初収録(脚本)
〇テレビスタジオ
この日は、「アイドルstruggle」初日の撮影が行われた
マリン「す・・・すごい・・・」
コノハ(あああ、あの、推しがいたセットと同じ・・・あわわわわ)
監督「おっ、みんな遅刻せずに来たなー!感心感心」
ヒマ「当たり前じゃないですか!」
監督「それじゃ、君たちは最初にメイクだな。 入口まで案内しよう」
〇ライブハウスの控室
「Pass☆Tell」の皆様、メイク入ってくださーい!
よろしくお願いしまーす!
アヤメ「すごい、プロにメイクしてもらうの初めてだ〜!」
モモ「お願いします♡」
あらー、肌綺麗だね!
普段何かお手入れしてる?
えっ中学生なの!?
じゃあ、学校行きながらこういう活動を?
メイク興味ある?
プチプラだとこのメーカーがお勧め♪
チークはオレンジ系が似合うんじゃないかな〜。肌が明るく見えるよ!
コノハ(結構話しかけられるんだなぁ。 美容院での会話も苦痛なのに、まさかここでも・・・)
はい、完成っ
マリン「わぁ・・・普段自分でやってるのと、全然違う!!」
コノハ「髪型も、こんなに可愛くアレンジしていただいたの初めてです! ありがとうございました!」
〇店の休憩室
ヒマ「へぇー、これが楽屋! 結構広いんだねぇ〜」
アヤメ「ロッカーもあるし、ハンガーもある! ってかウチより綺麗かも!」
ディレクター「初めまして。「アイドルstruggle」ディレクターの蓑輪大地と申します」
ディレクター「今から、グループ別ミーティングを行います」
ディレクター「まずはざっと、今日のスケジュールの確認です」
ディレクター「──── ────」
ディレクター「収録中、みなさんに喋ってもらうのは、自己紹介の時くらいですね」
ディレクター「一人一人止めてやるんで、ゆっくり落ち着いて喋ってもらって大丈夫です」
ディレクター「撮り直しできるから、失敗しても気にしないで」
ディレクター「シーズン1でデビューしたグループ知ってる?」
ディレクター「あのセンターの子なんて、5回くらい撮り直したからね!」
コノハ(推しっ・・・!)
ディレクター「最初はそういうものだから。 わからないことがあったらなんでも聞いてください」
ディレクター「みんなで良い番組にしましょう。 よろしくお願いします」
ヒマ「──っはぁ〜〜緊張した! あの人が、この現場で一番偉いんだよね?」
マリン「怖い人だったらどうしよう〜って思ってたけど、優しそうな人で良かったね!」
〇撮影スタジオ
次は「Pass☆Tell」さん、スチール撮影入りますー!
じゃあまず集合写真からねー。
その後個人の撮影するから、呼ばれるまでは控え室で待ってて
・・・はい、じゃあ次は、マリンさんお願いしますー!
マリン「お願いします!」
その線に立ってー
あ、もうちょい左肩下げてくれるかな
いいよいいよ!
体の向きはそのままで、もうちょっとひねれる?
手を顎のあたりに添えてみようか!
うん、顎引いてー!
お、可愛いねぇ♪
〇店の休憩室
ヒマ「はぁー、やっとお昼ごはん! 結構バタバタだったねぇ」
マリン「うん。番組の収録これからだもんねー。 一つの番組作るのに、こんなに色々やることあるんだね」
ヒマ「てかさ、スチール撮影楽しかったね! ポーズも指示してくれてやりやすかった♪」
ヒマ「アタシ、プロに写真撮ってもらったの初めて!」
モモ「うん、たくさん褒められて、いい気分にさせてくれたよね」
コノハ「そういえば、自己紹介考えました?」
アヤメ「うん、なんとなーく。 後でみんなで練習しない?」
ヒマ「そうしよ! 変なところないか確認してほしいー!!」
〇テレビスタジオ
時間になりましたー!収録入ります。
よろしくお願いしまーす!
「お願いします」
カメラ位置OK?
はいそれでは10秒前──
8、7、6・・・
それまで穏やかだっだ現場の空気が、一瞬にして緊張感を増す
5、4、3・・・
MC「MetPlixをご覧の皆様!お待たせいたしました」
MC「あの大人気企画「アイドルstruggle」シーズン3が始まります!」
MC「今回も、まだデビュー前のアイドルグループ5組、総勢20名の方々に集まってもらいました!」
MC「今回はどんなドラマが生まれるのでしょうか。 シーズン2までの振り返りをご覧ください」
──カット!
アイドルの皆様、指定の位置に立ってください
MC「3組目は、「Pass☆Tell」の皆様です!」
MC「こちらのグループは、どのようなグループを目指しておりますか?」
監督「うちのグループはエースやセンター、リーダーという役職は作らず、全員にチャンスがあるグループにしたいと思っています」
監督「そのため、担当カラーもあえてハッキリとした色を使わず、グループ名もパステルカラーから取りました」
MC「素敵な方針ですね♪」
監督「このグループのメンバーを決めるオーディションでは、僕も直接彼女たちのパフォーマンスを見させていただきました」
監督「まだまだ荒削りなところはありますが、個性的で魅力的だと思った5人を選びました」
監督「皆様もぜひ、推しを作ってください!」
MC「「Pass☆Tell」の頼もしい監督さんからのご紹介でした。 それでは、メンバーの自己紹介に移ります」
──カット!OK!
3カメ寄ってー!
目の前に、数台のカメラが近づけられる
最初は、モモさんから。
準備OK?
10秒前──8、7、6・・・
モモ「はじめまして!「Pass☆Tell」ピンク担当のモモです」
モモ「小さい頃からバレエを習っていて、歌うのも踊るのも大好きです!」
モモ「将来は、たくさんの人に元気と勇気を与えられるようなアイドルになりたいです。 応援してください☆」
MC「まぁ〜、初々しくてとっても可愛いですねっ!」
──ハイOK!
次は、アヤメさん
アヤメ「紫担当のアヤメです! 中学の頃に趣味でバンドを組んで、ボーカルやってました!」
アヤメ「正直、アイドルって、路線が違うかなって悩みました」
アヤメ「でも、今できることをトコトンやっていきたい! よろしくお願いします♪」
コノハ「オ、オレンジ担当のコノハです 昔からアイドルが好きでこの企画に応募してみました」
コノハ「学校ではジメジメ系と言われているので・・・ ジメジメ系アイドル(?)目指します」
コノハ「皆様の足を引っ張らないように頑張ります」
MC(ちょっ、個性的すぎる!どうやって返そう!!)
ヒマ「あ、えーっと、黄色担当のヒマです☆ 名前はひまわりから取っています。みなさんもぜひ「ヒマ」って呼んでください!」
ヒマ「趣味はカラオケとか、クラスの友達と流行りのお店行ったりとか」
ヒマ「歌もダンスも未経験ですが、頑張りまーす!」
マリン「「Pass☆Tell」水色担当マリンです。 ・・・」
マリン「・・・・・・」
──カット!
大丈夫大丈夫、もう一回、落ち着いてやってみようか
ヒマ「ちょっと、マリン、珍しいね。 いつも落ち着いてて冷静なのに」
モモ「緊張するよねー! ゆっくり喋って大丈夫だよ♪」
コノハ「あ、あの、人という字を手のひらに書いてですね、それを飲み込むと・・・」
アヤメ「次はいけるいけるっ! 楽屋であんなに練習したじゃん!」
マリン「・・・ありがとう」
マリン「「Pass☆Tell」水色担当マリンです。 私は、ずっと自分のやりたいことを探していて、ここに辿り着きました」
マリン「今は、このメンバーも歌もダンスも大好きです!」
マリン「だからみんなと一生懸命練習して、デビューしたい! よろしくお願いします」
〇テレビスタジオ
今日の収録は以上になります!
お疲れ様でした!
お疲れ様でしたー!
次回の収録は一ヶ月後の3月20日になります。今日お渡しした台本とスケジュールを各自確認して・・・
〇タクシーの後部座席
ヒマ「はぁー・・・疲れたねぇ」
マリン「30分番組で、こんなに時間かかるんだね」
監督「まぁ今日は初回だから、収録以外でも色々やることあったしな」
ヒマ「でもさぁ、なんか意外だった! アタシ、芸能界ってもっと怖いところだと思ってた」
ヒマ「ピリピリしてて、上の人が超偉そうで〜 撮影現場も怒鳴り声が響いてる〜みたいな」
マリン「確かに、みんな優しかったよね。私たちみたいな新人にも色々気遣ってくれたし」
監督「昔はそういう風潮の現場も多かったんだがなぁ」
監督「今の時代、悪い噂はすぐに広まるし、パワハラやセクハラにも厳しいからな」
監督「ま、これからもっと過酷な現場もあるだろうが、頑張れよ!」
「はいっ!」