Chert1-1.高所恐怖症の少女(脚本)
〇東京全景
〇黒
ついて来なさい!
怖い!
行きたくない!
黙れ!
〇SHIBUYA SKY
〇黒
こ
わ
い
コ
ワ
イ
国の為だ
パパとママを許して
〇殺風景な部屋
ファー(あの時の、ユメ‥)
ファー(ぜろぐらびっと‥)
ファー(私はどうすればいいの?)
〇菜の花畑
ファー(なびく原っぱ)
ファー(揺れる花たち)
ファー(広大な青空)
〇新緑
ファー(そう感じるのは)
ファー(きっと)
ファー(私だけ)
ファー(だって──)
その自然は
『造られた映像』
危険な力を持ってしまった
恐怖症患者の為の
『嘘』
トバリノ「お気に召さなかったかい?」
トバリノ「なるべく平地で リラックス出来る映像を選んでみたのだが」
ファー「いえ‥」
ファー「見たことのない自然がいっぱいで 心地いいです」
ファー「あの、この自然って実際にある場所ですか?」
トバリノ「ああ」
トバリノ「管理者しか知らない、とっておきの場所さ」
ファー「わあ‥! 行ってみたいです!」
〇電脳空間
Name:ファー・ミルフィーユ
Phobia name:高所恐怖症
〇東京全景
ネオロード最大の標高を誇る建造物‥
"スカイピアッサータワー"崩壊
その付近にて
空中浮遊状態の彼女を保護対象に
此度(こたび)の事件は
彼女の能力の暴発によるものであり‥
〇黒
結果──両親を失う
当時のショックが原因か
人目を避け、心を閉ざしている模様
又、"高所"を極端に嫌悪する傾向あり
よって恐怖症名を-アクロフォビア-とする
〇新緑
トバリノ(あのタワーを破壊する程の力‥)
トバリノ(そして自らは空中浮遊──か)
〇美しい草原
トバリノ(心、開いてくれたかな)
トバリノ(けど──暴発とはいえ 自らの両親を手に掛けてしまったんだ)
トバリノ(軽率な発言で傷が開いたら元も子もない)
トバリノ(言葉は慎重に)
トバリノ「そろそろカウンセリング、始めるよ」
ファー「はい‥」
〇黒
トバリノ「高い所は苦手なのかい?」
ファー「苦手です‥」
ファー「足がすくんで、動けなくなってしまいます」
トバリノ「そっか‥ 身動きが取れなくなる程怖いんだね」
トバリノ「キッカケになった出来事は覚えてる?」
ファー「パパとママと一緒に スカイピアッサータワーを登った時‥」
ファー「透明な床があって‥」
〇東京全景
〇三角
ファー「下を覗き込んでしまって 怖くなって、気持ち悪くなって..」
ファー「それ以来、高い所から落ちていく夢を 見るようになりました」
〇新緑
トバリノ「なるほど‥確かに、あのタワーは高過ぎるな」
トバリノ「落ちたらって思うとゾッとする‥」
トバリノ(ファーさんの左手‥)
トバリノ(火傷の痕、か?)
トバリノ(いや、やめておこう‥)
トバリノ「それじゃ、次の質問だけど──」
ファー(言えない...)
ファー(これは、大事なものだから)
ファー(今は、まだ‥)
〇黒
トバリノ「能力に目覚めた‥」
トバリノ「もしくは"そう"だと思った時の事を 教えてくれるかい?」
ファー「それは‥」
ファー「多分‥」
ファー「タワーの頂上で‥」
〇SHIBUYA SKY
『両親に突き落とされた時だと思います』
父親「お前がフォビックにさえならなければ!」
母親「"ステゴ"を匿えば、私達も処刑されるわ!」
ファー「ちゃんと、言うこと、きくから‥」
ファー「ぉとさなぃでぇ、ぉねがぃ‥」
〇空
父親「国の為だ」
母親「パパとママを、許して」
〇空
「い や あ あ あ ぁ ぁ っ ! !」
このまま地面に落ちて
潰れて
ぐちゃぐちゃになって
痛くて辛くて苦しんで死んじゃうんだ
ファー「嫌だ、いやだ‥」
ファー「落ちたくない──オチタクナイ!」
〇黒
だ い じょ う ぶ だ よ
〇空
ファー「──え?」
落
ち
て
い
た
の
に
身
体
が
宙
に
浮
い
て
い
た
ファー「どう、なっているの?」
〇黒
オ チ ル の は
ファ ー を イ ジ メ ル
ワ ル イ や つ ら だ
〇壁
〇白
〇基地の広場(瓦礫あり)
ま
る
で
空
き
缶
の
よ
う
に
潰
れ
て
し
ま
っ
た
〇新緑
トバリノ「すまない‥」
トバリノ「辛い事を思い出させてしまったね‥」
トバリノ(自らの落下による能力発現、か)
トバリノ「君の能力は恐らく、"重力操作"の類だ」
ファー「じゅうりょく──ですか?」
トバリノ「宙に浮いていたのは 能力によって無重力を得たのだろう」
トバリノ「"落ちたくない"という強い思いが 異能を発現させたんだよ」
ファー「な、なるほど‥」
トバリノ「そして手を伸ばした瞬間‥ タワーが潰されてしまった」
トバリノ「多分それは"超重力" スーパーグラビティが発生したからだ」
ファー「すーぱー、ぐらび、茶(ティー)?」
ファー(のど、乾いてきちゃった)
ファー(ふぅ)
トバリノ「人が物に触れる時、手に力を込めるだろう?」
トバリノ「君の場合、能力も加減も解らないまま 余分な力を加えてしまったんだ」
〇壁
トバリノ「結果、タワー全体に重力の負荷が掛かり‥」
トバリノ「崩壊させたんだろう」
〇新緑
ファー「そんな‥!」
ファー「パパとママも居たのに‥」
ファー「私の、せいで‥」
トバリノ(本当に、この世は理不尽だ)
トバリノ(こんな少女にさえ 宿命を背負わせるなんて──な)
フォビアとは
何の為に在るのだろうな
〇新緑
〇殺風景な部屋
トバリノ「以上で、カウンセリングは終了だ」
トバリノ「これまでの事で何か質問はあるかい?」
ファー「あの‥ 私はこれからどうすればいいですか?」
ファー「能力の事も‥ どうしたらいいか分からないです」
トバリノ「そうだね、いい質問だ」
トバリノ「明日から君には一週間かけて‥」
トバリノ「能力向上を目的とした演習を受けて貰う」
トバリノ「一週間後、フォビック同士で 命懸けのサバイバルが行われる」
トバリノ「これにも参加して貰うよ」
ファー(演習? サバイバル?)
ファー(先生は、一体何を言っているの?)
トバリノ「申し訳ないと思っている けれど、とても必要な事なんだ」
トバリノ「この世界でフォビックが生き抜くにはね?」
トバリノ「フォビアを克服し‥ 能力を使い熟さなければならないんだよ」
ファー「こんな恐ろしい力‥」
ファー「私──使いたくないです!」
〇黒
使わなければ、君は生き残れない
ファー「ひっ!?」
〇殺風景な部屋
トバリノ「今日は疲れただろう」
トバリノ「この後はゆっくり休むといい」
トバリノ「明日は演習内容について説明するから、 一週間丸々使って勉強していこう」
ファー「はい‥」
〇殺風景な部屋
ファー(ダメ、頭の中がごちゃごちゃしてる)
〇黒背景
使わなければ、君は生き残れない──
〇殺風景な部屋
ファー(どうして、こうなっちゃったの?)
ファー(こんな危険なチカラを使いこなせだなんて‥)
ファー(わかってる、もう戻れないって)
ファー(国は許してくれない)
ファー(私はステップ5‥ "ステゴ"のフォビックだから)
〇新緑
〇殺風景な部屋
ファー「トバリノ先生ぇ‥」
〇殺風景な部屋
ファー「ぐす、ひぅ‥」
強くなりたい
こんな逆境を跳ね返すくらいに
だから、今は
〇黒
今だけは
泣き虫で居させて下さい
〇諜報機関
アンドロイド?「スカイピアッサータワーに発生した 重力場の計測データを表示」
紳士的な男「んー、見せてくれたまえ」
アンドロイド?「重力範囲──推定50メートル タワー中央の最大瞬間重力──10トンを計測」
紳士的な男「んー! 凄いじゃあないか!」
ツンデレ風少女「ふーん? け、結構な広範囲ね」
ツンデレ風少女「でもこれって暴走したらヤバいヤツじゃん? ねえ、ケジマス」
紳士的な男「んー? それ僕の名前かね? 川魚みたいなニックネームだねえ」
紳士的な男「ちゃんと"ケージマスター"と 呼んでくれないと困るのだよ、ん〜」
ケージマスター「それに‥」
ケージマスター「あの子が力を制御出来れば 素晴らしい戦力になると思うがね?」
ケージマスター「それこそ国一つくらい 無力化させられるかもしれないだろうし」
ツンデレ風少女「制御出来たらのハナシでしょ?」
ツンデレ風少女「ホントに匿って大丈夫? 最悪アタイ達も危うくなるんじゃないの?」
ケージマスター「まあまあ、テトラちゃん」
ケージマスター「どの道、保護は必須だったよ」
ケージマスター「国軍に悪用されるくらいなら、ね?」
テトラ「まあ、それは──」
テトラ「そうだ・け・ど・さっ!」
テトラ「(てろてろ)」
ケージマスター(おお、これはこれは‥)
テトラ「なによ、くれるんじゃなかったの?」
ケージマスター「んーいやね? 色気ある口元だなあと思って」
ケージマスター「アイスの汁が『つう〜』っと滴って‥」
ケージマスター「興奮を覚えてしまいそう──」
「んんーーーっ!?」
食べかけのアイスキャンディを
その減らず口に突っ込んだ
テトラ「こんのっ、ヘンタイ! バカ! バァーカッ!!」
テトラ「フンッだ!」
ケージマスター「いたたた‥」
ケージマスター「お、当たりだ♪」
ケージマスター「んーこれは ご褒美として受け止めるべきか?」
ケージマスター「アンちゃんはどう思うかね?」
アン「食あたりで踠き苦しめばいいのです」
ケージマスター「そりゃないよ‥」
アン「では、失礼するのです」
ケージマスター「よっこいしょ」
ケージマスター(食あたり‥?)
ケージマスター(んー、まあいいか)
〇黒背景
ケージマスター(テトラちゃんの仕業だね? んーこれは)
〇黒
愚かな民よ
お前達に試練を与えよう
これは
身勝手で傲慢な人類への
因
果
応
報
救 滅
い び
か か
何方に傾くかは──お前達次第
見
定
め
よ
う
か
つ
て
愛
し
た
民
よ
〇白
トバリノ「──今は亡き王の呪われし遺言だ」
トバリノ「王は自ら暗黒に染め、虚空へと散っていった」
トバリノ「民に"恐怖症-フォビア"を遺して」
トバリノ「これが20年も前の‥」
トバリノ「『恐怖症蔓延-フォビアアウトブレイク』と 呼ばれている所以だ」
トバリノ「史上最悪のパンデミックだったという」
トバリノ「俺はモズ・トバリノという者だ」
トバリノ「死亡恐怖症── ネクロフォビアを患っていて‥」
トバリノ「君達のカウンセリングを担当している」
トバリノ「今後とも、よろしく」
〇黒
Phobia in Cage
Presented by Fujinokey
すごい!かっこいいですね!!✨演出もストーリーも惹かれます✨☺️これからどうなっていくのか?キャラたちがどう絡んでいくのかとても気になります✨😆
あとスチルも素敵!!センスを感じます✨☺️
凝った演出が随所にあって、世界観が素敵でとても勉強になりました✨
ゲームを作られていたのですね。流石です!
主人公のファーのこれからが気になります😆
すごい超傑作の予感ですね!! 画面や文字の演出がすごいです。タップでこれだけやれるんだと衝撃でした!! すごくかっこいいです🤩 設定も、とても凝ってる感じがしました。ネーミングセンスも良いし。とにかく作品に引き込まれるので、リアルな映画を見ているようで面白かったです😃