異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第四話『いや、そう言われても、私は全然野球のことなんて知らないんだけど』(脚本)

異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

今すぐ読む

異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇上官の部屋
マコ「なんでよりによって野球なの? 他にも色々と教えたじゃん」
レヴィリック「まず、カードやらなんやらを使ったゲーム全般はナシだ。こじんまりしていて、多くの人間が見るのに適していない」
レヴィリック「何よりイカサマの問題がある。なまじ運の要素が強いからこそ、納得できず、言われもない疑いが出てくる可能性もある」
マコ「いや、イカサマなんてしなければいいし」
ドロシー「出来る要素が強いことが問題なんじゃない? レヴィリックみたいに悪いことを考えるヤツは沢山いるから」
レヴィリック「勘違いするなよ。イカサマは当然の手段だ。ただ万人にそれを認める許容がないだけでな」
マコ「・・・・・・・なるほど。納得しました」
マコ「ゲームはナシっていうのは分かったけど。ならなんで、スポーツの中でも野球なの? 他にも色々と教えたじゃん」
レヴィリック「テニスなどの個人競技は暗殺が怖い」
マコ「暗殺て。なんか怖い話が出てきたけど。 この世界じゃメジャーなの?」
レヴィリック「それを連想させるヤツが身近にいるだけだ」

〇謁見の間

〇上官の部屋
マコ「?」
レヴィリック「そういう訳で個人競技はナシだ。できれば参加人数がそれなりにいて、広い場所を使って行うモノが好ましい」
ドロシー「そっちの方が、戦争の代わりに戦っている感があるしね」
マコ「ならサッカーでもよかったじゃん」
レヴィリック「あれは常に敵と接触するプレイスタイルが問題だ。反則・ラフプレイから本当の戦争に発展する可能性が極めて高い」
マコ「あー、確かにちょっとヒートアップしやすい要素はあるかもね。・・・・・・それで野球なの?」
レヴィリック「昨日のお前の説明によると・・・・・・・」

〇上官の部屋
マコ「えっとね、ピッチャーがボールを投げてバッターが打って、飛んでいる間に三つのベースを回って戻ったら1点で・・・・・・」
マコ「守る側はあっちこっちに立って、ボールが飛んでくるのを待っているのね。十人くらいだったかな? それでね・・・・・・」
マコ「勝ったらビール掛けするみたいだよ。ビールっていうのはお酒のことね。それを頭から掛けて、笑顔で喜ぶみたい・・・・・・」

〇上官の部屋
ドロシー「最後の説明は殊更重要よね」
レヴィリック「飲んだくれ魔女の感想はさておき、お前の実にお粗末な説明からも、ある程度のことは理解できた」
レヴィリック「まず攻守が明確に分かれていることで不要なイザコザが起こりにくい。選手や多くの観客が見守ることで不正が難しい」
レヴィリック「プレイごとに止まるから、注目するタイミングが分かりやすい。解説を付けることで、初めて見る人間にも雰囲気や状況が伝わる」
レヴィリック「すたじあむ、というのを作れば、多くの観客を集めて、試合観戦ができるのもいい。見ている全員が一喜一憂を共感できる」
マコ「問題点をクリアしているし、皆で一緒になって盛り上がれるし、言うことなしってことか」
レヴィリック「ああ、これは使えるぞ」
マコ「えっ? なんかこの宰相、めっちゃ悪い顔しているんだけど?」
ドロシー「見てのとおり悪いことを考え付いた顔ね」
レヴィリック「素晴らしい名案を思い付いた時だ」
マコ「いや、まあ。そういうことなら野球でもいいんだけどさ。昨日話した通り──」
マコ「私、野球のルールには全然詳しくなくて、本当にフワッとしか知らないんだけど?」
レヴィリック「それは分かっている。 だが逆にそれが使えると思ってな」
マコ「というと?」
レヴィリック「お前の杜撰な記憶では、正確なルールは分からない。だからこそ都合の良い解釈する余地があるというのが面白いと思ってな」
レヴィリック「という訳で、我々は戦争の代わるモノとして、ヤ・キュウを普及させる」
レヴィリック「その為に、マコ、お前には是が非でも協力してもらう」
マコ「いや、そりゃ協力するけど・・・・・・って、初めて名前呼ばれたな」
レヴィリック「お前に使い道があることが分かったからな。期待しているぞ、マコ」
マコ「素直に嬉しくないんだけど」
レヴィリック「その上で、流石に情報が足りなさすぎて見えない部分が多すぎる。もう少し説明してもらうぞ」

〇武術の訓練場
レヴィリック「まずは道具について確認したい。ヤ・キュウで使う【ぼうる】というのはどういったモノだ?」
マコ「えっと、掌サイズの丸い球ね。こう持って腕をビュ、って振って投げるヤツ」
レヴィリック「ここにあるモノで何か近いモノはないか?」
ドロシー「これのもう一回り小さいくらいかしら?」
マコ「そうそう。・・・・・・ってそれってなに?」
ドロシー「城壁とか設置される大砲の砲弾」
マコ「ただの鉄球じゃん! 死ぬわ!」
ドロシー「そりゃ当たったらね。でもピッチャーは相手に球を当てるのが目的じゃないんでしょ? だったら問題ないじゃない」
マコ「そんなのバットで打ち返したら骨折するわ!」
ドロシー「だって、打たせないようにするのが目的なんでしょ? ならちょうどいいじゃない」
マコ「そうだけど! とにかくもうちょっとゴムっぽいヤツ!」
レヴィリック「なんだ【ごむ】とは?」
ドロシー「伸縮性・弾力性のある素材のことね」
レヴィリック「それが【ぼうる】というモノか。 分かった、手配しよう」
レヴィリック「次に【ばっと】というのはどんなモノなんだ?」
マコ「えっと両手を伸ばしたくらいの長さの棒で、なんかこう・・・・・・丸い感じ」
レヴィリック「? 長くて丸い?」
マコ「えっとだから、ああそう。この剣の握る所って下からみたら丸いでしょ?」
レヴィリック「つまり、円柱状の長い棒ということか」
マコ「そうそう。そんで先っぽに向けてちょっとずつ太くなっているの」
レヴィリック「それでも大きさや幅は、剣くらいの大きさなのか?」
マコ「だいたいそんな感じ」
レヴィリック「一つ聞いてもいいか?」
マコ「なに?」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第五話『ピッチャーが投げる球を受け止める人間はいない方がいい』

成分キーワード

ページTOPへ