召喚された魔王はV系ロックバンドのVoを目指します 

ゆきんこ

第一話 魔王、●ou Tuberになる!(脚本)

召喚された魔王はV系ロックバンドのVoを目指します 

ゆきんこ

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〇渋谷駅前
サルガタナス「ども!悪魔のサルガです!!」
サルガタナス「隣のカレは、な、なんと魔界の魔王!」
サルガタナス「今はロックバンドのボーカル目指して活動中のパイセン、アスタと街ブラしてます」
サルガタナス「とりま、パイセンのことなんですが、200年ぶりに人間界に降臨されています!」
サルガタナス「令和は初出勤なんで、これから色んなことにチャレンジしてもらいたいと思ってます!」
サルガタナス「題しまして、はじめてのおつかい 〜魔王改造計画!!」
サルガタナス「ヨイショッ!!」
アスタロト「オマエは何を先ほどから、長い棒切れ相手に戯言を話しているのだ?」
サルガタナス「これ、お嬢に言われて動画撮影しているんですよ」
サルガタナス「後で編集して、●ou Tubeにアップするんですって。 そうすると、コアなファン層を取り込めるらしいっス」
アスタロト「言っている意味が一ミリも解らないが、その棒切れの先の鏡で、動く写真が撮れるとはな・・・」
アスタロト「まるで魔法のようだな」
サルガタナス「これ、スマホっていう名前で、通信機能とか決済もできる電話なんです」
サルガタナス「お嬢、下のテロップに、オノボリさん乙!(笑)って入れてね!」
アスタロト「何か言ったか?」
サルガタナス「業務連絡っス」

〇温泉旅館
サルガタナス「着きましたよ。今日は今流行りの『トトノウ』体験です」
サルガタナス「このスーパー銭湯にある、『サウナヘブン』で、ホントに天国行っちゃいましょう!」
サルガタナス「悪魔だけど!」
アスタロト「ふっ、良い歌い手になるには、ここで試練を受けろということか」
アスタロト「良かろう」

〇血しぶき
アスタロトオリジン「このアスタロトにかかれば、サウナだろうがウハウハだろうが、奈落の底に落としてくれるわ!!」

〇温泉旅館
アスタロト「フハハハハハ!!」
サルガタナス「今一瞬、魔王に戻りかけたけど、編集大丈夫かな?」

〇サウナの脱衣所
サウナスタッフ「2名様ごあ〜んな〜い」
サルガタナス「ここで海パンに着替えてください」
アスタロト「え、ちょ」
アスタロト「ぬ、脱ぐの?」
サルガタナス「脱がないとサウナは暑くてやってらんねえっスよ」
サルガタナス「はやっ! しかも、何海パン履かずに行っちゃおうとしてるんですか!?」
アスタロト「男なら、脱ぐ時は黙って全裸だろう」
サルガタナス「お嬢〜!モザイク宜しく!!」
サルガタナス「ねえ、何で海パンは嫌なのに、サウナハットは被ったの?」
サルガタナス「もう!動画回せないし、店の人に怒られちゃうんで、海パンだけは履いて! お願いします!!」
アスタロト「ううむ。そこまで言うのなら、仕方ない」
サルガタナス「魔王のゾウさんはやっぱり魔王だな・・・」
  2人は知らなかった。
  アスタロトの背後に、別のレンズが向けられていることを。

〇サウナ
  木の扉を開けた瞬間、ムワッとした熱い蒸気が口や鼻を塞ぐようにまとわりついてきた。
アスタロト「むうう。これは・・・息苦しいな」
サルガタナス「80℃くらいですね。 受肉している間は、人間と感覚器は変わらないんで、まあまあ暑いですね」
サルガタナス「ちなみに座席シートの一番上が暑い席です」
アスタロト「おお、汗が滝のように吹き出してくるわ。だが、不思議とサラサラしていて、心地良い」
サルガタナス「そうなんですよ。お風呂で温まるのと違って、毛穴から汚れが落ちて行くのが堪らないんですよ〜」
店内放送「ピン・ポン・パン・ポーン 本日はご来店頂き誠にありがとうございます」
店内放送「おまたせいたしました。 イベントのお時間になりましたのでお知らせいたします」
オジサン「いよっ、待ってました!!」
店内放送「サウナヘブン名物、伝説の熱波師・郷田の登場です! 皆様、拍手でお迎えください!」
郷田(ごうだ)「さあ、皆さんご一緒にィ!」
郷田(ごうだ)「ロウリュ〜3!2!1!」
「ダー!!」
サルガタナス「アスタパイセンも、掛け声合わせてくださいね」
アスタロト「こ、これも試練かっ・・・」
郷田(ごうだ)「ハイ・ハイ・ハイ!」
「ドゥドゥドゥ!」
郷田(ごうだ)「ハイ・ハイ・ハイ!」
「ドゥドゥドゥ!」
郷田(ごうだ)「行けー!!!!!!!」
  焼けた石に柄杓いっぱいの水が注がれ、蒸気とともに、室内の気温が一気に上昇した。
アスタロト「ぐぬぬぬ・・・!?」
サルガタナス「ほぅわっちーっ!!」
郷田(ごうだ)「ほれ!まずは旦那!」
  熱波師にタオルで煽がれた人間の肌は焼けるように真っ赤になった。
オジサン「もう、ダメだーっ!!」
アスタロト「あの男、悪魔か!」
サルガタナス「悪魔に言われても」
郷田(ごうだ)「お次はピンク頭の兄ちゃん!」
郷田(ごうだ)「ハイ・ハイ・ハイ!」
サルガタナス「すんません、アスタパイセン! 後は任せます!!」
アスタロト「サルガタナァースっ! この棒やスマホはどうやって使うのじゃ!?」
  サルガタナスは我先にと出口に逃げる輩にもみくちゃにされながら、サウナ室を出て行った。
郷田(ごうだ)「ほう・・・残ったのは兄さん1人か。 動画撮りながらこの熱波に耐え抜くとは・・・只者ではないな?」
アスタロト「くくっ、オマエもなかなかの手練れではないか。ただ、我にも大義があってのう」
アスタロト「この試練、耐えねばならんのだ!」
郷田(ごうだ)「ようし、その侠気、気に入ったぜ。 俺も本気出すぜ」
アスタロト「な、なんだその、おぞましいモノは・・・!?」
郷田(ごうだ)「ふははは。この大型送風機『熱波くん3号』で、兄さんのココロを砕かせてもらうぜ!」
郷田(ごうだ)「ロウリュ〜3!2!1!ファイヤー!!」
郷田(ごうだ)「な」
郷田(ごうだ)「なにぃぃ??」
郷田(ごうだ)「100度を超える熱波と暴風に耐えられるというのか!?」
アスタロトオリジン「我の・・・勝ちのようだな」
アスタロトオリジン「受肉した姿では勝てなかった。 我に真の姿を出させるとは・・・人間にしては、やるじゃないか!」
郷田(ごうだ)「ま、負けました。 あんた・・・名は?」
アスタロト「我の名は──」

〇部屋の扉
サウナスタッフ「ちょっと郷田さん?もう12分過ぎてるけど・・・」
サウナスタッフ「ギャー!何この暑さ? しかも、二人とも倒れてる!!」
サウナスタッフ「だから熱波くんは止めなさいって言ったじゃないか! もう、アンタは出禁!!」
サウナスタッフ「だ、大丈夫ですか?お客様!? あ、そこの人、動画とってないで、救急車呼んで!救急車ー!!」
  ピーポーピーポー

〇病院の廊下
亞里亞(ありあ)「それで、救急車に運ばれて私が呼び出されたってわけね」
亞里亞(ありあ)「熱でスマホもイカレてたし、魔王の●ou Tubeデビューはお預けね」
アスタロト「いや、亞里亞よ」
アスタロト「我は、スタッフに団扇で煽がれながら理解したぞ。 『トトノウ』ということをな」
サルガタナス「それは単なる気絶です」

〇オフィスのフロア
  次の日──

〇オフィスのフロア
課長「大変よ、貴方たち!昨日のことが、ネットニュースになってるわよ?」
サルガタナス「ホントだ!●ou Tubeに動画もアップされてる。 俺ら以外にも撮影してる人が居たんですねえ」
亞里亞(ありあ)「数時間で、50万再生!?」
サルガタナス「ブフッ!!」
サルガタナス「モザイクかかってるけど、パイセンの魔王がパオンしてるところまで撮られちゃってますよ」
サルガタナス「だから、早く海パン履けって言ったんですよ!」
課長「絶世のイケメンのゾウさんがパオンした後で、伝説の熱波師と対決して救急車で運ばれる・・・」
課長「ダサいスタートだけど、話題になったことは確かね!」
アスタロト「これで、我は●ou Tuberということだな!」
「いや、違うから」
  ・・・tobecontinued
  次回予告
  
  第二話 魔王、華麗に降臨!
  
  なぜ、アスタロトは令和に召喚されたのか? 始まりのお話しよ!お楽しみに♥

次のエピソード:第ニ話 魔王、華麗に降臨!

コメント

  • サウナでのイベントは勘弁してほしいですよね(笑)楽しいストーリーで最後までクスクスと笑いながら読ませて頂きました、次の舞台が気になります。

  • テンポがよくてシモネタありつつも、思わずくすっとなるような爽やかなシモネタでした。初サウナの様子や、○tubeしらなかったりだとか、なんとなく地球に慣れていない感じも、微笑ましくておもしろかったです。

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