Ep.30/ THE ELUSIVE NIGHT WATCH #21 (脚本)
〇海辺
僕とちーちゃんが浜辺で話していると、ちーちゃんの姿が、激しいノイズで乱れはじめた。
久常紫雲「・・・どうしたの? ちーちゃん!」
根須戸智是「・・・ジャミングよ!」
根須戸智是「たぶんEMPジャミング・・・通信・・・不安定にな・・・」
直後、ちーちゃんの姿が消えた。
久常紫雲「ち、ちーちゃん!?」
僕は素早く周囲を見回した。
久常紫雲「ジャミングって。こんな場所で? こんなことできるのって・・・」
〇海辺
久常紫雲「本物の・・・ナイトウォッチ・・・!?」
憧れの人物が、いま目の前にいる!
久常紫雲「すごい。やっと会えた」
〇黒
VILLPAIN/ORIGIN
THE ELUSIVE
NIGHTWATCH#21
〇海辺
久常紫雲「あの・・・ナイトウォッチさん、ですよね? お会いできて光栄・・・」
いきなりNIGHTWATCHさんが殴りかかってきた。
僕は反射的にかわす。
久常紫雲「えっ!? ちょっと、えっ!?」
彼はなおも、僕に拳を振るう。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
拳が僕をかすめるごとに、重く鋭い風切り音が響く。
当たればただでは済まない。
久常紫雲「ちょっと! ななな、なんで!?」
僕は間合いを外し、近くの釣り船の陰に逃げこんだ。
しかし彼は、構わずに船に拳を振るう。
木材が粉々に砕ける音が響き、あっと言う間に釣り船が真っ二つになった。
久常紫雲「げっ。なにその怪力! あの、もしかして・・・怒ってます?」
久常紫雲「僕がその、あなたの偽者やってるとか・・・ばれてます?」
彼は動きを止め、僕を観察している。
NIGHT WATCH「・・・・・・」
直後、彼の全身に画像が乱れたようなノイズがはしり、透明になった。
久常紫雲「光学迷彩!? ガチで殺る気!? まずい、まずいまずい! ・・・そうだ!」
僕は猛然と、海に向かって走った。
真後ろから、拳が風を切る音する。
久常紫雲「ぎゃーーっ! 死ぬ! 死ぬぅ!」
僕は水しぶきをあげながら、冷たい海の中に逃げ込んだ。
〇海
久常紫雲「これで!」
僕は振り向きざま、真後ろにむかって水しぶきを浴びせた。
光学迷彩は水に弱いと決まっている。
水は透明になったNIGHTWATCHにあたって、空中に人の形をした歪んだ空間が浮かびあがる。
全く見えないよりは、全然マシだろう。
〇海辺
NIGHT WATCH「・・・・・・」
彼は足を止め、水面を凝視している。
〇海
久常紫雲「き、気を悪くしないでくださいね?」
久常紫雲「もしかして、海苦手なのかな?」
僕はそろりそろりと沖のほうへ距離をとる。
久常紫雲「ちょっと、冷静にお話をですね・・・」
そのとき僕の視界に、不鮮明なちーちゃんの映像が浮かんだ。
根須戸智是「しゅ・・・ちゃ・・・! 繋が・・・た!」
久常紫雲「ちーちゃん!」
根須戸智是「あれのEMPジャミ・・・グ、かなり強力よ」
根須戸智是「しゅ・・・ちゃんのデバイス・・・特別製で対策もして・・・るけど・・・」
久常紫雲「ナイトウォッチに近付かれたら、また通じなくなる?」
根須戸智是「近付か・・・ても、通信強度・・・上げれば通信で・・・るけど、奥の手」
根須戸智是「独房から私・・・通信してること・・・ゼニスにバレ・・・るかも」
久常紫雲「うわ。じゃあ、無理しないで」
根須戸智是「うん・・・そのつもり・・・!?」
根須戸智是「来る! 弾道予測! 避けて!」
久常紫雲「!?」
AR端末が空中の何かをロックオンした。
それは、先ほどNIGHT WATCHがまっぷたつにした釣り船の舳先だった。
僕に向かって山なりの軌道を描いて飛んできている。
久常紫雲「弾道って! 船! うそぉ!?」
僕は横っ飛びをして身をかわす。
船の舳先が激しい水音を立てて着水した。
久常紫雲「あれ、投げたの? に、人間業じゃないんだけど!」
根須戸智是「ええ・・・人間じゃな・・・わ」
根須戸智是「あのパワー、間違・・・なくロボ・・・ト。 それも・・・軍事用」
久常紫雲「ナイトウォッチが、ロボット!?」
そのとき船の碇が飛んできた。
危うく回避する。
久常紫雲「確かに、人間はこれ投げられない!」
根須戸智是「この街・・・事情を考える・・・たぶん、ネストが作・・・たゼニス・・・新兵器だ思・・・わ」
久常紫雲「え? ええ? 嘘でしょ!?」
根須戸智是「前・・・ああいう新型ロボッ・・・兵士の開発計画・・・データベ・・・スで見たわ」
根須戸智是「ナイ・・・ウォッチは、ヒーロ・・・じゃなか・・・たのよ」
久常紫雲「かなりショックなんだけど・・・」
根須戸智是「切り替・・・て。あれ・・・私たちの敵よ!」
久常紫雲「なるほど。つまり、倒せと!」
根須戸智是「軍事用ロボッ・・・を丸腰で倒せ・・・わけな・・・じゃない!」
根須戸智是「逃げて。沖まで泳・・・で!」
久常紫雲「・・・あ。うん。確かに。了解」
根須戸智是「沖に出たら・・・船で拾うわ」
根須戸智是「奴・・・多分まだ水中・・・の戦闘のデータ・・・十分じゃないのよ」
根須戸智是「だからまだ襲って・・・こない」
僕は波打ち際のNIGHT WATCHの様子を確認する。
〇海辺
NIGHT WATCH「・・・・・・」
奴は身を低く屈めて、力を貯めているように見えた。
〇海
久常紫雲「・・・なんかやってる!?」
次の瞬間、奴が水しぶきをまきあげて、ジャンプした。
そして僕の目の前に、着水する。
久常紫雲「・・・!?」
根須戸智是「・・・まずい! しゅー・・・」
ちーちゃんの映像が激しく乱れて消える。
僕は素早く釣り船の舳先に隠れた。
しかし奴は蹴りの一撃で船を粉砕。
背後に隠れた僕に命中した。
とっさにガードはしたものの、僕は数メートル吹っ飛んだ。
久常紫雲「・・・ぐはっ! 速いし、重い! これ船がなけりゃ死んでた!」
久常紫雲「・・・!?」
奴が追撃に移ろうとしている。
久常紫雲「これ、やばい。死ぬかも・・・!」
そのときひどいノイズにまみれて、ちーちゃんが現れた。
根須戸智是「やらせないわ!」
根須戸智是「対ジャミングパッチ起動! 通信強度、限界まで上昇!」
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