをどうにかするのが、お前の役目だ」
マコ「出たな、悪人面宰相!」
レヴィリック「威嚇のポーズを取るな。お前には色々と話しておくことがある。ついて来い」

〇上官の部屋
レヴィリック「この世界ジングレスは長い戦乱状態にある。そんな中にあって、我がユグド聖国は平和を願う女神ユグドの教えを第一としている」
レヴィリック「特に今、この国を取り仕切るユニファ王女は争いを失くしたいと奔走し、必死に平和を呼び掛けている」
ドロシー「実際、相当人気が高いわね。この国だけじゃない。どこの国でもユニファは争いに疲れた人々の心の支えになっている」
ドロシー「マコに分かりやすく言えば、世界的なアイドルってやつね」
レヴィリック「だから隣国である二つの大国とも、おいそれと手出しはしてこなかった。軍隊も持たないこの国を侵略すれば反感が大きいからな」
レヴィリック「だが両大国が勢力を広げるにつれ、いよいよユニファ王女が治めるこの国を放置しておくつもりがなくなったらしい」
マコ「えっとつまり、どちらの国も『もうそろそろ軍隊で攻め込んじゃえ』みたいな空気になっちゃっているってこと?」
レヴィリック「そういうことだ」
マコ「ユニファはどうするつもりなの?」
レヴィリック「少なくとも争いによる解決は望んでいない。だが俺たち周囲は、それが通じるとは思っていない」
レヴィリック「平和的な話し合いによる解決の見込みは極めて薄い。このまま何もしなければ侵略による滅亡は目に見えている」
レヴィリック「この状況に正直、頭を抱えていた。 だが、何の因果か、ここにきて、お前という存在が現れた」
マコ「【神の御使い】ってやつね」
レヴィリック「神の御使いは、この世界の見守る神々が気まぐれで遣わす存在にして、絶対無敵の最終兵器だ」
レヴィリック「神の御使いが現れた国は100%勝利し、歯向かった国は間違いなく滅ぶことは歴史的にも証明されている」
マコ「それって、これまでの神の御使いが凄かったってこと?」
ドロシー「凄いというか・・・・・・」
レヴィリック「メチャクチャだったんだよ」
レヴィリック「一度、この世界に現れれば、神の力を使ってやりたい放題。歯向かうモノは皆殺し、手当たり次第の女に手を出してハーレムを築く」
マコ「ハーレム! いや、私は今の所そんなことは望みませんが!」
レヴィリック「頼むから今後も望むな」
ドロシー「これまでの神の御使いって全員が男の子だったからね。今回、女の子なのに神の御使いに選ばれたマコはかなりレアなケースね」
レヴィリック「なんにしても、亡国の憂き目にあっている国からすれば、神の御使いは救世主だ。出現すればどんな窮地からも一発逆転だからな」
ドロシー「まあ、その代わり、ほぼ間違いなく国を乗っ取られるんだけどね」
マコ「・・・・・・なるほど。 そりゃレヴィリックたちが警戒する訳だ」
レヴィリック「そういう訳で、神の御使いであるお前には殺戮兵器となって、この両大国を跡形もなく蹂躙、壊滅してもらう」
マコ「えっ、やだよ。そんなこと」
レヴィリック「・・・・・・お前何言ってんだ?」
マコ「アンタこそ何言ってんの? なんで私がそんな破壊行為しなきゃいけないのよ」
レヴィリック「お前は女神が寄越した神の御使いだ! 歴代の悪い部分を真似て貰っては困るが、少なくとも同じ結果を出す義務がある!」
マコ「むうっ」
マコ「絶対にヤダ! 義務とかいって、人殺しとか大量虐殺とか強要するんだったら、私やらない! 御使いやめる!」
レヴィリック「なっ! 何をバカなことを言っている! 駄々をこねるな! ガキか!」
マコ「そうです! 私はユニファと同じ17歳のガキで、そんでユニファと一緒で戦争なんて大っ嫌いなの!」
レヴィリック「くっ!」
ドロシー「あーあ、マコがへそを曲げちゃった。 どうするの、レヴィリック? 素直に謝ったら?」
マコ「そうだ、そうだ! 私に謝れ!」
レヴィリック「・・・・・・」
レヴィリック「・・・・・謝ってほしければ謝ってやってもいいがな。そんな舐めた物言いをしていて本当にいいと思っているのか?」
マコ「? ど、どういう意味よ?」
レヴィリック「曲がりなりにも、お前は女神に力と責務を与えられた神の御使いだ。それが女神の意向に背いたらどうなるか分かっているのか?」
マコ「えっ、どうなるの?」
レヴィリック「天罰が下る」
マコ「て、天罰!」
レヴィリック「想像してみろ。普段から怒っている奴が怒ったところで別にそんなに怖くはない」
レヴィリック「だが普段優しい人間が怒ったら、どうなると思う?」

〇中世の野球場

〇上官の部屋
レヴィリック「洒落にならないくらい怖いぞ」
マコ「・・・・・・なんだか、分かる気がする」
レヴィリック「お前は平和を愛する心優しい女神から頼まれて神の御使いの役を引き受けたにも関わらず、気分で責務を放り出すつもりでいる」
レヴィリック「それで女神が怒らないと思うか?」
マコ「・・・・・・」
レヴィリック「相手は女神だ。お前程度の矮小な存在など、指先一つで消すことも容易い。どんな残酷な処罰を受けるか今から楽しみだな」
ドロシー「(こそっ)・・・・・・ちょっと、レヴィリック。なんのつもりよ、そんな適当なこと言って。全部出まかせじゃない」

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