メイド・ザ・リッパー

雛夢

#09 フレンドリィ・ブラッディ(脚本)

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〇洋館の一室
北園夜留「じ、時間切れ・・・?」
椎名小春「あ、大丈夫大丈夫、怒られてたんでしょ? ここからは私が話してあげる。責任あるし」
椎名小春「夜留ちゃんはもう寝てていいよ」
椎名小春「ジョゼット、案内してあげて。 あと、ベッドメイク」
ジョゼット「わかりました。夜留様、こちらへ」
北園夜留「あう・・・」
  夜留がジョゼットに連れられて、奥の寝室へと案内されていく。
  小春はそれを横目に眺めながら、真桜との通話を再開した。
椎名小春「真桜さん、ちょっと過保護すぎじゃないですか? 夜留ちゃんは貴女を気遣って、こうしているんですよ」
佐倉真桜「貴様・・・お嬢様に指一本でも触れてみろ。生まれてきたことを後悔させてやる」
椎名小春「何をそんなにいきり立っているのかわかりませんが・・・私は夜留ちゃんとチェスをしていただけです」
椎名小春「夜留ちゃん、強いんですね。関心しました」
佐倉真桜「・・・・・・」
椎名小春「ジョゼット、夜留ちゃんは? ベッドに入った?」
ジョゼット「とりあえず案内はしましたが・・・」
  小春は受話器の向こう側に聞こえないよう、小声でジョゼットに語りかける。
椎名小春「二時になったら夜留を殺しなさい」
ジョゼット「・・・え? よ、よろしいのですか?」
椎名小春「善哉寺と取引をしたの。 夜留を殺せば、私の品位が上がるはず」
ジョゼット「かしこまりました。 二時まであと五分少々でしょうか・・・」
椎名小春「真桜は私が足止めする」
ジョゼット「承知しました」
椎名小春「ああ、真桜さん? 聞こえますか?」
椎名小春「夜留ちゃんは朝咲さんともチェスをやっていたらしいですね」
椎名小春「・・・・・・」
椎名小春「真桜さん?」
椎名小春「・・・ちっ! ジョゼット! 夜留を拘束しなさい!」
椎名小春「真桜がこっちに向かってる! 絶対に夜留を外に出すな!」
ジョゼット「そ、それが・・・! いません・・・!」
椎名小春「はぁ!?」
ジョゼット「私たちが話し込んでる隙に、逃げたのかと・・・申し訳ありません」
椎名小春「あーもう! だったら、早く追いかけなさい!」
ジョゼット「わ、わかりました!」
椎名小春「あれだけ完璧に友達を演じてやったのに・・・結局、大事なのはあのメイドかぁ」
椎名小春「バカの発想は読めないってことか」

〇お嬢様学校
佐倉真桜「お嬢様・・・どこですか」
佐倉真桜(もう二時・・・早く見つけないと・・・)
ジョゼット「真桜さん」
佐倉真桜「!」
  ジョゼットの右手には、小振りの斧が握られている。
佐倉真桜「お嬢様に・・・何をした・・・」
ジョゼット「お互い、探している途中のようですね」
佐倉真桜「斧を持ってお嬢様に近づこうとは、無礼が過ぎます」
ジョゼット「・・・小春様と夜留様は交わらない運命だったようです」
佐倉真桜「結局、友達ごっこだったということですか」
ジョゼット「・・・・・・」
ジョゼット「夜留様とのチェスはとても楽しいものでした」
佐倉真桜「・・・そうですか」
ジョゼット「しかし、私は小春様のメイド。 夜留様とは、ご友人にはなれません」
佐倉真桜「来世では、主は選ぶことをおすすめします」
ジョゼット「何があろうと、私の主人は小春様だけです」
佐倉真桜「そうですか」
ジョゼット「恨みはないが・・・覚悟っ──」
  ジョゼットが真桜の元に駆け出した。
  真桜の上半身が沈み込む。
  彼女は左手で掴んでいた刀の柄に右手を添えた。
  刹那、踏み込んだはずのジョゼットの身体が後方に弾き飛ばされる。
  地に転がった彼女はもう、動かなくなっていた。
佐倉真桜「・・・・・・」
佐倉真桜「お嬢様を探さないと・・・!」

〇寮の部屋(ポスター無し)
佐倉真桜「ああ・・・」
北園夜留「すぅ・・・すぅ・・・」
佐倉真桜(戻ってきていたのですね。 外傷もないようですし、よかった・・・)
佐倉真桜「お嬢様・・・お疲れになっていたのですね」
北園夜留「うぅ・・・小春さん、私たち、友達だよね?」
佐倉真桜「・・・・・・」
北園夜留「すぅ・・・すぅ・・・」
佐倉真桜「・・・少々、出かけて参ります。 ゆっくり、お休みください」

〇洋館の一室
椎名小春「ジョゼット、遅いなぁ」
椎名小春「あんな貧弱ひとり始末するのに、どれだけ手間をかけてるの?」
  コンコン
椎名小春「やっと帰ってきた!」
椎名小春(いや・・・ちょっと待って。ジョゼットならノックなんてしないはず・・・)
椎名小春「誰?」
  小春がドアの覗き穴から外を覗く。
佐倉真桜「物騒な学園ですからね、はめ殺しの防弾仕様ですよ」
佐倉真桜「開けていただけませんか」
椎名小春「ジョゼットは失敗したのね〜。 まあ、捨て駒だったしどうでもいいけど」

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コメント

  • さ、最強すぎる!(笑)

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