ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.31/ THE RELENTLESS ENFORCER#10(脚本)

ヴィルペイン

ウロジ太郎

今すぐ読む

ヴィルペイン
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇繁華街の大通り
  俺は夜の街をバイクで疾走していた。
  防弾キャノビーが、モーターの振動と風でビリビリと震える。
エンフォーサー「AI、現場の情報を表示しろ」
  AR端末が海岸の地図を表示する。
  地図には赤い円が表示され「EMPジャミング発生中」の文字が点滅していた。
エンフォーサー「EMPジャミングが継続中、ということはまだナイトウォッチは現場か」
エンフォーサー「しゅーちゃん、無事でいてくれ!」
  俺はアクセルを全開にした。

〇黒
  VILLPAIN/ORIGIN
  THE RELENTLESS
  ENFORCER#10

〇海辺
エンフォーサー「・・・いた!」
  俺が砂浜に到着すると、海に腰まで浸かったしゅーちゃんが見えた。
  しゅーちゃんの目の前には、人型に歪曲した空間がある。
  光学迷彩を起動させたナイトウォッチだろう。
エンフォーサー「濡らして、光学迷彩を無効化したのか。 やるな、しゅーちゃん」
  ナイトウォッチがしゅーちゃんに拳を振りかぶる。
エンフォーサー「危ない!」
  俺はバイクのアクセルを全開にしたまま、ナイトウォッチめがけて突進した。
  ナイトウォッチの姿が迫る。
  突然、バイクの機能がEMPジャミングで一斉にダウンした。
エンフォーサー「ちっ。EMPめ! だが想定内だ。喰らえ!」
  衝突する直前、俺はバイクから飛び降りた。

〇海
  バイクは全速力の勢いそのままに、ナイトウォッチに激突する。
  激しい衝突音が響き、水柱があがった。
エンフォーサー「やったか?」
  俺は水面から立ちあがり、ナイトウォッチの姿を確認する。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
エンフォーサー「・・・バケモノめ」
  そのとき、すぐそばにいたしゅーちゃんと目が合った。
久常紫雲「・・・え、エン・・・」
エンフォーサー「行け。奴の相手は任せろ」
  俺はしゅーちゃんの前に立ち、ナイトウォッチと対峙する。
エンフォーサー「あの激突を喰らって、まだ立つか。 なら、出し惜しみはなしだ」
  俺はコートの裾を翻す。
  コートの内側には、無数の手榴弾と武器が吊られている。
  俺は手榴弾を掴むと、次々にナイトウォッチめがけて投げつけた。
  ナイトウォッチの周囲で、爆発による水柱がいくつもあがる。
久常紫雲「・・・!」
エンフォーサー「逃げろと言っている!」
久常紫雲「あ・・・う、うん・・・」
エンフォーサー「邪魔だ! 早くしろ!」
久常紫雲「わ、わかった・・・!」
  しゅーちゃんはとまどいつつ、砂浜に向かって走っていった。
  ナイトウォッチは、まだ立っていた。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
  しかし奴の身体のあちこちでノイズがはしり、光学迷彩が不安定になっている。
エンフォーサー「少しは、効いたか。 なら、ここからは・・・こいつだ」
  俺は警棒を構え、突進した。
エンフォーサー「よくも彼を巻き込んだな。 お前はここで始末させてもらう!」
  俺は矢継ぎ早に打撃を繰り出した。
  だが俺の怒涛の連続攻撃は、ことごとく回避された。
  かすりもしない。
エンフォーサー「速い!」
NIGHT WATCH「・・・・・・」
  ナイトウォッチが俺に迫り、右ストレートを放った。避けられない。
  俺は警棒を十字にしてガードした。
  奴の怪力で警棒が軋むが、なんとか耐える。
  しかし奴の攻撃はそれで終わらなかった。
  次は左のジャブ。
  次いでまた右ストレートのコンビネーションを、ガードの上から叩きこんでくる。
  一撃喰らうごとに、身体が悲鳴をあげる。
エンフォーサー「ッ・・・がっ! ぐッ!」
  痛みと衝撃で意識が乱れる。
  奴は隙を見逃さず、俺を蹴り飛ばした。
  パンチとは比べ物にならない衝撃を受ける。
  俺は数メートル吹き飛ばされ、水面に激突した。
エンフォーサー「・・・なんてパワーだ!」
  すぐに立ち上がる。
  しかし、ダメージで思うように動けない。
  おそらく、あばらが何本か折れている。
  その俺の目の前で、いつの間にか奴が拳を振りかぶっていた。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
エンフォーサー「なっ!?」
  奴の拳がガードの上から叩きこまれた。
エンフォーサー「~~~~~ッ!?」
  内臓が激しく揺さぶられ、意識が一瞬飛ぶ。
  俺はたまらず、膝をついた。
  そこに渾身の力のこもった一撃が迫る。
  身体が、勝手動いてくれた。
  なんとかガードが間に合う。
  しかしガードごと吹き飛ばされた。
  衝撃で警棒は折れ曲がり、仮面が砕け、俺の顔が露になる。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
  俺はそれでも、辛うじて意識があった。
  ふらふらと立ちあがる。
エンフォーサー「・・・ダメージを、喰らいすぎた・・・しかも仮面まで」
エンフォーサー「顔を見られたか・・・うっ」
  俺は吐血した。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
  蛸井の設計図どおりのスペックならばナイトウォッチは今、自分のEMPジャミングの影響でネットに繋がっていない。
  しかしこの戦いが終われば、俺の存在がゼニスにばれる。
  絶対にここで、奴を倒さなくては。
エンフォーサー「こいつを、使うしかないか」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:Ep.32/ THE ELUSIVE NIGHT WATCH #22

成分キーワード

ページTOPへ