23歳アイドル引退します

めぐる

始まり 〜KONOHA〜(脚本)

23歳アイドル引退します

めぐる

今すぐ読む

23歳アイドル引退します
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇可愛い部屋
コノハ「はぁー・・・今日も可愛い。天使!」
  背中を丸めて、ノートパソコンの画面を食い入るように見つめる
  そう、私は、生粋のアイドルオタクだ
  推しが出ている番組は全てチェックし、新曲が出れば歌もダンスも完コピするまで繰り返し聴く
  推しは、尊い。
  いつも笑顔で周りに元気を与える
コノハ(それに比べて、私は・・・)
  学校に行っても友達はいない。
  クラスのみんなから「ジメジメ系」と呼ばれているのも知っている
  そういえば、みなさんのデビューのきっかけとなった「アイドルstruggle」が、シーズン3を放送するみたいですね
  はい!私たちにとってもすごく大切な番組なので、アイドルを目指す方々はぜひチャレンジしてほしいです!
コノハ(アイドルかー・・・)
  自分には遠い世界の話だ。
  しかし、推しが通ってきた道がどんなものなのか、単純に興味があった
  好きな人や憧れの人の真似をしたくなるのは、人間として当たり前の心理だろう
  アイドルstruggle 募集
  と検索窓に打ち込むと、一つのオーディションがヒットした
コノハ(そうか、推しはこういうことを経て、今あの舞台に・・・)
  なんだか少しだけ推しに近付ける気がして、私はそのオーディションに応募した

〇オーディション会場
  オーディション会場
コノハ(・・・と、とんでもないところに来てしまった・・・)
  そこには、クラスの中心にいるような、可愛くてスタイルが良くてオシャレな子たちが集まっていた
コノハ(早く帰りたい・・・)
  41番の方、どうぞー!
コノハ「はははぁぁいい!!」
  このオーディションを受けようと思ったのはなぜですか?
コノハ「アイドルが好きだからです」
  ・・・なるほど。どのアイドルが好きなのかな?
コノハ「はい!!「アイドルstruggle」シーズン1で優勝した── チームワークが良く、一番成長を感じられ──」
コノハ「曲もアップテンポなものも可愛いのですが、バラードも歌いこなせる歌唱力と── ファンへの神対応、プロ意識の高さ」
コノハ「彼女たちの活動は全てチェックしておりまして、なによりも全てに前向きで一生懸命な姿勢が──」
  わ、わかった!
  君がその子たちをとても好きなことは伝わった!
コノハ(はっ、喋りすぎてしまった 「これだからオタクは」とか思われたらどうしよう)
コノハ(終わった・・・)
  それでは、実技審査を行います。
  準備は良いですか?
コノハ「は、はい・・・」
コノハ「♪〜〜」
  ──!!
  君、ダンスは未経験だと言っていたよね?
コノハ「はい。ただ、好きなアイドルの曲は歌もダンスも完コピできるまで聴き込んでいます」
コノハ「今回の課題曲も好きなアイドルの歌だったので、前々から知っていました」
  そうか。いいね、君、面白いね!
コノハ「・・・? ありがとうございました」

〇線路沿いの道
コノハ「はぁ・・・すごい世界だった」
コノハ(推しは、こんな大変なことを乗り越えてきたんだなぁ)
  当たり前だが、手応えは全くなかった
  だから、合格の連絡が来た時は、本当に驚いた

〇可愛い部屋
コノハ「ごごご、合格っ・・・? 私がですか!?」
  あぁ、もちろんだ。
  君にはぜひ、グループの一員として頑張ってほしい
コノハ「あ、はい・・・」
  とっさにイエスと言ってしまった。
  私は昔から、断れない性格だ・・・
  それで、今後の活動で使う名前・・・いわゆる芸名だが、グループの担当カラーにちなんだ名前にしようと思う
コノハ「はい」
  君の担当カラーはオレンジの予定なのだが、良いかな?
コノハ(オレンジ!?)
  オレンジといえば、まっさきに太陽が思い浮かんだ
  「ジメジメ系」の自分とは全く逆のイメージだ
コノハ「わ、私、オレンジで大丈夫でしょうか?」
  ?
  全く問題ないと思うが・・・
  名前は「コノハ」
  その名前を聞いた瞬間、少しだけ安心した
  眩しく周りを照らす太陽ではなく、人知れず地面に落ちる木の葉
  それじゃあ契約書を送るので、期限までに必要事項を記入して返送してくれ
  君は未成年だから、親権者の同意も必要になる
コノハ「わかりました」

〇ダイニング(食事なし)
コノハ「お父さん、お母さん、ちょっと話が・・・」
  ん?
  どうした?
コノハ「あの、私、アイドルのオーディションに受かって・・・」
  えっ!?
コノハ「(このままだと)アイドルになります」
  ・・・はぁー、昔からアイドル好きなのは知ってたけど、まさか自分がやる方に行くとはねぇ
  てっきり反対されると思っていたのに、なぜか母親はワクワクしているように見えた
コノハ(「親に反対されました」で断る口実になるかと思ったんだけどなぁ・・・)
  父親が、新聞紙を強くテーブルの上に置いた
コノハ(お、怒られる!?)
  ・・・頑張るんだぞ!!
  父さん、グッズも買うしライブも行くからな!
コノハ「へっ!?」
  お父さん昔アイドルオタクだったのよー
  ちなみに、言ってなかったけど、お母さんも昔ちょっとアイドル活動してたのよ♪
  まぁ、母さんとの出会いは路上ライブだからなー。
  血は争えんな
コノハ「・・・・・・」
  お、なになに、これが契約書か
  最近の芸能事務所はしっかりしてるわねぇ♪
  あ、ハンコ持ってくるわね!
コノハ(いったいこれからどうなるの・・・?)

次のエピソード:始まり 〜AYAME〜

成分キーワード

ページTOPへ