第6話(前編)「公園の激戦!現れた最凶!」(脚本)
〇広い公園
──とある公園にて
──阪神競馬、第2レース
ダート1800・・・
各馬ゲートに・・収まりました
・・・スタートしました!
おぉーっと!?
外枠10番ナンデヤハン!
大きく出遅れました!
先頭は3番シンカンケイ、続いて
1馬身離れて4番ナイヤロー・・
しがないギャンブラー「クソッ・・2頭軸の片割れが 出遅れやがった!」
しがないギャンブラー「もう1頭も馬群にのまれたか こりゃ次のレースに期待かぁ・・?」
・・・さぁ最終コーナー曲がって
直線に入ります
先頭かわらず3番シンカンケイ
半馬身あけて4番ナイヤロー
あぁっとここで外から来た!
7番バチテッロ!
外から上がってきた!
バチテッロ!3番手、2番手!
先頭争い!逃げるシンカンケイ!
バチテッロが上がって来た!
しがないギャンブラー「差せぇーーーっ!! バチテッロ差せーーっ!」
前に届くか!届くか!
バチテッロ・・
届いた!届きました!
バチテッロ差し切った!
しがないギャンブラー「よぉし!幸先良好ぉお!」
しがないギャンブラー「へへ・・これで本日メインレース用の 軍資金が貯まったぜ」
しがないギャンブラー「さーて次のレースは・・・」
野朗仁太「オイラのターンだ! 光星覚悟しろよ〜!」
壱天光星「よしっ!かかってこい!」
しがないギャンブラー「なんだぁ? ガキの声がうるせぇな」
しがないギャンブラー「あれは・・・ エフェクトバトルかぁ?」
〇広い公園
野朗 仁太「よ〜し!いくぞ〜! キャラ投影!」
野朗 仁太「属性「その他」種別「モンスター」で 形態は「獣型」で探索!」
野朗 仁太「オイラが召喚するのは コイツだぁ!」
クモモンスター「キシャー キシキシ」
壱天 光星「クモモンスターか!」
壱天 光星「前にも見たな、この召喚 だけど今の仁太なら・・・」
野朗 仁太「続けて行くぞぉ! エフェクトセット!」
野朗 仁太「カテゴリ「魔法エフェクト」より 属性攻撃をオン!」
野朗 仁太「もちろんエフェクト名は「毒属性」! これで光星にアタックだぁ!」
クモモンスター「キシャー!」
壱天 光星「毒属性とはやるな仁太! 相性バッチリのエフェクトだ!」
壱天 光星「だけどオレも黙っちゃいないぜ! ガードエフェクト──オン!」
クモモンスター「ブシャー!」
野朗 仁太「あれぇ!?何それぇ!?」
壱天 光星「カテゴリ魔法エフェクトの防御魔法! 「葉の盾」のエフェクトだぜ!」
壱天 光星「現時点では唯一の防御魔法だな! ガードエフェクトの王道だぜ!」
壱天 光星「・・さて、次はオレのターンだ」
壱天 光星「エフェクトインッ!」
壱天 光星「へへっ!コイツはいいや!」
壱天 光星「・・なあ仁太、オレが前のターンに 投影したキャラを覚えてるか?」
野朗 仁太「光星が前のターンに 投影したキャラって・・」
ニワトリ(茶黒)「コッココッ─ コケーッコッコ!!」
野朗 仁太「ただのニワトリだけど・・・」
壱天 光星「そう!ただのニワトリだ! このままじゃ弱いよな」
壱天 光星「──このままなら、だけどな!」
壱天 光星「いくぜっ! まずはアイテム設置!」
壱天 光星「カテゴリ「食品→生鮮食品→果物」 の順で・・探索!」
壱天 光星「「禁断の果実」をニワトリに 食べさせるぜ!」
ニワトリ(茶黒)「コケッコッ──!?」
壱天 光星「禁断の果実・・つまり「知恵の実」!」
壱天 光星「コイツを食べたニワトリは・・・ 善悪を知り、知恵を持つ!」
壱天 光星「その結果──!!」
ルースターバトラー「ワタシハ チエアル ニワトリ──!!」
壱天 光星「へへっ!こうなるんだぜ! キャラの強化ってヤツだ!」
野朗 仁太「なっ・・・ なんだってぇ〜〜っ!?」
壱天 光星「・・・」
壱天 光星「──まあ、知恵の実の形状って」
壱天 光星「リンゴ以外にもイチジク説とか バナナ説とか色々あるらしいけど・・」
壱天 光星「説得力落ちるから絶対に言わないぜ!」
壱天 光星「さぁ行くぜ! 相手はクモの怪物だけど・・・」
壱天 光星「こっちはニワトリの紳士だ! 鳥と虫、同じモンスターなら」
壱天 光星「虫を食べるニワトリの方が強いっ!」
野朗 仁太「げげぇっ!そうかもっ!」
壱天 光星「コイツで決めるっ! カテゴリ「魔法エフェクト」より・・」
壱天 光星「「〜〜〜」をエフェクトオン!」
野朗 仁太「エフェクトの名前を 宣言してないっ!?」
野朗 仁太「いったい何のエフェクトをっ・・!」
野朗 仁太「いっ今のエフェクトは・・・!?」
壱天 光星「今のは分類「魔法の斬撃」 にあるエフェクト──」
壱天 光星「エフェクト名は「木の斬撃」! そう・・・「斬撃」だっ!」
壱天 光星「自然系は獣系と相性良いけど 今は刀剣を持たせてない! ややミスマッチなエフェクト!」
壱天 光星「だから、あえて聞こえないよう ・・・小声で宣言したっ!」
壱天 光星「このまま押し切る! いっけぇルースターバトラー!」
野朗 仁太「うっうひぃ〜〜!?」
野朗 仁太「うわあああああっ! やられたぁ〜〜っ!!」
バタンッ
壱天 光星「ようしっ!勝った!」
壱天 光星「バトル終了!エフェクトオフ!」
〇広い公園
しがないギャンブラー「ほほぅ・・・あの小僧 なかなかスジがイイじゃねぇか」
しがないギャンブラー「まずガードエフェクトだ コイツはカウンターと違って 相手の行動中に割り込めない」
しがないギャンブラー「相手行動が終わってからしか出せねぇ 反射神経もいるエフェクトだ」
しがないギャンブラー「キャラ強化も悪くない 言葉でリンゴの付加価値を底上げした」
しがないギャンブラー「そして極め付けは・・・」
〇広い公園
壱天 光星「コイツで決めるっ! カテゴリ「魔法エフェクト」より・・」
壱天 光星「「〜〜〜」をエフェクトオン!」
──ここだな
本来、エフェクト名ってのは
宣言した方が威力が増す
言霊が乗る分、何の攻撃をしたか
伝わりやすい・・説得力もダンチだ
だが、時にエフェクトは
名前と状況が一致しねぇ
そこであえて小声にするワケだ
エフェクト名がキャラに合わずとも──
相手に聞こえなければ
ノリと勢いで誤魔化せる
〇広い公園
しがないギャンブラー「もちろん声に出さない分、相手に 伝わりにくく威力は下がる」
しがないギャンブラー「解釈次第じゃ逆効果になる リスクもたけぇんだが・・・」
しがないギャンブラー「ソレを承知の上で決め切ったな」
しがないギャンブラー「・・あの赤い小僧、良〜いセンスだ」
???「さっきから独り言ウゼエ 更年期障害かクソジジイ」
しがないギャンブラー「おっと、問題児がやっと来たか」
摂津アキラ「ドブ臭い体臭しやがって 刺し殺すぞゴミ野郎」
しがないギャンブラー「はっはっは!年だからな! ダンディ〜な香りだろう!」
摂津アキラ「早く要件言えやチンカス! 人間ごときが・・目ん玉抉るぞ!」
摂津アキラ「・・いやダメだ我慢できねぇ! やっぱり目ん玉抉り取ろう!」
摂津アキラ「さ〜て刃物アイテムは〜」
しがないギャンブラー「待った待った! オマエが出すとシャレにならん!」
しがないギャンブラー「それに相手は俺じゃねぇよ ──ちょうど良いヤツを見つけた」
摂津アキラ「アァン?」
摂津アキラ「へぇ・・・確かにウマソウだな」
摂津アキラ「潰し甲斐ありそうなザコだ! グッチャグッチャにしてやるぜ!」
しがないギャンブラー「・・・さーて」
しがないギャンブラー「コレでアイツの危険度・・ もとい強さが測れるな」
しがないギャンブラー「ようやく俺の推薦枠も 決まりそうだ!」
阪神競馬場、第3レース・・・
しがないギャンブラー「おっと次が始まっちまう!」
しがないギャンブラー「エフェクトバトルより お馬さんだ!お馬さん!」
〇開けた交差点
光星たちがいる公園より
少し離れた道路にて──
大禅師ジャック「うん、定刻通りだ この調子なら時間ピッタリかな」
大禅師ジャック「おおかた、光星くんは早めに来て 仁太くんとバトルしてるだろうけど」
大禅師ジャック「久々に光星くんとの エフェクトバトルか・・」
大禅師ジャック「うん、楽しみだね 少し歩調を早めよう──」
大禅師ジャック「おや?アレは・・・」
〇開けた交差点
冥響寺スイ「・・ねえクロサビ、どうしよっか?」
クロサビ「にゃおん?」
冥響寺スイ「初心者のフリしたせいで 誘われちゃった・・・」
冥響寺スイ「どうしよ・・・帰りたい せっかくのお休みなのに・・」
冥響寺スイ「バトルヤダ・・ 家で寝たい・・・」
クロサビ「にゃ〜にぇ!」
冥響寺スイ「ダメ?ダメなの? ダメなんだ、ダメかぁ・・」
冥響寺スイ「・・・いっそお仕事モードで すぐに終わらせちゃおっかな」
クロサビ「にゃにゃっ!?」
冥響寺スイ「どうしたの?クロサビ」
冥響寺スイ「クロサビ?どこ行くのっ!?」
「──なぜこんな所にいるか知らないけど」
「今度こそ・・敗北の2文字を 返上する好機が巡ってきたか」
冥響寺スイ「だれ?」
大禅師ジャック「キミと会うのは・・・ コレで3度目だね」
大禅師ジャック「ボクの名は大禅師ジャックだ キミは覚えていないだろうが」
冥響寺スイ「・・・」
〇古い倉庫
〇開けた交差点
冥響寺スイ「・・・あっ!」
大禅師ジャック「思い出してくれたようだね」
大禅師ジャック「まあ、それよりもっと前の昔に ボクはキミに負けたんだけど」
大禅師ジャック「・・・そっちは別にいいよ 当時のボクが弱かっただけだ」
大禅師ジャック「だけどね、ボクもこの好機を 逃したくない」
大禅師ジャック「リベンジ、受けてくれないかな?」
冥響寺スイ「・・・しまった めんどうな感じだ」
冥響寺スイ「どうしよう・・・」
冥響寺スイ「・・・そうだ!」
冥響寺スイ「先に約束があるから・・ ごめん、ムリ」
大禅師ジャック「先に約束・・・ね」
大禅師ジャック「まぁ、ボクも光星くんや仁太くんと エフェクトバトルの約束があるか」
大禅師ジャック「わかった、無理強いはしない ・・・だけど約束して欲しい」
大禅師ジャック「いつかはボクのリベンジを 受けてもらおうか」
冥響寺スイ「・・・たぶん、りょうかい」
大禅師ジャック「“たぶん” ね・・」
大禅師ジャック「散歩の邪魔をして悪かったね 次こそ受けてくれる事を願うよ」
冥響寺スイ「・・・」
大禅師ジャック「──ボクも行くか」
〇ゆるやかな坂道
〇学校脇の道
「・・・・・・・・・・・・」
大禅師ジャック「これはボクの憶測だが・・・」
大禅師ジャック「キミの言う先約とはまさか 光星くんと仁太くんの・・・」
冥響寺スイ「なんで知ってるの?」
大禅師ジャック「なら行き先は同じ公園、だね 何度も会うからおかしいと思ったが・・」
大禅師ジャック「仁太くんの言ってた転校生はキミか」
大禅師ジャック「・・ん?なら光星くん達は キミの正体を知ってるのかい?」
冥響寺スイ「正体って?」
大禅師ジャック「今さらシラを切らないで欲しいな カウンター特化のエフェクター・・」
大禅師ジャック「──四天王の一角、冥響寺スイ!」
大禅師ジャック「悪いが調べさせて貰った 優秀な執事がいるものでね」
冥響寺スイ「ちょっと待って、違う」
大禅師ジャック「──誤魔化してもムダだよ ボクや光星くんを簡単に倒した実力」
大禅師ジャック「なるほど、四天王と名乗るだけはある」
冥響寺スイ「ちがう・・私じゃない・・・」
大禅師ジャック「それで?なんで今はフードを 被っていないんだい?」
冥響寺スイ「だってオフの日だもん・・・」
大禅師ジャック「オフの日?」
大禅師ジャック「まさか、光星くんや仁太くんには エフェクターだと伝えてないのか?」
冥響寺スイ「だって・・・学校では ただのクラスメイト・・」
大禅師ジャック「何か事情がありそうだが、ボクは 光星くんと仁太くんの友人だ」
大禅師ジャック「友人として、キミの正体は 彼らに伝えるつもりだから」
冥響寺スイ「それ困る、やめて欲しい・・」
大禅師ジャック「調子が狂うなぁ・・ 素の彼女は随分と気弱なのか」
大禅師ジャック「──まあいい、後で考えよう」
大禅師ジャック「ほら、公園に到着だ 聞こえてくるだろう?」
大禅師ジャック「光星くんや仁太くんの楽しそうな エフェクトバトルの声が・・・」
大禅師ジャック「──ッ!?」
大禅師ジャック「なんだ今のエフェクトはっ!?」
冥響寺スイ「カテゴリ「画面効果」の エフェクト名「不気味」──?」
大禅師ジャック「あっ!待ちたまえっ!」
大禅師ジャック「くっ・・いったい何が起きてるんだ!」
〇広い公園
大禅師ジャック「なんだコレはっ!?」
大禅師ジャック「エフェクトバトル中か!? いや、だとしても・・・」
野朗 仁太「もうやめろよぉ!!」
野朗 仁太「こんなのエフェクトバトル じゃないよぉ!!」
大禅師ジャック「この声、仁太くんかっ!」
野朗 仁太「うぅぅ〜っ! うわぁああっ!」
摂津アキラ「オイオイオイ! なんてヒドい言い掛かりだ!」
摂津アキラ「外見通りの低脳ブタだな それとも喋るラードか?」
摂津アキラ「どう見てもルール通りの健全で 模範的なバトルだってのに」
野朗 仁太「じゃあエフェクト消せよぉ! 光星もう気絶してるのにぃ!」
摂津アキラ「光星・・・? ああ、あの赤いボロ雑巾か」
壱天 光星「うぐぐっ・・!」
摂津アキラ「なんだ、元気そうじゃん! そうだよな〜光星クン!」
摂津アキラ「エフェクトバトルは 終わってないもんな〜」
壱天 光星「ぐっ・・オレは・・・ まだっ・・・!」
摂津アキラ「起きたね!ナイスガッツ! さすが雑巾は丈夫だ!」
摂津アキラ「アイテム「医療品→医療機器」で探索 投影した「不器用な外科医」に付与」
摂津アキラ「エフェクトは画面効果より 「血しぶき」をオンだ」
「飛沫の量は増やしといてやるよ!」
「うぎゃぁぁあっ!!?」
摂津アキラ「安心しろよボロ雑巾! ただのエフェクト!ただの幻だ!」
摂津アキラ「ホントに斬られた訳じゃない! 気をしっかり持つんだ光星クン!」
摂津アキラ「まあもっとも・・・ 『思い込み』で人は死ぬ」
摂津アキラ「ショック死する可能性は 否定できね〜けどなぁ!」
摂津アキラ「ヒャハッ! ギャハハハハハハハハッ!!!」
「そこまでだっ!!」
摂津アキラ「あ〜〜ん?」
〇広い公園
大禅師ジャック「ボクの名前は大禅師ジャック! キミにエフェクトバトルを申し込む!」
摂津アキラ「なんだよ、まだ他にもいたのか? ゴキブリ並みに湧いてくるな!」
野朗 仁太「ジャック!?」
大禅師ジャック「すまない仁太くん あまりにも到着が遅れた!」
大禅師ジャック「あの男はボクが倒す! キミは光星くんを頼む!」
野朗 仁太「う〜〜!わがったぁ〜〜!」
大禅師ジャック「さぁ・・タップギアを出したまえ!」
摂津アキラ「なんだオマエ?赤いボロ雑巾や 喋るラードの次は飼い主登場ってか?」
摂津アキラ「躾けがなってね〜ぞ! 飼い主として責任取れ〜!」
大禅師ジャック「へぇ、キミにはボクの友人が 雑巾やラードに見えるのかい?」
大禅師ジャック「特別な才能だね・・・でも 日常に支障が出ると危ない」
大禅師ジャック「おそらく心因性によるものだ 一度、心療内科へ相談してみては?」
摂津アキラ「はぁ?何言ってんだテメエ」
大禅師ジャック「おや!目の下のクマも酷いな! 寝不足による血行不良かい?」
大禅師ジャック「顔色も悪い、見るに堪えないよ 悪意とストレスに蝕まれた・・・」
大禅師ジャック「──ひどく醜悪な顔だ」
摂津アキラ「ヒャハッ」
摂津アキラ「ギャハハハハハハハハッ!」
摂津アキラ「い〜ぜオマエ! 付き合ってやる!」
摂津アキラ「叩いて潰して捻り切って〜 現代アートにしてやんよ!」
「タップギア起動! エフェクトオープン!」
摂津アキラ…またたちの悪そうなやつですね。口上のモデルはひょっとして零崎…?スペックもあいつ並だったらジャックでは勝てない!
スイちゃんの活躍が見れるのか!?
次回も期待しかないです。
盾、しかも毒を防ぐのに向いてそうな葉の盾とは…説得力バッチリですね!
キャラもニワトリ紳士や外科医など、こんなの居たんだ…って顔ぶれを見られて勉強になります✨
相当イカれたキャラが出てきましたねぇ~
こういう相手はジャックの「らしさ」が映えそうなので、次回のバトルも楽しみです!
親友のために立ち上がる展開…アツすぎる😆