結婚前提でお願いします♡

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結婚前提でお願いします♡(脚本)

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〇チョコレート
  僕は御園生貴仁。顔面偏差値・頭脳偏差値共に高いんだよ。ついでに背も高いし、将来性も高い。

〇チョコレート
  なんたって国の最高学府で物理学を学んでいて、将来の目標は核融合理論を実現すること! そうなればノーベル賞だって夢じゃない

〇チョコレート
  自慢話はもういい? はいはい、ですよねぇ。

〇チョコレート
  さぞやモテるだろうって? ハイ、問題はここから。女の子はね、それなりに寄って来てくれるんだよ。スタートダッシュはOK

〇チョコレート
  ところがなんとしたことでしょう。去っていくのが早い早い。最短交際時間三十分だよ。って、これいかに。

〇チョコレート
  家族の分析によると、僕ががっつきすぎるんだってさ。いやいやいや、ホテルへGO!じゃないよ。違うって。

〇チョコレート
  そうじゃなくて将来設計。家族は多い方がいいから、子供は最低三人以上、できれば五、六人ほしい。毎日ワイワイ楽しいよね

〇チョコレート
  お付き合いの初めに所信表明演説をするんだけど、その時点で「またね」と去る人がいて、冗談と受け止めた人も半年後にはまたねー

〇チョコレート
  ただし、「また」があったためしがない。この僕のどこに不満があるんだ。不可解だ。めげてるかって?それがまあ、あんまり、ね

〇チョコレート
  というのも、実は僕、大本命がいるんだよね。僕より一つ年下にして幼馴染のお嬢さん。

〇ハート
  名前は二宮よつば。よっちゃんって呼んでいるんだ。個性豊かなコなんだよねぇ。

〇美術室
  なにしろ美大で油絵をやっていて、その合間を縫うようにして同人誌も発行してる。まあその、腐女子ってやつ?

〇美術室
  でも、気立てはいいと思う。なんたって僕を外見じゃなくて、この奥深い人となりで見てくれている。うん、そのはずだ。幼馴染だし

〇ハート
  だから、彼女の誕生日に告白した。彼女の部屋で、思いのたけを込めて好きだよって。二人で賑やかな家庭を作ろうねって言ったのに

〇女性の部屋
二宮よつば「うっせえっ!」
  彼女の第一声がこれだ。去年はやった歌がリフレインする。うっせー、うっせー、うっせーわ! って、なんで?!

〇女性の部屋
二宮よつば「馬鹿か、あんたは。今日日(きょうび)子どもを五人も六人も生みたがる女がどこにいるっつうの!」
  よっちゃんは、描きかけの漫画原稿から顔を上げてこう言ったんだ。

〇女性の部屋
二宮よつば「女にはねえ、そんなことしてる暇はないっつうの! 出産育児に何年かかるのよ! 社会から取り残されるでしょうが!」

〇炎
二宮よつば「芸術は爆発なのよ! 十代、二十代、三十代の初めにかけてが肝心なのよ。暇なしってのがわかったでしょ!」
  で、僕は文字通りよっちゃんの部屋から蹴りだされた。ひどい。腐女子の同人誌って芸術なわけ?

〇部屋の前
よつば父「君も間が悪い子だなあ。大きなイベント前の入稿時期に来るなんて」
よつば母「でも、あなたはできる子よ。傾向と対策を立ててね。ここからが頑張りどころよ」
  と、蹴りだされた廊下に彼女の両親が立っていて、いたく同情してくれた

〇チョコレート
  励まされて僕は頑張った。女の子たちから傾向と対策を引き出させてもらう。で、わかったことは意外にも・・・

〇チョコレート
  女性たちが、出産・子育てを世の終わりみたいに捉えているらしいってこと。どうして? 大変だけど、楽しいじゃないか

〇チョコレート
  まあ、いいさ。これさえわかれば対処の仕方が見えてくる。僕は半年間アルバイトに精を出して、とあるものを買った。
  リングね

〇クリスマスツリーのある広場
  クリスマス時を選んで彼女のもとに向かった。この時期に同人誌の入稿はないはずだ。

〇シックなリビング
  行くね! とラインしておいたからか、リビングで彼女と両親にウェルカムされた。
  両親? まあ、ちょうどいいか。覚悟が決まる

〇シックなリビング
御園生貴仁「結婚前提でお願いします。子供は生んでくれさえすれば、あとは僕が育てます。五人でも、六人でも。あ、十人でもいいです♡」
  僕は小箱におさまったエンゲージリングを差し出しながら言った。

〇ハート
よつば父「いいとも!」
  そう答えたのは、よっちゃんではなくお父さんだ。なぜに?

〇シックなリビング
よつば父「わが娘ながら変わっているところがあるだろう。伴侶もなく、将来一人きりになってしまったらと、それはもう心配でね」

〇シックなリビング
よつば父「ゾウガメとかムカシトカゲとか、寿命の長いペットをあてがって孤独を紛らわすしかないとあきらめていたんだ」
  いえ、お父さん、あなたの方が変わっているように思えますけど・・・

〇シックなリビング
よつば父「それなのに人間の、幼馴染のお隣さんが求婚してくれた。末永くよろしく頼むね」
よつば母「お願いね、貴仁ちゃん」

〇水玉2
御園生貴仁「ということで、よろしくね、よっちゃん♡」
  彼女はぶすっとしたままだった。外堀を埋められたのになあ

〇水玉2
二宮よつば「あんた、ノーベル賞どうするの。子育てしてたら置いていかれるよ、研究」
御園生貴仁「やだなあ。ノーベル賞なんて人生のおまけみたいなものだよ。結婚と子育てが本筋ね」

〇水玉2
御園生貴仁「好きな仕事をして家庭を守って、おまけでノーベル賞ね。あくまでおまけ」
二宮よつば「ノーベル賞って人生のおまけなの?」

〇水玉2
御園生貴仁「そうなの。おじいちゃんとおばあちゃんになってて、子供たちは独立。二人だけになってるから、しっかりハグして喜び合ってよね♡」
二宮よつば「むむむ」
  彼女の表情がすこ~しだけ緩んだ、ような気がする。大きな一歩だよね

コメント

  • 全員が一癖も、二癖もある人達ばかりで、思わずツッコミが欲しい!と言いながらも、最後までテンポ良く読むことが出来ました!
    素敵な物語ありがとうございました!

  • 最初はなんだか人の話を聞かない人…のイメージだった彼ですが、最後の方になると、なかなかいい人に思えてきました。
    一途なところはすごくかわいいと思うんですが、欲しがる子どもの数が多すぎ!笑

  • 前向きすぎる彼に元気をもらいました(笑)こんなに溺愛して、外堀まで埋めて、よつばちゃんの気持ちが少し揺れたので「コイツ、すげぇ……」ともはや尊敬の念すら感じました。結婚したらよつばちゃんも子供たちも溺愛してしまいそうですね😆✨
    ちょっとしかセリフがないのにお父さんのキャラがツボでした~(笑)

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