第3話 100%守ります!③(脚本)
〇高い屋上
アテナ「御主人(マスター)は、100%守ります」
嘉成光「・・・ッ! 出遅れたか・・・これでどうだ!」
光は懐から"くない"を取り出し、みことアテナに向かって投げ放つ。
──カキンッ!
嘉成光「俺のくないを止めるとは、かなりすごいな! 君の名前は!?」
アテナ「・・・アテナ、任務遂行します」
高原みこ「な、な・・・なんじゃこりゃあ~~~!!?」
アテナ「御主人(マスター)はそこから動かないで。 彼はあなたの命を狙う刺客です」
高原みこ「へっ、命!?」
嘉成光「ふーん、全部知ってるんだ」
嘉成光「つまり・・・どういうことだ? 兄さんは何も言ってなかったし・・・」
首を傾げる光に向かってアテナが駆け出し、薙刀(なぎなた)を振りかぶる。
嘉成光「速いな!」
嘉成光「でも、忍者の俺の方がかなり・・・いや、微妙に上だ!」
アテナの繰り出す攻撃を次々と避ける光。
薙刀の切先が光の前髪をかすめ、切り取られた髪の毛が風に舞う。
高原みこ「え、え、待ってアテナ! その刃、本当に切れるやつ!?」
アテナ「御主人(マスター)、動かないで。 任務遂行率が67%まで下がりました」
アテナは光を睨みつけたまま、背後にいるみこに向かって声をかけた。
高原みこ「えっ! 後ろにも目があるの!?」
アテナ「いいですか。御主人(マスター)。 私の言うことをよく聞いて・・・」
高原みこ「まさかね~、後ろが見えるわけ・・・」
みこはニヤりと笑うと、背後からアテナに忍び足で近づく。
アテナ「御主人(マスター)!」
高原みこ「ウソ!」
アテナ「今、2.4歩動いたことで、任務遂行率が43%まで下がりました」
高原みこ「見えてるんだ・・・すご~い!」
アテナ「いいですか。そこから絶対に動かないで。 これ以上任務遂行率が下がったら──」
嘉成光(・・・あいつ、かなりの手練れだ。 隙がない!)
嘉成光「この俺が、前に出られないとは・・・! アテナって言ったか。君、一体何者だ!?」
アテナ「貴方に必要のない情報です。 なぜなら貴方はここで私が倒すからです」
嘉成光「かなりの自信家だな。 そういう奴は嫌いじゃない!」
嘉成光(この状況を打開するには・・・)
高原みこ「あっ! バイト行かなくちゃ!」
アテナ「御主人(マスター!)! 動いてはいけません!」
次の瞬間。アテナの肘から放出された網のような装置が、みこの体を捕らえた。
高原みこ「んなあ~~! 何これ、動けない!」
嘉成光「君、みこちゃんを守るんじゃないのか!?」
アテナ「守るためです。 これで・・・任務遂行率90%」
高原みこ「むぐぅ~!!」
みこは網から抜け出そうと盛大に暴れて、床を転げまわる。
アテナ「!!」
アテナ「任務遂行率84・・・63・・・42%」
高原みこ「やだやだ! どうなってんの、これ!」
アテナ「こんなに落ち着きのない人だとは・・・。 御主人(マスター)のことは、これから知っていかなくては」
高原みこ「もおお~! バイト、遅れちゃうよ~!」
嘉成光「ははは! 運が回ってきたかな!」
アテナ「いいえ。貴方の攻撃は100%届かない。 ・・・届かせない!」
嘉成光「やってみなくちゃ、わかんないだろ!」
懐から取り出した無数のくないを、みこに向かって投げ放つ!
嘉成光「俺のくないの命中率、100%! なんてねっ」
アテナ「・・・いいえ、0%です」
バキン!
アテナが右足を地面に踏み鳴らすと、膝のパーツが外れて大きな盾に変形した。
光のくないは、アテナの盾によって全て弾き飛ばされる。
嘉成光「な・・・そんなの、ずるいだろ!」
アテナ「私の計算は絶対です」
高原みこ「すご・・・っ」
アテナ「再計算完了。任務遂行率、100%」
嘉成光「100%なんて、言い切っちゃって大丈夫!?」
光の手裏剣を軽々とかわしたアテナは、一瞬で彼に接近して薙刀を振るう。
光が後ずさろうとした、そのとき──。
建物の影から子猫が飛び出した。
子猫「ミャ~!」
嘉成光「・・・ッ!! クソッ」
光は咄嗟に子猫を抱きしめると、子猫を守るように体を丸めて目を閉じる。
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