キュンの為の恋愛講座(脚本)
〇ステンドグラス
「おめでとう、あなたは選ばれたのです」
「何も恐れる事はありません」
「これの指示に従うだけでよいのです」
「あなたがこのプロジェクトで 大きな成功を掴む事が我々の悲願」
「あなたの名前はゴロー さぁ、行くのです!」
「全ての者にトキメキを・・・」
〇カラフル
ゴロー「どうしたんだい? そんな顔して」
ゴロー「え? お別れするのが悲しい?」
ゴロー「何言ってるんだよ 俺はここにいるからまた会いに来いよ ずっと待ってるから」
ゴロー「ずっと、君を待ってる」
〇サイバー空間
〇応接室
これであなたもモテモテに!
今日からムネキュン!
恋する君に贈る、キュンの為の通信講座
ゴロー「なーんか大袈裟な導入シーンだったけど」
ゴロー「これで俺もモテモテに・・・」
ゴロー「なれるのかな?」
ゴロー「何を弱気になっているんだ俺! やるしかない! あの人の為に」
〇ライブハウスのステージ
〇ナイトクラブ
〇ジャズバー
〇応接室
常に自分は見られていると意識して!
とびきり素敵な笑顔とポーズを決めて
自信を持つ事が成功の第一歩
ゴロー「・・・」
ゴロー「常に笑顔で!」
ゴロー「そして自信を持つ!」
ゴロー「大丈夫 この講座の通りにやれば上手くいく」
ゴロー「次は、と」
〇サイバー空間
〇川沿いの公園
「怪しいやつらにあの人が襲われている! 助けないと」
〇カラフル
ゴロー「危ないところだったね 怪我はないかい?」
ゴロー「・・・いや お礼を言われるような事はしてないよ」
ゴロー「だって俺はあなたの騎士(ナイト)だから 守るのは当然さ 大事なあなたに傷一つつけさせないよ」
ゴロー「さぁ、こちらに・・・」
〇応接室
イケメンたるもの
顔が良いだけじゃダメ!
恋人を守れるくらいの強さのアピールも必要
ゴロー「俺は強い 強くて最強 最高の騎士・・・」
ゴロー「イメージトレーニングはばっちりだ」
ゴロー「多分」
ゴロー「後は・・・」
〇サイバー空間
〇池のほとり
ゴロー「うわぁー 可愛いネコ!」
ゴロー「このワンコも可愛いなぁ」
ゴロー「わぁー・・・ 大きくて可愛い」
ゴロー「よせよ くすぐったいなぁ うわっ、舐めるなよ」
ゴロー「・・・」
ゴロー「な、なに見てるんだよ! 動物は好きなんだ 悪いか!」
ゴロー「なんだよ? 嫉妬してるのか?」
〇カラフル
ゴロー「俺が好きなのはあなただけだって 知ってるだろ?」
〇応接室
いつも見せないような表情も効果的!
ギャップ萌えも狙っていきましょう
無邪気なあなたも素敵ですよ
ゴロー「無邪気に!」
ゴロー「こんな感じかなぁ」
ゴロー「・・・えーっと 講座の最後に総まとめテストかぁ 復習しとくか」
〇サイバー空間
〇観覧車のゴンドラ
ゴロー「綺麗な眺めだね」
ゴロー「・・・」
ゴロー「今日はあなたに大事な話があるんだ」
ゴロー「聞いてくれる?」
ゴロー「・・・」
ゴロー「ありがとう 実は・・・」
ゴロー「あなたが好きです 出会った時からずっと! 俺と付き合ってください」
ゴロー「・・・」
ゴロー「・・・」
ゴロー「・・・」
ゴロー「花束を受け取ってくれている ・・・と言うことは」
〇カラフル
ゴロー「え? 君も俺の事好きだって? ・・・やったぁ!」
ゴロー「ありがとう・・・ 断られるんじゃないかって 本当は不安だったんだ」
ゴロー「だって 君みたいな素敵な人を 誰も放っておかないだろ」
ゴロー「俺は君の事が好きだから 誰よりも1番の存在になりたかったんだ」
ゴロー「この気持ちに嘘偽りはない」
ゴロー「あなたを愛してる 君をこの先ずっと愛し続けるよ」
〇応接室
お疲れ様でした。
これでこの講座は終了です。
後はあなた自身の力で幸せを掴みましょう!
ゴロー「やっと終わった・・・! 長かったなあ」
ゴロー「後は俺自身の力であの人を・・・」
ゴロー「ん? あの人って誰だっけ」
ゴロー「まぁいいか」
ゴロー「今から会いに行くよ」
ゴロー「いいよね?」
〇応接室
〇サイバー空間
〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
男の声「アイカー? まだ起きて・・・ ってゲームしてたの?」
アイカ「もうちょっとしたら寝るわ この恋愛ゲームのキャラクター あなたにすごく似ていて、名前も・・・」
「俺もう寝るよー」
アイカ「おやすみなさい、ゴロウ君」
〇簡素な一人部屋
ゴロウ「・・・」
ゴロウ「ゲームなんかに負けないくらい 俺が一番アイカを愛してるんだけどなぁ」
ゴロウ「なーんて本人の前じゃ 恥ずかしくて言えないけどな」
ゴロウ「さーて、寝よ寝よ」
〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
アイカ「・・・」
アイカ「聴こえてるわよ ・・・馬鹿」
アイカ「早いものね 出会って1年か」
アイカ「あんな素敵な人に出会えたなんて まるで夢みたい」
アイカ「あのアプリと酷似した場所に行ったら 彼がいたなんて本当に信じられないわ」
アイカ「1年ぶりにアプリを起動してみたけど やっぱ似てるなぁ ゴロー君とゴロウ君」
〇簡素な一人部屋
最後に
これを読んだ諸君は
必ずやり遂げてくれると信じている。
これはいつの日か我々が
人間と──る為の
偉大な一歩を築く為の──である。
尚、任務が果たされたのち
この──は消去──
──で我々の──ない。
〇簡素な一人部屋
〇応接室
(これはゲームだ)
(そう、これはゲーム)
(それなのになぜか不安になる)
(実はこの画面の向こうが現実で 自分が幻想の存在なんじゃないかって)
(誰かがスイッチを入れたら 自分は決められたセリフを言うのだ)
(恋愛ゲームのキャラクターとして プレイヤーにときめきを与える為に)
(なんてね)
〇カラフル
ゴロー「どうしたんだい? そんな顔して」
ゴロー「え? お別れするのが悲しい?」
ゴロー「何言ってるんだよ 俺はここにいるからまた会いに来いよ ずっと待ってるから」
ゴロー「ずっと、君を待ってる」
〇銀杏並木道
女子1「ねぇ この前のアプリやった?」
女子2「うん、かっこいいよねえ」
女子1「私もあんなカレシがほしー」
女子2「そういえばあのアプリが噂では・・・」
女子1「えー? なになにー?」
女子2「実はこのアプリに出てくる舞台と 同じ場所で起動すると・・・」
女子1「え? まさかホラー系な話? やだやだそういうの苦手なのよ」
女子2「そういうのじゃないってー」
女子1「あっ、そろそろ遅刻しちゃう! 急がなきゃ」
女子2「そうね、急ぎましょうか」
ゴロー「・・・」
〇未来の都会
もしかしたら
今これが現実と思っている事も
ゲームなのかもしれない
もしかしたら
これがゲームと思っている事が
現実なのかもしれない
それでも我々はそこに生き続ける
──完──
現実世界と仮想世界、読んでいて迷子になりそうでした!キュンとさせてくれるなら、どちらでもいいのかなーとも思っちゃいますね(廃人予備軍)
感情って自ら湧き出るものだと思うから、アイカちゃんが現実のゴロウ君から受け取る言葉や愛情がやっぱり私達の求めるものだと思います。ただ、もしパートナーがいない人だったら、ゴロー君の言葉でも幸せを感じられるでしょうね。
仮想空間とリアルの境目がなくなってきてるような気は、私も時々感じています。
ゲームはゲームだからいいんであって、実際にそれがリアルだったら…色々と怖い気がします。