メイド・ザ・リッパー

雛夢

#03 メイド・イン・ホワイトチャペル(脚本)

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雛夢

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〇お嬢様学校
佐倉真桜(朝咲お嬢様、戻ってまいりました)
佐倉真桜(貴女は怒るかもしれませんが、これは、私のための戦いなのです)
北園夜留「真桜・・・これ、夜留の花?」
  夜留が指さした先に掲示されているのは、ピラミッド型のボードである。
  上から、プルミエ、ドゥジエーム、トロワジエーム、カトリエーム、サンキエームの五段階に区切られている。
  ボードには、生徒たちの名前が書かれた花がいくつも刺さっていた。
  サンキエームの位置に刺さっている夜留の名前の記された一輪の花は、夜顔だった。
佐倉真桜「はい、この花を頂上のプルミエまで押し上げるのが私たちの目標です」
北園夜留「あう・・・夜留、が、がんばるね。 絶対、やり遂げる・・・!」
佐倉真桜「はい、全力でお供いたします」

〇おしゃれな食堂
  食前、学園長より夜留の紹介があった。
  生徒たちが夜留の姿を見て驚いている。
善哉寺鏡日「ふふふ・・・」
榊原葵「善哉寺さん! 笑ってる場合ですか!」
善哉寺鏡日「葵、何を怯えているの?」
善哉寺鏡日「この展開は初めてだわ、ねえ、ワクワクするでしょう?」
榊原葵「あのメイド絶対に私たちを狙ってきますってば!」
榊原葵「彼女の目、見ました!? 殺し屋の目をしてましたよ!」
善哉寺鏡日「貴女、殺し屋の目を見たことがあるわけ?」
善哉寺鏡日「大丈夫よ、夜中の一時間だけ、気をつけていればいいのだから」
善哉寺鏡日「それとも何かしら? 貴女のメイドはそんなにひ弱?」
榊原葵「そうじゃないですけど・・・」

〇おしゃれな食堂
北園夜留「真桜ぉ・・・みんな、こっち見てる・・・」
佐倉真桜「夜留お嬢様が美人だから、嫉妬してるんですよ」
北園夜留「違うぅ・・・」
佐倉真桜「朝咲お嬢様と瓜二つですから、死人が蘇ったのかと驚いているんです。放っておきましょう」
北園夜留「うぅ・・・」
佐倉真桜「夜留お嬢様、ナイフの持ち方が違います」
北園夜留「え・・・違う・・・?」
佐倉真桜「些細な仕草も成績に関係するみたいですから。直していきましょう」
北園夜留「真桜ぉ・・・やっぱり夜留、ダメ人間」
善哉寺鏡日「ふふ、よければテーブルマナーをお教えしましょうか?」
善哉寺鏡日「私、動物園でお猿さんにフォークとナイフの使い方を教えたことがあるの」
北園夜留「あ・・・」
佐倉真桜「失せろ」
善哉寺鏡日「言葉には気をつけたほうがいいわ」
善哉寺鏡日「知らないみたいだから、この学園のマナーを教えて差し上げますわね」
善哉寺鏡日「学園内では品位による上下関係は絶対なの。貴女達が私に無礼を働けば、即刻反省室行きですわよ?」
北園夜留「ま、真桜・・・」
佐倉真桜「・・・はあ」
佐倉真桜「善哉寺様、失礼いたしました」
佐倉真桜「ですが、お嬢様は初日でひどく緊張なされています。ご挨拶は日を改めていただけませんでしょうか」
善哉寺鏡日「聞いてなかった? 貴女は私にお願い事ができる立場ではありません」
  真桜が無表情で善哉寺を睨みつける。
善哉寺鏡日「まあいいでしょう・・・今回は不問にいたしますわ。またね、夜留さん」
北園夜留「あの人、善哉寺さん・・・お葬式来てた人」
佐倉真桜「え!? 奴が来てたのですか?」
北園夜留「う、うん。感じ悪くて、お姉ちゃんと真桜のこと・・・バカにしてた」
佐倉真桜「殺してやる・・・」
北園夜留「真桜・・・?」
佐倉真桜「あ・・・いえ、なんでもありません。 さあ、お食事を済ませてしまいましょう」
佐倉真桜「テーブルマナーは私が教えますから」

〇寮の部屋(ポスター無し)
北園夜留「ごめんなさい。 ダンスの先生も、すごく呆れてた・・・」
佐倉真桜「大丈夫です。あんなものは慣れですから、最初は出来なくて当然です」
北園夜留「ディベート、一言も喋れなかった」
佐倉真桜「ディベートに『正しさ』は要りません。 詭弁でいいのです、とにかく『それっぽく』語ってください」
佐倉真桜「人は思い込みやすい生き物です」
北園夜留「真桜、なんでもできる・・・すごい」
佐倉真桜「・・・・・・」
佐倉真桜「私はなにも、出来なかったのです」
北園夜留「真桜・・・」
佐倉真桜「お嬢様。もうおやすみになってください。 明日も早いのですから」
北園夜留「まだ、眠くない・・・。 真桜は何してるの?」
佐倉真桜「ドアと窓の強化です」
佐倉真桜「簡易的ですが、内側からも外側からも簡単には開かないようにします。夜の間だけですが」
北園夜留「・・・真桜、何か隠してる?」
佐倉真桜「はい、隠しています」
北園夜留「えう・・・はっきり、言うね」
佐倉真桜「お嬢様、私たちはお互い共通の目的を達成するために来ました」
佐倉真桜「無礼を承知で言います。 私を信じてください」
北園夜留「うん・・・!」
佐倉真桜「え・・・いいのですか?」
北園夜留「真桜を信じるのは・・・難しくない」
佐倉真桜(こういうところは、朝咲お嬢様そっくりですね)
佐倉真桜「ありがとうございます、お嬢様。 それでは、良い夢を」
北園夜留「あ・・・真桜。お願い、あるの!」
佐倉真桜「はい、なんでも言ってください」
北園夜留「一緒に寝たい・・・」
佐倉真桜「申し訳ありません、その、私は安全のためにしばらくは起きていようと──」
佐倉真桜(そういえば、あの日の朝咲お嬢様も一緒に寝たがっていましたね)
佐倉真桜「いえ、やはり一緒に寝ましょう。 狭くしてしまいますが・・・」
北園夜留「へへぇ・・・やったぁ!」

〇寮の部屋(ポスター無し)
佐倉真桜「・・・・・・」
佐倉真桜「お嬢様?」
北園夜留「すー・・・すー・・・」
佐倉真桜「・・・朝咲お嬢様、仇は取ります」

〇おしゃれな廊下
  真桜が暗い廊下を歩いている。
  懐中電灯の光は彼女の足元を照らす。
佐倉真桜「部屋に灯り・・・?」
佐倉真桜「あそこが善哉寺の部屋か」
  寮室のひとつ、その前で明かりが灯されている。
  お嬢様とメイドが数人、何やら話し込んでいた。
佐倉真桜「あれは確か、善哉寺の取り巻きのひとり、榊原葵(さかきばらあおい)?」

〇おしゃれな廊下
榊原葵「いい? 北園の妹は絶対に攻めてくるはず」
榊原葵「昨日は来なかったけど、今日は来る。 じゃなかったら明日来る」
榊原葵「善哉寺様を守るの、全力でね」
  葵が周りのお嬢様とメイドに指示している。

〇黒
  その時、葵達を照らしていたランタンが消え、辺りが真っ暗になった。
榊原葵「!?」
榊原葵「ちょ、ちょっと! 莉子、どこなの!? 私のメイドなら私を守りなさい!」
宮島莉子「葵様! こちらへ!」
宮島莉子「敵も見えないはず! 落ち着いて!」
  生徒の悲鳴が廊下に響き渡る。
  それは獣の鳴き声に似ていた。
榊原葵「ひぃっ! ど、どどうしたの!?」
生徒「ぅ、腕が・・・」
宮島莉子「葵様! 私の手を掴んで、走ってください! あいつ、見えてます!」
宮島莉子「いや、見えてないほうが見えるタイプの武人ですっ!」
榊原葵「ど、どういうこと!?」
宮島莉子「いいから走って! 曲がりますよ!」
榊原葵「さっきの子達は!?」
宮島莉子「見捨てましょう! 出血からして助かりません!」

〇大教室
榊原葵「はぁはぁ・・・ここまで来れば・・・」
宮島莉子「しっ! 小さい呼吸を繰り返してください」
「・・・・・・」
  空気が切れる音がする。
榊原葵「きゃああああ!」
宮島莉子「葵様!」
宮島莉子「どこだっ・・・どこにいる!」
  莉子が叫び終わると、室内は再び静かな空間に戻っていく。

〇黒
  後悔の時間をくれてやる
  暗闇の中、真桜の声が響いた。

〇大教室
  部屋がパッと明るくなる。
  電気が点いたのだ。
  時刻は午前三時ちょうどを指している。
榊原葵「・・・ひっく・・・ひっく」
  ぺたりと座り込んで泣く葵の頬からは血が流れていた。
宮島莉子「葵様・・・申し訳ありません」

〇お嬢様学校
  午前七時。
  中央のボードの前に夜留と真桜がいた。
北園夜留「あれ・・・私の花、品位が上がってる」
  夜顔がカトリエームの位置に移されていた。
佐倉真桜「やりましたね、お嬢様」
北園夜留「なんで・・・」
佐倉真桜「品格を早々と身に付けていくお嬢様の努力が認められたのでしょう」
  ボードの周りには花びらが散っていた。
  それは、赤いチューリップと白百合の花びらだった。

次のエピソード:#04 憎を込めて復讐を

コメント

  • ううう!今回もとっても痺れました!(笑)語彙力がなくてすいません。メイドさんには頑張って欲しいです!^^

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