退職バトル

sfie

前編(初戦~課長戦後まで)(脚本)

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〇オフィスのフロア
係長「これは、退職願と受け取っていいんだな?」
五十嵐「はい。僕は本気です」
係長「そうか、辞めるのか・・・・・・」
係長「ならば私を倒してから行け!!」

〇オフィスのフロア
  係長の久米が勝負をしかけてきた
係長「どうした、貴様の実力はそんなものか!?」
五十嵐「どうしても係長と戦わなくちゃいけないんですか!?」
係長「そうだ、もっと怒れ。そして私に向かって来るんだ。新人時代のひたむきさを思い出せ!!」
五十嵐「主任パーンチ!!」
係長「わああ~」
  係長は戦闘不能になった
係長「くっ、私の負けだ・・・とどめを刺せ・・・」
五十嵐「いえ係長、僕はただ会社を辞めたいだけなんです」
係長「そうか──私は、最初から負けていたんだ、な・・・・・・」
  係長は眠るように眠りについた
五十嵐「か、係長~!!」

〇オフィスのフロア
野田「何の騒ぎかと思えば──」
野田「五十嵐君、あなたもしかしてこの会社の退職システムを理解しないまま退職願を提出したの?」
五十嵐「どういうことなんですか!?」
野田「この会社を辞めるには、自分より役職が上の社員を倒していく必要があるの」
野田「あなたは主任クラスだから、係長⇒課長⇒部長⇒統括本部長の順に戦い、そしておそらく社長がラスボスになるわ」
五十嵐「なぜ野田先輩はそんなに詳しいのですか?」
野田「私だけじゃない。あなたの退職の意向は、今ごろ全社員に伝達されているわ」
五十嵐「全社員に!?」
五十嵐「なんてガラス張りの社風なんだ」
野田「あなた最近主任になったのよね。とてもラッキーだった」
野田「もし一般社員クラスなら、不特定多数のバトルロイヤルに勝ち上がるところから始めなければならなかったのよ?」
五十嵐「なんて苛烈な退職慣行なんだ」
野田「ともかく、あなたは係長を倒した。これで残るは5人。ただ他にも注意点はある──」
五十嵐「教えてください!!」
五十嵐「何なんすかその用紙は!?」
野田「このバトル表には記載がないけれど、部長戦で次長が敵方の援軍として現れる場合があるわ・・・・・・」
野田「そしてなぜか本部長は棄権を表明──。あなた本部長と昵懇だったの?」
五十嵐「せいぜい2、3回喋ったことがあるぐらいですよ」
野田「真意は不明ね。でも追い風なのは確か。このチャンスを掴めるかどうかは五十嵐君、あなた次第よ」
  五十嵐のスマホが鳴った
五十嵐「課長からだ・・・・・・」
野田「来たわね──次は課長戦よ。無事に退職したければ、心してかかることね」

〇綺麗な会議室
五十嵐「失礼いたします」
課長「おーう、来たか五十嵐。辞めたいんやって?」
課長「悲しいなあ~、俺はお前のこと目をかけてきたつもりなんやけどな」
五十嵐(課長は見た目通り筋肉系のお方だ。即バトルになることも想定しておかなければ──)
課長「五十嵐、人間には何本の骨があるか知ってるか?」
五十嵐「えっと、100、いや200ぐらい? わかりません・・・・・・」
課長「俺も知らん」
課長「今までの退職希望者は、全員粉々にしてきたからな!!」

〇綺麗な会議室
  課長の大石が勝負をしかけてきた
課長「オラオラオラァー、喰らえこの野郎」
五十嵐「ぐおおお・・・・・・」
課長「なんやと、俺の衝撃波を耐えた!?」
五十嵐「課長。僕はあなたが思うよりずっと強くなってしまったようです」
五十嵐「課長のSHIGOKIのおかげかもしれませんね・・・」
課長「小癪な~」
五十嵐「あえてこの技でお応えしましょう。主任ビーム!!」
課長「うをおぁ~!!」
  課長、戦闘不能。
五十嵐「僕は早くこの会社を辞めたい!! 先を急ぐので、失礼──」
課長「ぐぬー。俺は認めん、認めんぞ・・・・・・」
部長「あーら、大石課長。負けちゃったの?」
課長「あぁ、部長。違うんです、これには訳があって──」
部長「言い訳なんて聞きたくない。こんな小僧に負けるなんて」
部長「八重樫!!」
次長「はい」
部長「この負け犬を始末しておいて?」
次長「かしこまりました」
課長「ま、待て。八重樫!? 同じ釜の飯を食った仲じゃ──」
課長「ぐわぁああああ!!」
五十嵐「ひでぇ、仲間を・・・やりやがった」
部長「五十嵐君? あなたもこうなるのよ。 それじゃ、部長室で待ってるから・・・・・・」

〇休憩スペース
  課長戦を終えた五十嵐だったが、その表情は曇っていた。
五十嵐「ダメだ。このままでは、あの部長に勝つビジョンが見えない」
野田「課長戦、激闘だったね」
五十嵐「野田先輩!!」
五十嵐「なぜご存じなんですか?」
野田「さっきの戦いは、社内のカメラを通じて全社員に配信されていたからよ」
五十嵐「全社員に!?」
五十嵐「どれだけガラス張りの経営だというんだ」
野田「部長はあなたを見くびってる。次の戦い、八重樫次長は一切手出ししないそうよ」
五十嵐「しかし部長単体でも、あれは相当な猛者ですよ・・・・・・」
野田「その程度の覚悟だったの!?」
  五十嵐はハッとした。目のウロコが500万枚はがれ落ち、常識を疑わずに思考停止していた自分に気づき、色々と考えさせられ、
  そしてハッとした。マスコミの洗脳に踊らされていたかと思うとゾッとし、こっそり開いていた動画サイトをそっ閉じした。
野田「気づいたようね・・・本来のあなたを取り戻せば、決して勝てない相手じゃない。健闘を祈る!!」
五十嵐(全然わからん)

次のエピソード:後編(部長戦~エンディング)

コメント

  • 退職するときの制度がおもしろかったです!
    最初の係長、すごく熱血だなあ〜、背景の炎がピッタリお似合いなくらい熱血だなあ〜と思いながら読み進めていたら、めちゃくちゃ弱くて笑っちゃいました😂
    それとも係長が弱いのではなくて主任ビームの威力が強いのでしょうか😂だとしたら、相当辞めたいと言う意思が強く伝わってきます。笑

  • 退職するのにも一苦労ですね笑
    まぁ戦わないにせよ退職って結構面倒ですよね…。
    戦った方がすっきりと辞められるのかもしれませんが、組織図が気になります笑

  • この退職システムからしてカオスで面白すぎですね!そして、バトル設定を受け入れている全ての登場人物、、、こんな会社、最高です!

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