君との時間が甘すぎて

根本桃安(ねもとぴぁ)

エピソード1(脚本)

君との時間が甘すぎて

根本桃安(ねもとぴぁ)

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君との時間が甘すぎて
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〇学生の一人部屋
天杉 ナツ「こちら天杉 聞こえますか?」

〇女の子の部屋
小豆澤 小梅「こちら小豆澤! 聞こえるであります!」

〇学生の一人部屋
天杉 ナツ「小梅ちゃん! おつかれサマデー♪」
天杉 ナツ「今日はどんな気分でスカイ?」

〇女の子の部屋
小豆澤 小梅「おつかれッチ ナツ君!」
小豆澤 小梅「今日は飴ちゃんな気分なり!」

〇学生の一人部屋
天杉 ナツ「うっれし♪ 俺も同じ気持ち!」
天杉 ナツ「じゃぁさ今日は 飴玉が溶けるまで 見つめ合おっか」

〇女の子の部屋
小豆澤 小梅「ナツ君」

〇ゆめかわ
  15時15分
  オンライン授業の終わりと同時に
  俺達のオンラインデートは始まる
  同じ時、同じお菓子を共有する
  二人だけのスウィート・タイム
小豆澤 小梅(直接会えなくたって こうしてるだけで)
天杉 ナツ(チョコレートみたいに 時間が溶けていく)
(マスクも誰も邪魔できない 二人だけの金平糖タイム)
お兄ちゃん「邪魔するよ!」
小豆澤 小梅「お兄ちゃん!」
天杉 ナツ「お兄さん?!」

〇女の子の部屋
小豆澤 小梅「ちょっと! デートに割り込まないでよ!」

〇学生の一人部屋
天杉 ナツ「家族とは言え レディーの部屋に勝手に 入るのは失礼でしょう?」

〇法廷
お兄ちゃん「背景固定するぞ 落ち着かん」
天杉 ナツ「なぜ裁判所?!」
お兄ちゃん「俺は裁判官の卵だからな」
小豆澤 小梅「法学部志望の浪人生じゃん」
お兄ちゃん「お前らみたいな馬鹿に 割く時間も惜しいから端的に言う」
お兄ちゃん「お前らうるせぇ 勉強の邪魔だ」
天杉 ナツ「そんな!今日は 見つめ合ってただけです!」
お兄ちゃん「飴なめる音すら耳に障るんだよ!」
お兄ちゃん「やれ画面ごしポッキーゲームだ やれフエラムネで愛を奏でるだ」
お兄ちゃん「そんな頭もノリも軽いヤツに 妹を任せられるか!別れろ!」
天杉 ナツ「無理です! 将来を誓ったので!」
お兄ちゃん「なんだと学生の分際で!」
小豆澤 小梅「私も初耳だよぉ」
天杉 ナツ「あれは小学生のとき──」

〇ボロい駄菓子屋
子供時代のナツ「近所の駄菓子屋で よく見かける女の子」
子供時代の小梅「さくらんぼもちおいしかったよ!」
子供時代の小梅「いつもおかしをうってくれて ありがとう!」
子供時代のナツ「いつもニコニコ おばあさんに挨拶してた」

〇教会の中
天杉 ナツ「笑った小梅ちゃんの 桃色マシュマロほっぺを 一生守りたい!」
お兄ちゃん(こいつ、いつの間に 立ち位置と背景を変えやがった?)
お兄ちゃん(愛の力を前に 屈服するしかないのか?)
天杉 ナツ「小梅ちゃんの家族は俺の家族! お兄さんのことも大切にします」
お兄ちゃん「へ?」
天杉 ナツ「お兄さんは俺が必ず 受からせます!」
お兄ちゃん「いやFランだろお前」
お兄ちゃん「図に乗りやがって! 俺が落ちたら別れろよ!」
小豆澤 小梅「お兄ちゃんの助っ人だなんて 頭良いんだね、ナツ君!」
天杉 ナツ「いや、No味噌Noプランだ」
天杉 ナツ「兄さんを想うあまり 気持ちが突っ走ってしまった」
天杉 ナツ「でも大丈夫!任せとけ!」

〇綺麗なリビング
  翌日15時15分
  ピンポ~ン
小豆澤 小梅「誰だろ?」
お兄ちゃん「俺が出る。座ってな」
お兄ちゃん(ふん、白々しい 外デートの約束でもしてたんだろ)
お兄ちゃん(気楽なもんだ 俺は全てを勉学に捧げてるのに。 バレて謹慎くらいやがれ!)
  ガチャッ

〇一軒家の玄関扉
変装したナツ「こ、んにちは (以下裏声)」
お兄ちゃん「あ・・・ひ、 お、ぁ・・・」
変装したナツ「110番やめて~!」
変装したナツ「オッ、ぼ・・・き、 ウーパーイーツの者ですんッ! (噛み噛みの裏声)」
お兄ちゃん「ウーパー?今流行りの グルメ宅配だっけ?」
変装したナツ「へ!へい! 感染症対策でマスクを被らさせて いただいてるでございマッスル! (早口裏声)」
変装したナツ「本日は受験生応援おやつ キャンペーンで来やした!」
変装したナツ「頑張るあなたへ毎日定時に タダでおやつをお届けッサス!」
変装したナツ(騙してごめんなさい! でも俺からじゃ多分 受け取ってもらえないから)
お兄ちゃん「菓子など甘え!体に毒だ!」
変装したナツ「誤解です!」
変装したナツ「おやつは愛です!ミラクルです!」
変装したナツ「僕はおやつで幸せを掴みました! おやつの奇跡は受験にもきっと!!」
お兄ちゃん(胡散くせえが この熱のこもった眼差し・・・)
お兄ちゃん「しゃーねーな」
  「勉強」「おやつ」
  
  糖分は脳のエネルギー
  適度な休憩は集中力を回復させる
お兄ちゃん「なるほど」
お兄ちゃん「新しい知見だ! 熱意あるプレゼンをありがとう!」
変装したナツ(あ・・・)
変装したナツ(笑うと小梅ちゃんに似てる)
お兄ちゃん「だが菓子は受け取れない 施しは受けぬ主義でね」
変装したナツ「そんな・・・」
お兄ちゃん「これは君がもらってくれ 俺は同じの買って食うから」
お兄ちゃん「君、zuumできる? ウェブ会議」
変装したナツ「は、はい」
お兄ちゃん「僕のアフタヌーン・ティーの 相手になってくれよ!」
お兄ちゃん「怪しすぎるが気に入ったよ! なんか好きだわ君!」
  こうして
  俺のお三時はお兄さんとの
  アフタヌーンタイムになった

〇幻想2
  お兄さんとの時間は
  ワタアメみたいだった
お兄ちゃん「たまには休むのも悪くないな」
  ふわふわ、わくわく
お兄ちゃん「最近調子よくてさ! 模試またA判定だぜ!」
  思ったより甘くて
お兄ちゃん「えー!キヨスケ彼女いんの!? ショックなんだが!」
  やがてベトついてきた
変装したナツ(小梅ちゃんに会いたい)
変装したナツ(長いこと電子文字でしか 話していない)
変装したナツ(声が聞きたい 顔が見たい)
変装したナツ(お兄さんの中に 君を求めてしまう)
変装したナツ「小梅ちゃん!小梅ちゃん! 小梅ちゃん、あぁ小梅ちゃん 小梅ちゃん小梅ちゃん小梅ちゃん」
小豆澤 小梅「どうしたの?天杉君」
変装したナツ「小梅ちゃ・・・」
お兄ちゃん「小梅?」
変装したナツ「あ、や、間違えま・・・」
変装したナツ「えっ、今、俺の名前? (地声)」
お兄ちゃん「・・・」
お兄ちゃん「すまん、気づいてた」
お兄ちゃん「妹に相応しいか試すつもりが すっかり君にハマってたよ!」
お兄ちゃん「君、合格! 妹と思う存分デートしたまえ!」
変装したナツ「でもお兄さんの受験はまだ・・・」
お兄ちゃん「大丈夫、お陰様で もう受かる気しかしない! ここからは俺の問題だ」
お兄ちゃん「今までありがとな、天杉 妹を頼んだよ」

〇キラキラ
天杉 ナツ「小梅ちゃん!」
小豆澤 小梅「ナツ君!」
  俺達はお互いの名を呼び合い
  画面越しに見つめ合いながら
  手当たり次第
  お菓子をむさぼった
  会えなかった時間を埋めるように
  笑い泣き食べ、心も口内も
  ゼリービーンズを煮詰めたように
  ぐちゃぐちゃだった
  二人だけのハニー・ヌーンが
  永遠に続けばいいと思ってた
  でも──
「ナツ君」

〇結婚式場のレストラン
小豆澤 小梅「幸せって 分ければ分けるほど 幸せだね!」
天杉 ナツ「だね!」
  ♥️おしまい♥️

コメント

  • 甘い!
    だがそれがいい😋
    お兄さんお菓子渡そうと変装するのがおばかかわいい。
    途中お兄さんルートに突入してしまうのかと思いましたがハッピーエンドで終わってほっこりしました。

  • チョッと甘いお菓子を手に取りたくなる作品でした♥️
    ここで一番可愛いのはもしかしてお義兄さん…?

  • 甘すぎなストーリー面白かったです。
    キャラがすごい✨イケメンがちょっとおバカで可愛すぎました。
    ごちそうさまでした😊

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