召喚された魔王はV系ロックバンドのVoを目指します 

ゆきんこ

第ニ話 魔王、華麗に降臨!(脚本)

召喚された魔王はV系ロックバンドのVoを目指します 

ゆきんこ

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〇魔法陣2
アスタロトオリジン「ふうぅっ」
  これは、魔王アスタロトが召喚された時のお話し
アスタロト「永かった、永かったぞ!」
アスタロト「だが」
アスタロト「忌まわしき永き眠りから、我は今解き放たれた・・・」
亞里亞(ローブ)「銀髪の髪、陶器のような白い肌、瞳は魔界の深淵を体現しており」
亞里亞(ローブ)「その声帯からは男女問わず魅了する『デスヴォイス』が発声されるという」
亞里亞(ローブ)「間違いない、あなたが魔界の三大魔王が1人、アスタロト大公爵ね!!」

〇怪しい実験室
アスタロト「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」
アスタロト「我を召喚した、オマエの望みは何だ?」
亞里亞(ローブ)「ふふ、召喚された悪魔は召喚者の命令に服従する・・・魔王も例外ではないのね」
アスタロト「無論だ」
アスタロト「さあ、聞かせてくれ。この魔王を召喚したからには、壮大な野望やおぞましい夢があるのだろう?」
アスタロト「あんなこといいな、できたらいいなとか、」
アスタロト「あんな夢こんな夢いっぱいあるのだろう?」
亞里亞(ローブ)「ハクション大魔王かと思いきや」
亞里亞(ローブ)「あなたが私のドラえもんというわけね」
亞里亞(ローブ)「最初のボケがスルーされたから、ボケの追い打ちをかけてきた・・・!」
亞里亞(ローブ)「さすが魔王、プライドが高いわ!!」
亞里亞(ローブ)「私の望み、それは・・・」
亞里亞(ローブ)「魔王、あなたをヴィジュアル系ロックバンドのボーカルにスカウトします!!」
アスタロト「・・・・・・」
亞里亞(ローブ)「・・・・・・」
アスタロト「・・・えーと?」
アスタロト「悪いが、もう一度お願いします」
亞里亞(ローブ)「んもう!魔王ったら」
亞里亞(ローブ)「見た目よりおじいちゃんなんだから!」
亞里亞(ローブ)「大事な事なので、もう一度言いますよ」
亞里亞(ローブ)「よく聞いてね」
亞里亞(ローブ)「黒のビッタビタの革ジャンにパンツを着てお化粧した魔王が、キラキラのステージでファンを煽りながら地獄の歌を唄い」
亞里亞(ローブ)「世界中の人たちをその『デスヴォイス』で魅了して、悩殺してほしいの!」
アスタロト「の、悩殺・・・?」
アスタロト「虐殺なら経験しているが・・・」
亞里亞(ローブ)「・・・・・・」
アスタロト「・・・・・・」
サルガタナス「ワハハ本舗!!」
サルガタナス「魔王にロックバンドは無理ッス」
アスタロト「サルガタナス!オマエも召喚されていたのか」
サルガタナス「お久しぶぅりーぃっス、アスタパイセン」
サルガタナス「下級貴族の俺は、パイセンを召喚する前の予行練習で召喚されたみたいッス」
サルガタナス「もう一ヶ月くらい、ここでお嬢に世話になってまーす」
亞里亞(ローブ)「サルガ、あなたも大事なバンドのメンバーになってもらうのよ」
サルガタナス「うへえ。 まだ働かせる気?」
アスタロト「──戯れはこのくらいで終わりにしよう」
アスタロト「我は今一度 悠久の二度寝を楽しむとしよう」
アスタロトオリジン「アデュー」
サルガタナス「ズルいよ!パイセン!!」
サルガタナス「ホントに帰る気なら、俺も連れ帰ってくださいよ〜!」
亞里亞(ローブ)「ち、ちょっと待って!コレを見てよ!!」

〇魔法陣2
アスタロトオリジン「オマエは、憎き勇者アリエル!!」

〇怪しい実験室
亞里亞(ありあ)「私は亞里亞」
亞里亞(ありあ)「勇者アリエルは、私のひいひいひいひいおばあちゃんくらいね・・・多分」
アスタロト「我を封印した勇者の末裔か・・・危うく術中にハマるところだった」
アスタロト「何が狙いだ!!」
アスタロト「まさか──我のカラダが目当てっっ!?」
亞里亞(ありあ)「脱ぐの、早っ! 服着て、服っ!!」
亞里亞(ありあ)「ツッコミ疲れたなあ」
亞里亞(ありあ)「あ、申し遅れました。 私、こういう者でして・・・」
アスタロト「㈱ハイパーメディアエンタメ 第三課 マネージャー 田中亞里亞 なんだ、この紙は?」
亞里亞(ありあ)「もうねえ、天使とか悪魔とか、そういう時代じゃないの」
アスタロト「なにっ!?」
亞里亞(ありあ)「勇者も廃業です」
亞里亞(ありあ)「戦争が終わっても、しばらくは勲章や報奨金とかで生活できていたみたいだけど、うちの一族、金勘定が疎かったらしいの」
亞里亞(ありあ)「私なんか、一億円の借金を背負わされて生まれてきたのよ」
亞里亞(ありあ)「勇者なんて、クソ喰らえよ」
アスタロト「それは・・・激しく同情する!」
サルガタナス「フランダースの犬くらい、可哀想な話ッス」
亞里亞(ありあ)「だから私は高校卒業後、すぐに芸能事務所に就職した」
亞里亞(ありあ)「私の夢はねえ、世界中で愛されるタレントのマネージャーになることよ!」
サルガタナス「えー話や。小公女セーラを越えたッス」
亞里亞(ありあ)「ところが一年前、おばあちゃんの遺品整理で冒険の書と悪魔辞典を目にしたとき、ビビっときたのよ」
「古い表現」
亞里亞(ありあ)「魔王アスタロト、あなたの美貌と老若男女を蕩けさせる『デスヴォイス』」
亞里亞(ありあ)「あなたは、天性のタレント! その力でっ、その歌声でっ、世界を支配することができるっ!!」
サルガタナス「勇者にならなくて良かったッスね!」
アスタロト「オマエが何を言っているかは一ミリも分からないが、ようやく己の野望を口にしたな!」
アスタロト「つまり、我の能力で世界を支配したいのだな!!」
亞里亞(ありあ)「ふふっ、私の熱き思い、伝わったようね!」
サルガタナス「関わり合いになりたくない2人だな」
亞里亞(ありあ)「いいわ。早速、あなたの能力とやらを発現して頂戴!」
亞里亞(ありあ)「ここで、歌ってみて!!」
アスタロト「フハハハハハ。良かろう! これが、我の実力ぞ!!」
アスタロト「♪後ろの悪魔悪魔悪魔悪魔闇金融は昔からコワイよ♪後ろの悪魔悪魔、悪魔悪魔、大人になったらあなたが堕ちていく、リボ払いの罠」
亞里亞(ありあ)「こ、これは!」
アスタロト「どうだ、我の実力は?」
アスタロト「ふん、二人とも、頭が蕩けて動けないようだな」
亞里亞(ありあ)「残酷な天使のテーゼ!!」
亞里亞(ありあ)「いや、悪魔かっ!」
サルガタナス「音痴にも程がある」
サルガタナス「お嬢、召喚やり直しますか? ベルゼビュート様でも良いのでは?」
亞里亞(ありあ)「バカね、ボーカルは顔が、命なの!! ハエの王なんて、絶対イヤよ」

〇炎
アスタロトオリジン「ええい! ひそひそ話するなあっ!!」
アスタロトオリジン「我は思う」
アスタロトオリジン「ひそひそ話もイジメの一種だと!」

〇怪しい実験室
亞里亞(ありあ)「あっちぃなあっ! 炎出さないでよ。サルガタナスの野郎、逃げたわね〜!」
亞里亞(ありあ)「あ、ゴメンね!」
亞里亞(ありあ)「えっと、まあ、歌は・・・」
亞里亞(ありあ)「さらなる高みを目指してトレーニングをしてもらおうかなっ♪」
亞里亞(ありあ)「とりあえず今の時代、事務所かゴリ押ししたからって売れる時代じゃないのよ」
アスタロト「では、何をしたら良いのだ?」
アスタロト「やはり、脱ぐか!」
亞里亞(ありあ)「なんでパンツの色違うのよ! 服を着なさい」
亞里亞(ありあ)「まずは、●ou Tubeや●ikTokで認知度を上げる。次に音楽クリエイターさんとコラボして、コアなファン層を集めます!」
アスタロト「良かろう!」
亞里亞(ありあ)「でも、その前に銭湯行ったり、美容室行ってサッパリしてもらいたいかなー」
亞里亞(ありあ)「忙しくなるわよ!」
亞里亞(ありあ)「今の説明でご理解頂けましたら、こちらの契約書にサインをお願いします」
アスタロト「──私はヴィジュアル系ロックバンドのボーカルを目指します──か」
アスタロト「クククッ、また再び、我はこの世界に君臨する! そして、人間どもを絶望という地獄で飼い慣らしてやるのだ!!」
亞里亞(ありあ)「ハンコないよね。 拇印で結構でーす」
アスタロト「指を、ハンコにするのだな?」

〇オフィスのフロア
課長「ちょっと・・・田中さーん」
亞里亞(ありあ)「あ、課長!」
亞里亞(ありあ)「私が昨日スカウトしてきた新人の資料、見て頂けましたか?」
亞里亞(ありあ)「ダイヤの原石なんですぅ♥」
課長「ふうん?でも、コンセプトがねえ」
課長「令和の時代にヴィジュアル系って、」
課長「もしかして、田中さんの趣味?」
亞里亞(ありあ)「さすが課長だわ! 私が昔バンギャルだったことは、誰にも話してないのに・・・」
課長「あと、この契約書のことだけど」
課長「サインが血まみれなのよ・・・怖いんだけど、マジで」
亞里亞(ありあ)「・・・あっ(アイツ、やりやがったな)」
  ・・・tobecontinued
  次回予告
  第三話 魔王、ロックバンドを勉強する!
  そもそもっ!? お楽しみに♥

次のエピソード:第三話 魔王、ロックバンドを勉強する!

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