〇お嬢様学校
佐倉真桜「ダンスの授業、お疲れ様でした。 お着替えはどうされますか？」
北園夜留「大丈夫、汗、かいてないから」
佐倉真桜「かしこまりました」
佐倉真桜「ダンスもかなり上達しましたね。 流石はお嬢様です」
北園夜留「真桜！」
佐倉真桜「は、はい!?」
北園夜留「くま、できてる・・・」
佐倉真桜「くま・・・？」
北園夜留「目の下・・・！ 黒い」
佐倉真桜「ああ・・・失礼いたしました。 時間が空き次第、化粧を直してまいります」
北園夜留「寝ないと、だめ。休憩してきて」
佐倉真桜「いいえ、それには及びませ──」
北園夜留「だめっ！」
佐倉真桜「で、ですが・・・」
北園夜留「め、命令・・・！ 命令っ！」
佐倉真桜「わ、わかりました。 では、少しだけ仮眠してまいります」
北園夜留「うん！」

〇お嬢様学校
北園夜留（真桜、やっぱり夜寝れてないんだ・・・）
？？？「夜留ちゃん。隣、いい？」
北園夜留「ひっ！」
？？？「あ、ごめんね、驚かせちゃった？」
椎名小春「私、小春っていうの。 椎名小春（しいなこはる）」
椎名小春「こっちはメイドのジョゼット」
ジョゼット「初めまして、北園夜留様」
北園夜留「・・・・・・」
椎名小春「えっと、一応、同期になるかな」
椎名小春「転入してきた夜留さんよりも少しだけ早く入学してるけど」
北園夜留「あ・・・き、北園夜留、です」
椎名小春「うんっ！ 夜留ちゃんは有名人だから知ってるよ」
北園夜留「ゆ、有名・・・」
椎名小春「もうカトリエームなんでしょ？」
椎名小春「すごいなあ、先生たちもどことなく夜留ちゃんに注目してるし」
北園夜留「え、そ、そうなの？」
椎名小春「そうだよ〜、私ね、ずっと夜留さんと話したかったんだ〜」
北園夜留「あう・・・」
椎名小春「あはは、緊張してるね〜」
椎名小春「そんなに警戒されると、なんだかいじめたくなっちゃうなぁ」
北園夜留「い、いじめ・・・!?」
椎名小春「あ、ちょ、引かないで引かないで、冗談だから」
北園夜留「うぅ・・・」
椎名小春「小動物みたいだなぁ。朝咲さんとはまた違うベクトルの愛嬌があるね」
北園夜留「お、お姉ちゃん、知ってるの？」
椎名小春「ううん。入園式の時に見かけただけ。朝咲さんは、なんというか、他の人とオーラが違くて目立ってたから」
北園夜留「うんうん・・・！」
椎名小春「上手く言えないけど、すごかったよ。わざとらしい上品さがなくて、自然体がもう清楚な感じ」
北園夜留「えへへ・・・」
椎名小春「あ、さては夜留ちゃん、お姉ちゃんっ子だね？」
北園夜留「うんっ！ お姉ちゃんはね・・・！」
北園夜留「お姉ちゃんは・・・すっごい優しくて・・・なんでも出来て・・・夜留の、自慢のお姉ちゃんで・・・」
北園夜留「・・・・・・」
　　夜留がうつむいて、目に涙を溜めている。
椎名小春「ご、ごめん。私、そんなつもりじゃ・・・」
北園夜留「ううん。だ、大丈夫！ は、話してくれて、ありがとう」
椎名小春「ねね、夜留ちゃん。友達になろっ？」
北園夜留「と、友達!?」
椎名小春「そ、友達！」
北園夜留「よ、夜留と、とと、友達っ!?」
椎名小春「そ、そんなに驚くことかな」
北園夜留「いいの・・・？」
椎名小春「もちろん！ むしろ、こっちからお願いしたいぐらいだよ〜。カトリエームの方とお友達になれるんだから！」
北園夜留「う、嬉しい・・・夜留、友達なんて初めて」
椎名小春「あ、てっきり私、夜留ちゃんは一人が好きなんだと思ってた」
北園夜留「えへへ・・・」
椎名小春「私も友達ほしくて色々な人に声をかけてたんだけどね」
椎名小春「なんか、みんな高飛車というか・・・家柄ばっかり気にされてさ」
椎名小春「私の家なんて全然力ないから、すっごい上から来られるんだよね〜」
北園夜留「家柄・・・？」
椎名小春「あはは、夜留ちゃんはそういう心配したことない感じだよね」
北園夜留「き、北園家って、有名なの・・・？」
椎名小春「う〜ん・・・誤解を恐れずにいうと、北園家ってよりも、朝咲さんが有名だったよ」
椎名小春「社交界の超新星って言われてた」
北園夜留「そっか・・・！」
椎名小春「まあ、家柄なんてどうでもいいよ。私は夜留ちゃんと友達になりたいんだから！」
北園夜留「あ、あの、友達って何すればいいの？」
椎名小春「え？」
北園夜留「あ・・・ごめんなさい」
椎名小春「や、ごめんごめん。そうだねえ、一緒にご飯食べたり、お話したり、とか？」
北園夜留「お、お話・・・夜留、頑張る・・・！」
椎名小春「気張らなくていいんだよ〜。あ、じゃあ、明日のランチ一緒に食べよう？」
北園夜留「う、うんっ！」
椎名小春「じゃあ、また明日ね！」
北園夜留「あ、さような・・・ま、また明日！」

〇寮の部屋（ポスター無し）