#04 憎を込めて復讐を(脚本)
〇おしゃれな食堂
善哉寺の傘下にいた生徒が真桜によって殺されたという噂は、またたくまに生徒たちの間に広まった。
ある生徒は夜留達を睨みつけ、ある生徒は何やらヒソヒソと話し込んでいる。
北園夜留「ま、真桜・・・夜留、また見られてる?」
佐倉真桜「はい。注目の的です」
北園夜留「え・・・なんで」
佐倉真桜「大方、お嬢様の実力が判明して、恐れているのでしょう」
北園夜留「カトリエームになったから?」
佐倉真桜「そうですね。どうやら、この短期間で品位を上げたのが珍しいようです」
佐倉真桜(他のお嬢様を殺せば、その分こちらの評価も上がる、ということですか・・・)
北園夜留「・・・・・・」
佐倉真桜「朝咲お嬢様の悲願に一歩近付いたのです。 お喜びになってください」
北園夜留「うん・・・そうだね」
北園夜留「真桜・・・危険なことは、しないで」
北園夜留「真桜までいなくなったら、夜留・・・どうしたらいいか・・・」
佐倉真桜「大丈夫ですよ。 お嬢様が心配することは何もありません」
〇おしゃれな食堂
善哉寺鏡日「葵達が襲われたらしいですわね」
林要「はい。昨晩、北園家のメイドがお嬢様の部屋の前まで来ていたようです。二人、やられました」
善哉寺鏡日「葵は? 姿が見えないようだけど」
林要「部屋にこもっているようです。精神的な攻撃を強く受けたものと考えられます」
善哉寺鏡日「ふふ、わたくしへの宣戦布告のつもりかしら?」
林要「いかがいたしましょう」
善哉寺鏡日「殺してきなさい、と命令するのは簡単ですが・・・貴女はわたくしを守ることに全力を尽くしなさい」
善哉寺鏡日「あの女からわたくしを守れるのは貴女だけですわ、要」
林要「かしこまりました。 お嬢様には指一本触れさせません」
〇お嬢様学校
佐倉真桜「それでは、行ってらっしゃいませ」
北園夜留「真桜はこないの?」
佐倉真桜「確か、次は政治学の筆記テストだったはずですから、メイドは入室禁止なのです」
北園夜留「え・・・夜留、一人・・・?」
佐倉真桜「心配いりません。 机に着いて、テストを受けるだけですよ」
佐倉真桜「終わる頃に迎えに参りますから」
北園夜留「うん・・・頑張る」
佐倉真桜「はい、行ってらっしゃいませ」
夜留は何度も振り返りながら、教室の方へと歩いていった。
〇お嬢様学校
中庭のベンチに座って目を閉じていた真桜に、一人のメイドが声をかけた。
林要「北園家のメイドですね」
佐倉真桜「貴女は──」
佐倉真桜「・・・はい、北園家のメイド、佐倉真桜です。貴女は善哉寺様のメイドですね?」
林要「はい、林要(はやしかなめ)と申します。挨拶が必要かと思いまして、声をかけさせていただきました」
佐倉真桜「ありがとうございます。ですが、申し訳ありません、私は急ぎますので」
真桜が立ち上がり、要に目もくれずにその場を後にしようとする。
林要「そう警戒しないでください。今回は善哉寺様の使いできたわけではありません」
佐倉真桜「そうですか・・・すみませんが本当に急いでいるので、また後日にしていただけますか?」
林要「悪いことは言いません。 手を引いてください」
佐倉真桜「・・・今、何と?」
林要「手を引けと言ったのです」
佐倉真桜「はあ、一体何の話を──」
林要「あの可愛い妹君も同じ目に遭いますよ」
佐倉真桜「・・・黙れ」
林要「そう凄まないでください。まだ昼です」
佐倉真桜「・・・・・・」
林要「私は、善意から申し上げております」
佐倉真桜「よくも抜け抜けと言えたものですね」
林要「無駄な血を流すのは避けたいのです」
林要「大切に思う人を危険にさらしてまで、貴女のやろうとしていることに価値があるのですか」
佐倉真桜「私にとって、貴女がたの血は無駄ではありません。流れるべき血です」
林要「それは貴女のエゴでしょう。従者としての役目を忘れているように見えます」
佐倉真桜「私の主人を殺しておいて、主従関係を説こうというのですか」
佐倉真桜「呆れ果てて、言い返す気にもなれません」
林要「・・・・・・」
佐倉真桜「もう話すことはありません。さようなら」
〇広い廊下
教室の出口前にはテストを終えた生徒たちが集まっていた。
北園夜留(真桜、どこだろう・・・?)
善哉寺鏡日「夜留さん、カトリエームへの昇格おめでとうございます」
北園夜留「あ・・・えっと」
北園夜留「ありがとう、ございます」
善哉寺鏡日「お姉さんを超えた気分はどうかしら?」
北園夜留「え・・・?」
善哉寺鏡日「貴女のお姉さんは最下位クラスのままで終わってしまいましたから」
北園夜留「さ、最下位・・・」
善哉寺鏡日「そうですわ。よかったわですわね、お姉さんよりも優秀なことが証明できて」
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わぁ、一気読みしてしまいそうです!ガンガン読ませていただきます!ありがとうございます!