23歳アイドル引退します

めぐる

始まり 〜MARIN〜(脚本)

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〇シックな玄関
  センター試験当日
マリンの母「気をつけて、いってらっしゃい」
マリンの父「今まであれだけ努力してきたんだ。大丈夫さ!」
マリン「・・・行ってきます」

〇駅のホーム
  この日は雪が降っていた
  カバンから封書を取り出し、今一度、会場の地図を確認する
  2番線にまいります電車は──
  私は、センター試験の会場とは逆方向の電車に飛び乗った

〇一人部屋
  ──数ヶ月前
マリン(・・・アイドル、オーディション?)
  勉強の息抜きにTwitterを見ていると、アイドルのオーディションを開催すると広告で流れてきた
マリンの母「遅くまでお疲れさま。 ホットココア入れたから、置いておくわね」
マリン「ありがとう、お母さん」

〇教室の外
  ずっと「優等生」だと言われていた
  私は今まで、親の敷いたレールの上を歩いてきた
  両親は、地元で小さなパン屋を営んでいる
  中学生の頃から塾に通い、高校は都内でそこそこのレベルの公立高校に進学。
  大学も国公立に的を絞り勉学に励んだ
  この前の模試では、第一志望はB判定だった
  大学に行ったら経営学を勉強し、四年で卒業して、仕事と家庭に理解のある男性と結婚し、パン屋の跡取りになる・・・
  その道は、まっすぐに、明確にかたどられていた

〇一人部屋
  【注意事項】
  こちらはMetPlixの番組「アイドルstruggle」に出演するアイドルグループのオーディションです
  アマチュアからの成長過程をコンセプトにしている番組なので、歌やダンスは未経験でも大丈夫です!
マリン(アイドルねぇ)
  アイドルになりたいと思ったことはなかった
  それでもこのオーディションに興味がわいたのは、「決められた人生」への疑問や不満からだろうか?
  応募フォームに必要事項を打ち込み、送信ボタンを押した
  どうせ、受かるはずがない。
  私はそう思っていた

〇オーディション会場
  オーディション会場
マリン(うわー・・・場違いなところ来ちゃったなぁ)
  33番の方、お入りください
マリン「は、はい!!」
  「記念受験」のつもりだった
  私はこの先、友達にも、親にも、今日の出来事を話すことはないだろう
  ちょっとだけ、スリルを求めて冒険
  誰にも知られらない、寄り道
  そしてまたいつもの日々に戻っていく。
  学校に行って、塾に通い、受験して、大学生になって・・・
  それでは、実技審査を行います
マリン「よろしくお願いします」
マリン「♪〜〜」
  歌って踊るのは、意外と楽しかった
  家では練習できなかったので、塾の帰りに自習と嘘をついて、二時間ほどカラオケで練習した
  いいねぇ。しっかりと練習してきたのが伝わってくるよ
マリン「ありがとうございます!」
  合格の電話が来たのは、センター試験の1週間前だった

〇シックなリビング
  どういうことだ、これは!!!
マリンの父「センター試験を、受けなかっただと!?」
マリンの母「なんで・・・あんなに頑張ってきたのに」
マリン「・・・・・・」
マリンの父「これからどうするつもりだ! 大学までは出ろと言っただろう!」
マリン「・・・私、アイドルになる!」
「はあぁぁぁっ!?」
マリン「お店は、ちゃんと継ぎます。 その前に、自分のやりたいことを、精一杯頑張りたいの!」
マリン「大学に行く代わりに、アイドルをやらせてほしい」
マリンの父「う・・・うぅん・・・・・・」
マリンの母「お、お父さん!!」

〇一人部屋
  電話が鳴った。
  グループの監督のシンさんからだった
  ・・・で、無事にご両親は説得できたのかい?
マリン「はい・・・」
  そっかそっか。じゃあ改めて、よろしく頼むよ
  とっさに、嘘をついてしまった
  ところで、芸名なんだが
マリン「あっ、はい!」
  それぞれ担当カラーを作るので、それにちなんだ名前にする
  君は水色にしたいのだが、どうだ?
マリン「ありがとうございます!」
  名前は「マリン」
マリン「マリン・・・」
マリン(新しい、私。 ここからスタートするんだ)
マリン「よろしくお願いします!」

次のエピソード:始まり 〜HIMA〜

コメント

  • 最初から思い切った行動をしますね。これが若さでしょうか。これからメンバーがどんな道を歩んでいくのか…楽しみです。

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