私がリンシャー家で一番長く勤めている女中でございます。私がこの物語の登場人物をご紹介いたします。
リンシャー家は街の車輪産業を支配下に置く名家。上流階級であることは勿論、一族全員が全身に車輪を着こなすワキルストであることが特徴でございます。ワキルストとは車輪を着ることで超常的力を発揮した者。私もタイヤ一輪を操る者ですが大旦那様や大奥様に到底及びません。車輪なる一族にお仕えでき至極光栄！

この女の本名はリナ。リイナという偽名を使ってリンシャー家のメイド試験を受けにきたのです。全身にバイクを着るバイクバレリーナとして華麗なる舞を踊り旦那様に気に入られ採用されました。仕事ぶりは真面目でありバイクを自在に操る車輪の力も十分。しかし怪しいのです。一体何を企んでるのやら…。

旦那様ことカーマス様はリンシャー家の長男。非常におっとりした優しい人物ですが頼りない面もありまして奥様の尻にしかっれぱなしでございます。
自動車を着こなし四輪紳士の異名を持ちますが他のリンシャー家の方々と比べても車輪力は弱く、ゆえに立場も弱い身でございます。
何やら新入りのメイド、リイナを気に入られたようで…嫌な予感がします。

奥様ことタンクーザ様。リンシャー家の長男、カーマス様の妻でございます。
タンクーザ様の一族は軍事産業に強く、大旦那様がカーマス様の結婚相手として選びました。
若い頃からの許嫁であり祝福された結婚でしたが奥様の気が強く喧嘩が絶えません。
全身に戦車を着こなし各砲台を自在に操る強力な力の持ち主です。