ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.32/ THE ELUSIVE NIGHT WATCH #22(脚本)

ヴィルペイン

ウロジ太郎

今すぐ読む

ヴィルペイン
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇船着き場
  僕はエンフォーサーに助けられ、ずぶ濡れのまま町を走っていた。
  そのとき海の方角でいきなり、大爆発が起こった。
久常紫雲「!?」
  百メートル以上離れたはずなのに、ここまで爆風と衝撃波が押し寄せてくる。
久常紫雲「なにが起こったの・・・?」
  夜空にキノコ雲が浮かんでいる。
  呆然とする僕の目の前に、バステトが現れた。
久常紫雲「バステト・・・」
バステト「紫雲。智是の計画は破綻しました。 これまでです。智是はおそらく、もう」
久常紫雲「・・・!」

〇海
根須戸智是「私はもう、ここまでってことだよ」

〇船着き場
久常紫雲「僕は、認めない!」

〇荒廃したホテル
  認められるわけが、ない!

〇地下倉庫
  ナイトウォッチのスーツを着た僕は、テーブルの上に並べられた武器類やガジェットを確認していた。
  医療マイクロマシン注射から各種手榴弾、ゼニスの最新アイテムまでなんでもある。
バステト「紫雲。これでガジェットは全てですが、何をするつもりですか」
久常紫雲「ちーちゃんを助けにいく」
バステト「ですが、あれから2時間経過しています」
バステト「智是はすでに、ネストによって処分された可能性が非常に・・・」
久常紫雲「言わないで」
バステト「・・・了解しました」
久常紫雲「ネストの現状は? 警備体制とか、何か動きがあったとか」
バステト「現在のネストの内部状況は、不明です」
  バステトが空中に、ゼニスビルの地図を表示させた。
  そのゼニスの地下にある研究施設「ネスト」は真っ赤に染まっていた。
久常紫雲「なに、これ」
バステト「先ほど智是の通信発覚直後、ネストは非常事態モードに移行」
バステト「外部との接触を電子、物理、両方で完全に絶ちました」
久常紫雲「つまり、ちーちゃんがまだ無事って可能性は・・・残ってる」
バステト「現実的な確率ではありません」
久常紫雲「でも、ゼロじゃない」
バステト「なにより侵入に必要な情報が不足しています」
バステト「生還率は確実に10%を切ります」
久常紫雲「それが、なに?」
バステト「・・・10%を切るのは、成功率ではなく、生還率です」
バステト「なお成功率は・・・」
久常紫雲「確率の問題じゃない。・・・そうだ。 奥の倉庫って何入っているの?」
久常紫雲「何か使えそうなもの、ある?」
バステト「・・・あります」

〇武器庫
  僕は秘密基地の奥に併設された倉庫の扉を開いて、驚いた。
久常紫雲「・・・・・・」
  そこは兵器庫だった。
  対戦車ミサイルに爆撃用クラスターボム、対人ガトリングガン。
  それらを搭載可能な大型ドローンや自動運転車両が所せましと並んでいた。
久常紫雲「・・・ちーちゃんは、戦争でも始める気だったの?」
バステト「ゼニスを武力で制圧することも、選択肢の一つでした」
久常紫雲「つまり、これ全部使えば」
バステト「いえ。この程度の物量では一時的に混乱させるのが精一杯です」
久常紫雲「・・・混乱は、させられるわけか」
バステト「・・・推測ですが」
バステト「智是はこんな成功率も生存率も絶望的な作戦で、紫雲が無駄死にすることを望んでいません」
久常紫雲「でも約束したんだ。 ちーちゃんを助けて、僕も生き残るって」
  僕はヘルメットをかぶった。
ナイトウォッチ「だから、行くよ」

〇未来都市
  1時間後、ゼニスは燃えていた。
  倉庫にあったすべての大型ドローンと自動運転車両に兵器を搭載して、一斉攻撃をしかけたのだ。
  しかも攻撃は、ゼニス本社ビルだけでなく市内のゼニスの拠点を同時に標的にした。
  これにより、ゼニスは大混乱に陥った。

〇組織の廊下
  まんまとゼニスへの侵入に成功した僕は警報が鳴り続ける廊下を走っていた。
  スーツの上に軍用ボディアーマーを身に着けて、背中には金属製バックパック。
  腕にはガジェット満載のガントレットを装備している。フル装備だ。
ナイトウォッチ「今のところは、うまくいってる・・・か。 ・・・バステト?」
バステト「付近のシステムは掌握しました。 彼らは侵入に気づいていません」
ナイトウォッチ「いいね」
バステト「掌握できるのは、物理的な飽和攻撃でセキュリティがダウンしている今だけです」
バステト「再起動する前に撤退してください」
ナイトウォッチ「戻るときは、ちーちゃんを助けた時。 それだけだよ」
バステト「・・・再起動まで、あと1時間かからないと推測します」
バステト「再起動が完了した時点で、脱出は絶望的です」
ナイトウォッチ「時間ないな。で、地下にはどこから降りる? 早い方法は?」
バステト「早さ優先でしたら非常階段です。 敵と遭遇した場合は撃退してください」
ナイトウォッチ「戦闘前提ね。わかった」
バステト「紫雲の戦闘能力ならおそらく問題ありません」
バステト「サポートはお任せください」
ナイトウォッチ「うん。頼りにしてる」

〇非常階段
  ゼニス兵たちが銃を構えていた。
ゼニス兵「う、動くなっ!」
ナイトウォッチ「君らがねっ!」
  僕のガントレットから電撃がほとばしり、ゼニス兵たちが電光に包まれる。
ナイトウォッチ「ふぅ・・・これで、全部?」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:Ep.33/ THE ELUSIVE NIGHT WATCH #23

成分キーワード

ページTOPへ