異世界お届けドットコム

赤井景

第1話 「転生したら、そこは・・・」(脚本)

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〇黒
  キィィィィィィィィィィィ
  ガシャァァァンッ!!
  突然ですが、僕(アキロー)は死にました

〇幻想空間
  ・・・さん。アキローさん
  山田藤晃朗(やまだふじ あきろう)さん。
  私の声が聞こえていますか?
アキロー「う、うぅん・・・誰・・・?」
ハロワ―「私は女神ハロワー。 さあ、お目覚めなさい」
アキロー「へ? 女神?」
アキロー「って、ここは・・・」
ハロワ―「ここは輝きの野。魂の安息地──」
ハロワ―「貴方たち、地球(テラ・バース)の人間にとっては、『死後の世界』と言ったほうがわかりやすいでしょうか」
アキロー「死後・・・って、そうだあの事故!」
アキロー「バスにいきなりトラックが突っ込んできて、それで僕は・・・」
ハロワ―「死にました。あっさり。さっくり。 100%助かる余地なく。即死です」
アキロー「ううう、そうなんだ・・・享年17歳、短い生涯だった・・・」
ハロワ―「そうお気を落とさず。 貴方だけそうなったわけではありませんし」
アキロー「って、そうだよ、愛莉ちゃんは!?」
ハロワ―「アイリ? 誰です?」
アキロー「同じクラスの愛莉ちゃんだよ!」
アキロー「彼女もあのバスに乗ってて、だから今日はラッキーだなって思ってたのに・・・」
ハロワ―「残念ながら、あのバス事故に生存者はおりません」
アキロー「そんな・・・じゃあ愛莉ちゃんも・・・」
ハロワ―「即死です。痛ましいですね」
  とか言ってるけど、あまり悼んでいるように感じない。
ハロワ―「気のせいです」
アキロー「うわっ! 人の心、読まないで!」
ハロワ―「とにかく、私は本当に貴方たちの死を惜しいと思ってるのです」
アキロー「僕だって心残りだらけだよ」
ハロワ―「でしょう?」
ハロワ―「ですから・・・貴方が持っていたはずの無限の可能性を、新たな世界で活かしてみませんか?」
アキロー「新たな世界?」
ハロワ―「はい。 いわゆる『異世界転生』というやつですね」
  異世界転生というとあれか。
  死んだ人間が、生まれ変わった先の異世界で滅茶苦茶活躍するっていう。
  平凡陰キャの僕でも、異世界の勇者としてちやほやされたり・・・?
ハロワ―「貴方が望むのであれば、次の世界での素晴らしい生活をお約束します」
ハロワ―「どうでしょう、アキローさん。 異世界転生、しますか?」
  →はい
   いいえ
ハロワ―「よかった。それでは・・・」
ハロワ―「契約成立、です♪」

〇異世界のオフィスフロア
アキロー「・・・って、あれ? もしかして、もう転生した?」
アキロー「というか、ここどこだ・・・?」
???「あー、はっけーん」
???「キミがー、今日からウチに来た新入社員クン?」
アキロー「誰!? っていうかナニ!?」
甘ロリ「天使ちゃんはー、天使ちゃん! キミの先輩だから、しっかり敬ってね♪」
アキロー「は、はぁ・・・?」
冴えない男「だめだよ、テンシエルくん。 彼、戸惑ってるじゃないか」
テンシエル「えー、でもオモカネ室長、ありとあらゆる次元の人間は天使ちゃんのこと知ってて当然だと思うんですけどー」
オモカネ「そんなわけないでしょ。 彼、転生したばっかりなんだし」
アキロー「あの・・・僕、本当に転生したんですか?」
アキロー「なんか、あんまり異世界って感じがしないんですけど・・・」
オモカネ「まぁ、うちは地球(テラバース)と似通った文明レベルだからねぇ」
オモカネ「だけどキミは間違いなく、弊社『まるちばドットコム』の新卒社員だよ」
アキロー「社員? ちょっと待ってください。 僕、前世じゃ高校生だったんです」
アキロー「働いた経験とかないんですけど・・・」
テンシエル「大丈夫大丈夫。 うち、未経験者歓迎だからー」
テンシエル「はいこれマニュアル~」
  どさっと置かれる紙の束。
  え、うそ、これ全部マニュアルなの!?
アキロー「いやいやいやいや、やっぱ無理です、無理ですって!」
テンシエル「えー、じゃあ死ぬ?」
アキロー「なんで!?」
テンシエル「だってー、ハロワーさんと契約したんでしょ?」
テンシエル「ウチで働けないっていうなら、転生からやり直すしかなくない?」
アキロー「んなバカな」
オモカネ「まあまあ、そんなに難しい仕事じゃないから」
アキロー「そもそも、なんの会社なんですか。 『まるちばドットコム』って」
オモカネ「平たく言えば、『通販会社』だね」
オモカネ「君には異世界転生の経験を活かして、通話オペレーターをやってもらいたい」
テンシエル「お客さんからデンワ入ってくるからー、それに受け答えしてー、うまいこと商品を売りつけるの」
アキロー「いやそれ、転生の経験とか関係ないですよね?」
テンシエル「そんなことないよー」
テンシエル「うちのお客さんって、いろんな異世界の人だしー」
アキロー「客が・・・異世界の人・・・?」
オモカネ「弊社は、『様々な次元界とつながりやすい場所にある』というのが強みでね」
オモカネ「だから数多の次元界から、連絡が入るんだ」
テンシエル「扱ってる商品も、いろんな次元からお取り寄せしたモノだしねー」
オモカネ「様々な次元界の商品を、様々な次元界の顧客に売る、『多次元商材通販』」
オモカネ「それが『まるちばドットコム』なんだよ」
テンシエル「ね? 他の次元のコトを知ってる方が、適任って感じでしょ?」
アキロー「それはまあ・・・そうかも?」
テンシエル「それにー、テラバースのヒトって、今異世界界隈で人気なんだよ~」
テンシエル「なにしろ、いろんな異世界で大活躍してるからね~」
テンシエル「キミにも期待してるからね、新人くん♪」
アキロー「は、はあ・・・」
  なんか思い描いてた転生とは違いすぎるけど、期待されてるっていうなら頑張ったほうがいいのか・・・?
テンシエル「あ、さっそくお客さんだね。 じゃああとはよろしく~」
アキロー「いきなり僕が対応するんです!? まだマニュアル読んでないんですけど・・・」
テンシエル「習うより~、慣れろだよ♪」
  RRRRRRRRR
テンシエル「ほらほら、お客さん待たせちゃダメだよ☆」
アキロー「ああもう、どうとでもなれ!」
  ガチャリ。
アキロー「え、えっと。 もしもし、アキローですけど・・・」
声「え? アキロー?」
アキロー「あ、すみません! えっと、こちら『まるちばドットコム』です!」
声「・・・晃朗くん、なの?」
アキロー「へ? ええ、はい。 今日から配属されたアキローですが・・・」
声「そっか・・・晃朗くんも、『こうなって』たんだ・・・」
  待って。
  この人、僕のことを知っている?
  というか、この声・・・。
  まさか・・・まさか・・・
声「わかるかな? 私、穂ノ咲愛莉(ほのさき あいり)」
アイリ「色々あって・・・。 今、『勇者アイリ』やってるの!」
  ──第1話 了──

次のエピソード:第2話 「お客様は勇者」

コメント

  • 公式のTapNovel様のTwitterを見て、YouTube動画を見てから飛んできました!!続きが気になる展開です!!あと声優の方々の声が良すぎですー♡♡(о´∀`о)続き楽しみにしてますー!!

  • こっちも楽しみにしてます

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