月は消えない

夕凪 灯莉

エピソード1(脚本)

月は消えない

夕凪 灯莉

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月は消えない
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〇空
  🌔
狼谷 煌月「10年・・」
  俺は写真を見ながら思う

〇黒
  俺は狼と人間のハーフだ
  その事は俺を苦しめた
「あそこの息子さんね、狼とのハーフなんですって怖いわね」
「ニュースでも! 人間と動物のハーフが人を襲ったニュースもあったわね」
「怖いわねぇ〜」
狼谷(小学生の時)(そんな大きな声で僕を見ながら言わなくても)
狼谷(小学生の時)「僕だって好きで生まれてきたわけじゃない」
  近所の人に聞こえないように小声で狼谷は言う
  俺はこの境遇を憎んだ

〇公園のベンチ
  何もかもを憎んでた俺を
  今川は救ってくれた
今川(小学生の時)「狼谷・・・」
今川(小学生の時)「人を見ないで」
今川(小学生の時)「自分が誇れるものを持ったらいいんじゃないかな」
今川(小学生の時)「だから、てっぺん目指して・・・」
今川(小学生の時)「強くなって私を迎えに来てよ!ねっ?」
  今川は転校し
  僕達は離れた

〇テレビスタジオ
今川円香「それではニュースをお送りします」
  今川円香は報道の仕事に就いていた。
  情報を伝え、人を助けたいと思っていたからだ
アナウンサー「本日の知りたい!は 今、ボクサーの頂点になった方だそうですよ」
今川円香「どんな方なんでしょうね」
今川円香「それでは中継先の木村さーん」

〇体育館の外
リポーター「はーい、 レポーターの木村です。 今日は、日本の頂点に登り詰めたボクサーの狼谷煌月さんにインタビューしたいと思います」
リポーター「狼谷さん、先程まで試合でしたが、インタビューを受けていただきありがとうございます」
リポーター「そして、優勝、おめでとうございます!」
  🎤
狼谷 煌月「ありがとうございます。 狼谷です。よろしくお願いします」
リポーター「いきなりですが、狼谷さんは、ある思い出があるとのことで、」
狼谷 煌月「そうですね」
狼谷 煌月「俺は狼と人間のハーフで」
狼谷 煌月「その事で理解されず、苦しんできました」
狼谷 煌月「根も葉もないことを言われたりして」
狼谷 煌月「ある女の子は普通に接してくれて」
狼谷 煌月「僕にこう言ったんです」
狼谷 煌月「誰かを苦しめることより」
狼谷 煌月「自分が強くなって、何か誇れるものを持った方がいいんじゃないかと」
狼谷 煌月「その一言が、俺がボクシングを始めたきっかけなんです」
リポーター「素敵なお話ですね」
リポーター「その子を思い続けてるんですね」
狼谷 煌月「その子に自分が強くなったこと、少しでも伝わって欲しいです」
リポーター「ありがとうございます」
狼谷 煌月「こちらこそ、ありがとうございます」
リポーター「今回はありがとうございました リポーターの木村でした。お返しします」

〇テレビスタジオ
今川円香(狼谷?)
アナウンサー「木村さん、ありがとうございました、、」
アナウンサー「今川さん??」
  私は思うがままに行動した。立ち上がり、そのままスタジオを後にした
「今川アナ!?」
  この時、行かなかったらきっと次はないような気がしたから。
「今川さん、待ってください」
「番組、CM入れてください」

  今川は無我夢中で走る
  あることを想いながら

〇公園のベンチ
狼谷(小学生の時)「円香ちゃんはボクサー好きなんだよね」
今川(小学生の時)「うん!大好き!!」
狼谷(小学生の時)「じゃあ僕さ、ボクサーで頂点を取ってさ」
狼谷(小学生の時)「よくやった!って言わせてみせる。みんなに」
今川(小学生の時)「楽しみにしてる」
今川(小学生の時)「私はさ」
今川(小学生の時)「フェイクニュースで苦しめられてる人、狼谷みたいな人を少しでも減らすために」
今川(小学生の時)「アナウンサーになる!」
狼谷(小学生の時)「いい夢だね」
  私は転校して私たちは離れてしまった
  忘れてるかと思っていた
  だけど・・・

〇体育館の外
今川円香「まさか・・・私がアナウンサーになるって」
今川円香「分かってて??」
今川円香「狼谷は全部覚えてたんだ」
  着いた時、体育館はもぬけの殻だった

〇車内
狼谷 煌月「雨、凄いっすね」
先生「そうだな・・・」
狼谷 煌月「ありがとうございます」
狼谷 煌月「俺を見捨てないでくれて」
狼谷 煌月「あの行きたいところがあって」
狼谷 煌月「そこでおろしてください」
狼谷 煌月「柳田公園って言うところなんですけど、 約束してる人がいて」
先生「10年前の忘れられないって人の事か」
狼谷 煌月「そうです」
先生「今日のために頑張ったんだもんな」
先生「会えるといいな」
狼谷 煌月「会えなくてもいいんです。伝えられたから」

〇体育館の外
今川円香「私も伝えたい」
  今川は約束の場所へと走り出した。

「優勝は狼谷煌月!」
  🔹 🔸▫️
   ▫️ 🔹 ▪️
   ▪️ 🔸 ▫️
  🏆
  紙吹雪が降り、チャンピオントロフィーを見せると
「わぁぁ!!」
「よくやった!」
「熱い試合をありがとうな」
  優勝した狼谷は歓声に包まれた。
狼谷 煌月「強くなれたこと、全ての人に感謝したい」
狼谷 煌月「ありがとう」

〇空
  🌕
狼谷(狼の姿)「今川に伝わってっかな」
  満月を見ると狼になる
  今川がアナウンサーになったことを俺は知っていた
  今川がいなければ
  今日の素晴らしい景色を
  見ることはなかったことを
狼谷(狼の姿)「ありがとう、今川」
今川円香「はぁはぁはぁ」
狼谷 煌月「いっ、今川?」
今川円香「ちゃんと伝えてよ!!」
今川円香「戻ったね」
  びっくりして、俺は元の姿に戻ってしまった。こんなこと初めてだ

〇空
  🌕
今川円香「私がアナウンサーになったこと、知ってたなんて」
狼谷 煌月「まぁな・・・」
  そっぽ向きながら言う狼谷
今川円香「あはは」
今川円香「そういうとこ変わってない」
今川円香「安心してる私がいる」
今川円香「私の人生、裏切られてばっかで」
今川円香「でもね」
  今川はヒラヒラと写真を狼谷に見せる
  その写真を月に掲げる今川
今川円香「救われた、私も」
今川円香「私たちの思い出が」
今川円香「大丈夫って」
今川円香「間違えてないよって」
狼谷 煌月「俺もだ」
  狼谷はそっぽ向きながら恥ずかしそうに言う
今川円香「同じだね」
  今川は肘で狼谷をつつく
狼谷 煌月「俺、お前がいて」
狼谷 煌月「お前が言ってくれた一言で」
狼谷 煌月「俺は強くなれた」
狼谷 煌月「ずっと隣にいてさ」
狼谷 煌月「それで俺を無敵にしてくれねぇか?」
  狼谷を抱きしめる今川。
今川円香「もちろん」
今川円香「よくやった!」
  狼谷の頭をヨシヨシ撫でながら言う
狼谷 煌月「!」
今川円香「ね!!狼谷もほら!」
  今川は狼谷に写真を月に掲げることを促す
「月は変わんないよな? 月は変わらない」
「ははっ ふふっ」
  お互いに同じことを言ったことに笑い合う2人。
狼谷 煌月「いつでも月は俺たちを」
今川円香「明るく照らしてて」
「無敵な私(俺)たちの未来!」

コメント

  • 幼い頃の思い出を胸に、二人とも人生を頑張ってきたんだろうなぁ、とししみじみ感じました!最後の締めくくりの言葉からも、二人らしい前向きさあり、とても良かったです!狼ver.の彼も好きです!素敵な物語ありがとうございました!

  • とても素敵なお話でした!!
    最後、頭を撫でるシーン、つい狼の姿で想像してしまい、勝手に悶え死にしました...笑

  • 作品の説明を読んで、これを2000文字で書くの!?って驚いたんですけど、しっかりと書ききっていてさらに驚きました。ボリュームの欲しい部分が膨らんでいてバランスも良かったなと思います。
    子供の頃の約束をお互いが果たせるって素晴らしいですね。大きくなって立場が変わって、それでも性格や想いは変わらずに並んで笑いあえる姿は感動シーン。セリフもバッチリ決められるセンスは作者さんの腕ですね!

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