エピソード8(脚本)
〇市街地の交差点
手に持った三叉コンセントを地面に落とし、足で踏みつけようとする赤地。
電信柱の影で見ていた光は、思わず外へ飛び出す——そのとき。
「おいーコラ、何してんじゃ」
〇市街地の交差点
ホームレス「何をもったいないことしとんじゃ、捨てるんならわしによこせ」
赤地正男「・・・・・・」
ホームレス「おい、聞いとんのか、こら」
ホームレス「あ、ああ、痛い」
ホームレスを蹴り飛ばす赤地。
その拍子にコンセントが転がり溝に落ちる。
ホームレス「やめ、やめてくれ・・・」
黙ったまま、もう一度ホームレスを蹴り飛ばす赤地。
ホームレス「ああ、やめてくれ」
赤地正男「・・・・・・」
村木駿「さーせん、あんパンなかったっす。 別のコンビニ行きましょう」
赤地正男「そうか」
村木駿「どうかしましたか、何か落としたんすか?」
赤地正男「いや、大丈夫だ、行こう」
赤地は村木の後を追いつつも、何度か溝を確認するが、諦めたように去っていく。
久保田光「なんだよ、今の・・・」
〇ダイニング(食事なし)
久保田郁美「フン、フン♪」
久保田郁美「あー、お帰り。 ご飯すぐできるよ!」
久保田光「・・・うん」
久保田郁美「ありゃ、いつも以上に暗いなー」
〇男の子の一人部屋
入ってきた光、その場にへたり込む。
ポケットから取り出したコンセントの中を開けると、中に基盤が取り付けてある。
久保田光「盗聴器のこと、バレてる・・・」
〇ダイニング(食事なし)
久保田郁美「この変装マスク百個の注文書はなに」
久保田徳二「いや、変装、したいだろ」
久保田光「・・・・・・」
「今回の事件、かなり猟奇的な殺人方法ですが、そのあたりは」
「そうですね、ウェディングドレスを着せて刺し殺す、ということですから、何か結婚にトラウマを持った女性という可能性も——」
久保田光「違う、全然違う・・・」
〇市街地の交差点
「んーんー!」
久保田光「なに」
小学生1「いってぇ、バカ、殺すぞ」
小学生2「うるせぇよ」
久保田光「・・・子供のケンカか」
〇まっすぐの廊下
「あ、おい!」
久保田光「誰!」
長瀬美鈴「おお、どした、怖い顔して」
久保田光「いえ」
長瀬美鈴「久保田、今日放課後空いてるだろ」
長瀬美鈴「昨日できなかったから、今日また櫻(さくら)呼んで、手話クラブやるから」
久保田光「・・・・・・」
長瀬美鈴「久保田?」
久保田光「すみません」
長瀬美鈴「え、久保田」
〇学校の廊下
久保田光「ハァ・・・ハァ・・・」
龍也と激突する光。
戸村龍也「いったー」
戸村龍也「でもこれが噂のボーイミーツガール、ここで優しくしておけば、新たな恋が芽生えるかも・・・よし」
戸村龍也「お嬢さん大丈夫ですか・・・って久保ちゃんやないかーい!」
戸村龍也「なんて、最初から気づいてたよーん、はははのは!」
久保田光「・・・・・・」
戸村龍也「あ、これこれ、チミチミ。 そんなに慌てていずこへ?」
久保田光「・・・うるさい」
戸村龍也「おーい、言っちゃうぜぇ、久保田光は盗撮マニ・・・」
久保田光「言えよ、勝手に!」
戸村龍也「くぼ、ちゃん?」
久保田光「ぼ、僕に構うな!」
ニヤリと笑う龍也。
戸村龍也「まてまてーい!」
〇まっすぐの廊下
戸村龍也「久保ちゃん、ウェイトプリーズ」
〇屋上の入口
やってきた光、屋上の扉を開けようとするが開かない。
久保田光「なんだよ、開けよ、もう!」
思い切り扉を蹴る光。
久保田光「いった・・・」
戸村龍也「屋上、開かないよ」
戸村龍也「久保ちゃん、何かあった?」
久保田光「うるさい、帰れ!」
戸村龍也「おうおう、ギザギザハートだな」
久保田光「もうほっといてよ、うざいんだよ、きもいんだよ、言いたいなら勝手に言え」
久保田光「久保田光は盗撮マニアの変態だって、いいふらせよ、もうなんなんだよ、友達面して、関係ないだろ、お前にはさ!」
戸村龍也「ふむー、寂しいことを言う子だよ、この子は、まったく」
龍也がポケットを探る。
屋上の扉が開き、風が吹き込んでくる。
久保田光「開いた、の・・・」
戸村龍也「・・・まあ、友達ではないか」
久保田光「・・・・・・」
戸村龍也「でも、関係はあるよ」
久保田光「え」
戸村龍也「てか、関係させろ」
久保田光「なに、笑ってんの」
戸村龍也「だって、ネクラキングの久保ちゃんが、泣いたり、わめいたり、走ったり、こんなのなんか面白いことあるに決まってんじゃん」
久保田光「それは、だって」
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