ロマンスの行方は

見張マコト

ロマンスの行方は(脚本)

ロマンスの行方は

見張マコト

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〇幻想2
  キラキラなイケメン達と一緒に
  恋のランウェイを駆け抜けよう!!
  「Radical×Romantic×Runway!!」
  ▷START
  LOAD

〇住宅街
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「そんなこと急に言われても困りますよ!!」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「モデルのお守りはこっちの管轄外です!!」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「何とかしろって、言われても」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「諦めるしかないのか・・・」
『あ』「──!?」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「っと、ごめんね!!」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「キミ、よかったらモデルにならない?」

〇ホールの舞台袖
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「俺も夜鳴(よなり)もデザイナーとしての 腕はそれなりにあると思う」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「でも腕を見せるチャンスが無ければ どうしようもない」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「今回のコンテストだけでいい」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「俺達の夢と共に歩んでほしい・・・!!」

〇美術室
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「今回は俺と夜鳴の共作だったけど、 次のコンテストでは 別々の作品を出すつもりなんだ」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「よかったら『あ』にも手伝ってほしい」
  ▷もちろん!
  少し考えさせて
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「ありがとう!!」

〇美術室
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「お互いにデザインの完成が見えてきたな」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「モデルの話だけど、」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「恨みっこなしだぜ」

〇住宅街
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「俺は『あ』と共に歩んでいきたい・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「夜鳴に渡したくない。 俺だけのモデルになってくれないか?」
  ▷・・・
  うなずく
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「そう、か・・・」

〇黒背景
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(これは少しだけ寂しい記憶)

〇住宅街

〇黒背景
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(10年経っても消えない結末)

〇住宅街
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「・・・夜鳴の作ったデザインは 俺のデザインと遜色ないくらい 『あ』に似合うと思う」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「だから、」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「ランウェイ、楽しみにしてるよ」

〇黒背景
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(結局、『あ』は夜鳴に恋をして)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(そのすぐ後だったね)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(『あ』が俺に恋をしたのは)

〇幻想2
  START
  ▷LOAD

〇住宅街
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「夜鳴に渡したくない。 俺だけのモデルになってくれないか?」
  ・・・
  ▷うなずく
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「『あ』・・・っ!!」

〇黒背景
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(あの日交わした口づけが、 黄昏を緋色に変えたんだ)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(伝えきれない恋情を少しでも伝えたくて、 腰に回した掌に力が入ったのを覚えてる)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(二人の影法師が俺たちより先に 一つになったことが悔しくて、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(子供じみた情炎が 徒に俺を焚きつけた)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(愛しい記憶)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(あぁ、懐かしいな・・・)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(神様がいるのならもう一度だけ、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(会いたいな・・・)

〇幻想2
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「えっ!?」
  「Radical×Romantic×Runway!!」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「「ラジ恋」が起動した!?」
???「あー、この起動音懐かしいっ!!」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「この声・・・」
???「うわっ、主人公の名前『あ』って・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「『あ』の声だ!!」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「また起動してくれたんだね」
  START
  ▷LOAD

〇住宅街
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「夜鳴に渡したくない。 俺だけのモデルになってくれないか?」
  ・・・
  うなずく
???「嫌な選択肢だなぁ」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(『あ』もそう思ってたんだね)
???「どっちか迷うけど」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(──ッ!?)
  ・・・
  ▷うなずく
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「『あ』・・・っ!!」
???「やっぱアレン君だよね」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(・・・ッ!!)

〇幻想2
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「とても大切な気持ちを 分かっていなかった・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「俺との恋はスチル回収の為の 作業なんだと思ってた」
???「久々にクリアしたけど シナリオの糖度すごかったなぁ」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「俺は『あ』と恋するために生まれたからね」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「キュンとしているし、させたいんだ」
???「何回もプレイしたわけじゃないから 意外とシナリオ覚えてなかったな」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「映画やアニメと違って長いから、 一回に全力を尽くすんだよね」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「一度きりの作り物って 思うかもしれないけれど」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「あの時・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「確かに俺達は恋をしていたんだよ」
???「シナリオもセリフもうろ覚えだったのに」
???「一番の推しってワケでもないのに」
???「私の人生に影響を与えてくれたことだけは 覚えてるのってなんでだろ?」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「よかった・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「・・・」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「俺は物語を通すことでしか 恋愛ができない装置ではあって」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「現実にいるわけないような、 偽物みたいな存在だけど」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「『あ』が感じた気持ちは本当で、 最後に残ったものが全てなんだ」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「この世界は 現実を補完するためのパーツじゃない」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「ここでしか満たされないものもあって、」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「とにかく『あ』が救われるような そんな世界であるように願っているんだ」
???「ここ最近、 積みゲー崩すことが目的になってたなぁ」
???「やっぱり純粋な気持ちでプレイする 乙女ゲーが一番安らぐなぁ」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「『あ』にとっての何かに 俺が関わっていられる、いられたのなら」
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「俺は幸せなんだ」
???「あー、ごめん!! もう大体片付いたから何時でも行けるよー」
???「それじゃあね」
???「間違いなく、私の初恋だったよ」

〇黒背景
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(初恋が永遠である必要はない)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(むしろ永遠でない方が、 揺らぐことでかえって 永遠に一番近しくなるのかもしれない)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(未練のないような態度は、 俺の生まれた意味を確かにしてくれた)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(物語として生きている俺と 物語を経て生きる『あ』の恋愛は、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(決して一瞬の恋なんかじゃない)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(体を寄り添うことはできないけれど、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(きっと現実よりも 受け入れやすい愛しさがそこにはあって)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(『あ』の現実を素敵に彩るんだ)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(だから『あ』がこの物語を見る必要は もう無くなっているんだよ)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(俺も『あ』も、これで満足なんだから)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(・・・・・・)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(・・・けど、もっと本音を言うとね、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(俺は、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(君と恋して結ばれて、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(ハッピーエンドの幕が降りたその後に、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)(もっとたくさん、)
檜樂院 愛廉(ひがくいん アレン)「愛し合いたかったんだよ」

〇黒
  ゲームの電源を消す瞬間
  微かに響いたアレンの声は、
  彼女の生活音に紛れて
  ゆっくりと溶けていき、
  やはり彼女の耳に届くことはなかった。

コメント

  • 次から乙女ゲームをやる時の思い入れや感情が凄い事になりそうな作品でした!最後の初恋が永遠〜のところの言葉もよかったです!素敵な物語ありがとうございました!

  • 乙女ゲーやギャルゲー等、いわゆる“ノベルゲー”をやったことがある人にとってニヤリとする仕掛けが散りばめられており、読んでて楽しかったです!ルート分岐直前でのセーブ&ロードはあるあるですね…笑
    慣れてくると半ば作業の如く選択肢総当たりでバッドエンド回収に入ったりしますが、まっさらな状態での初プレイこそ最も純粋に楽しめる…それが初めてのゲームなら思い入れもひとしお。キャラ紹介含め面白かったです!

  • 切ない二次元の宿命…😭ゲームキャラとしての自分の立場をよくわかってアレンの独白。キャラクターが考えを持つことは現実にはありえないのに、リアリティのある表現(アレンの気持ちがよく理解できる)になっていて、すごくいいなと思いました🤩素敵なお話、ありがとうございます😊

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