この度は第1回『怪人IP開発コンテスト』コンテストにご応募いただきありがとうございました。

東映エージエンシー様とのコラボレーションということで、「怪人」を主人公とした読切作品の募集をさせていただきました。
人気イラストレーター様12名に描き下ろしていただいた「怪人」を期間限定で使用できるということもあり、381件ものご応募をいただくことができました。

メディアミックスを見据えた豪華審査員たちによって評価を行い、以下の通り受賞作を選出させていただきました。

最優秀賞は、篠也マシンさんの『地下帝国アイドル！花咲ノノ！！』を選出させていただきました。

審査員のコメントを一部引用いたします。

「「地下怪人組織＝地下アイドル」という発想に興味をもった。登場人物の設定、背景などブラッシュアップすればもっと愛らしく、正しく「モンスターアイドル」という世界観が際だち物語性も増してくる印象です」
「「怪人女子(アイドル)」というジャンルの開拓に可能性を感じる。コスプレ要素、ダンスと音楽でマネタイズ、SNS動画への展開も可能。本物の地下アイドル等とのバトル・コラボ、他勢力(グループ)との地下・地上での覇権争い、下積みバイトのヒーローショーなど、実写、アニメ、コラボでも話が広がると感じた点で選定した」
「怪人が真面目にアイドルを目指すことで何をするにも面白くなるので設定自体がコメディとして秀逸。地上に出る展開を早める、主人公のドラマを強めることで、もう少し物語としての引きは作れるかと思う」
「アイドルを夢見る女子高生という型に合わせたものだが、その主人公が怪人であったというそれだけで、ジャンルとしての「ほのぼの感」もどこかスラップスティックな可笑しさに転換できる。スタイルとしてはスタンダードではあるのだが、ちゃんと「実は…」なオチもありギャップ萌えで楽しめた」

優秀賞は、松田エルナさんの『『怪人ハローワーク』へようこそ！！』を選出させていただきました。
こちらの作品は最優秀賞に次いで高い評価を得たため、特別に枠を設けさせていただきました。

審査員のコメントを一部引用いたします。

「平凡な特撮作品的な導入からの展開が上手いと感じました。正義と悪との対戦後の収拾のテーマとして面白い着想です。登場キャラクター数も豊富であり、軽妙なせりふ回しの中できちんと各々キャラ立ちしています。怪人達の特徴に合わせた場面場面の作り方もうまく、テッパンネタの人情噺をうまくまとめ上げています。怪人話というよりも雛森女子の成長物語といったところでしょうか？次作が読みたくなりました！」
「セリフがとてもうまく、一言でキャラクター表現できているしギャグのセンスも高い。構成も文句なしで、ドラマの盛り上げ方もコツをつかんでいる。怪人×職業でシリーズ化できるのでIPとしても作りがいがある」

佳作は、以下の作品となります。審査員のコメントとともにご紹介いたします。

オカリさんの『怪視病』

「怪人そのものがテーマで無く、「怪人」＝「ひとでないもの」が如何なるものかをオカルトチックに描いた部分が評価ポイントです。人間そのものが最も恐ろしい怪人になり得るものであることを、彼女との会話の中で不気味に表現できています。冒頭、彼女のセリフ「警察？…」に既に伏線が張られていたり、きちっとした計算を感じます。バッドエンドでなく、主人公がその能力を生かした第2の人生ストーリーも描けそうです」
「予想できるところはあるが、ホラーとしてのどんでん返しもキチンとしているように感じた。短編であるのだから、主人公のその症状は一体何だったのか？という段取りを省いた導入の仕方も無駄が削ぎ落とせて、その後の展開もテンポが出て良かったという印象を持った」

がっさんさんの『怪人は推し活に夢中です』

「アイドルに夢中になるという他にない設定の目新しさ。異世界キャラクター同志のコミカルテイストも興味深い。今後の発展と怪人キャラのバリエーション展開も期待できる作品」
「愚直で最強の筋肉男(怪人)が、男性アイドルに夢中になる設定は面白い。組織側が裏切りと勘違いして別怪人を送り込んでバトルとなる要素にも広がりを感じる。かけ引きなしで周りを巻き込んでいくドタバタコメディに期待。争いの虚しさ、過去の悪事への懺悔と清算、夢に向かって人生やり直しがきくという応援要素もアリな話であった」

米子さんの『悪の血筋』

「「正義と悪」がバディとなる着想は既視感ありつつ、役割分担する仕組みは興味深く感じた。悪側に比重が偏っている印象は修正が必要であるがキャラクターや事件解決のドラマ展開をブラッシュアップすれば面白さが増す期待は感じた」
「光と影は２つで一つ。そのコンセプトを「光あるところに闇が」というのことにせず、社会の裏で共闘して演じているという設定が秀逸。それを代々の家の生業として継いでるヒロインと代理として怪人を演る原因となった、亡くなった兄の思いや犯人探しもあり、短い中よくまとまっている印象。バディを組むヒーロー側との交流も優さしく、ヒロインの葛藤とその結末が単なるバットエンドではない余韻が残った」

最優秀賞に選ばれた作品は賞金の他、担当編集が付いて応募作品を長編にし、オリジナルイラスト付きの公式作品として発表する機会を提供いたします。
また、制作した作品は東映エージエンシーとともに様々なメディアミックスを検討いたします。

尚、枠の都合で惜しくも選出できませんでしたが、以下の8作品は最終候補に残りました。

怪人について真っ向から勝負しており迫力を感じられたDickinsonさんの『ナイトメア・ラプソディ』
少ない登場人物ながら各人物像がとてもよく描かれていたハマチノセナカさんの『カイジンノグルメ』
軽やかな設定のなかに重厚な要素を詰め込んでいる蔦峰トモリさんの『怪人デリバリー』
ヒーローと怪人の戦闘をスポーツに落とし込むという斬新な設定を描いた篠也マシンさんの『私立闘英学園怪人部！』
社会への復讐という怪人の設定を正面からしっかりと描いた西瓜頭さんの『インヴィジブル』
明るく楽しいヒーローものへのアンチテーゼを描いたのま崎　ぺる子さんの『ヒーローがいない未来に』
リアルな現実世界の人間描写と甘えのない展開が魅力だった香久乃このみさんの『Σ怪人エゴバイター』
重くなりがちな設定を語り口とキャラの軽妙さで読ませるオカリさんの『極めし蠱道は人の毒』

本コンテストではあえて『IP』という人によっては聞きなれない言葉を用いさせていただきました。
応募の妨げになるかなという想いもございましたが、『IP』という概念はエンターテイメントのライターを目指す上では避けて通ることのできないものであると考え、あえて残させていただきました。
最終審査に残った作品は、この意図をうまくとらえられたものであったと思います。

改めまして、この度は素晴らしい作品をご応募いただきましてありがとうございました。
次回のコンテストでお会いできることを楽しみにしております。