アテナ任務遂行中!

木佐マコ

第2話 100%守ります!②(脚本)

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〇古いアパート

〇雑多な部屋
  目を覚ました小太郎は、ちゃぶ台の上に置かれたフィギュアを見つけた。
  フィギュアには様々なパーツがテープでめちゃくちゃに張り付けられている。
高原小太郎「うわっ、ひっどいの」
  小太郎はテープをはがすと、外れたパーツを綺麗にはめなおした。
  パチン!
高原小太郎「うん! ・・・これでよしっと!」
高原みこ「小太郎? もう出ないと学校に遅刻するよ~」
高原小太郎「姉ちゃん、待ってよ!」
  小太郎は急いで支度をすると、みこと一緒に部屋を飛び出した。

〇雑多な部屋
  みこと小太郎が外出したあと、机に取り残されたフィギュア──
  その瞳が、ゆっくりと開かれた。
  ギ、ギ・・・と音をたてて首を動かすと、手や足を回して動作を確認する。
???「・・・・・・」
  フィギュアは室内を見回すと、窓を開けて外に飛び出した。

〇教室
佐藤里子「噂の転校生、嘉成光く~ん」
  ・・・・・・
佐藤里子「欠席? 昨日から全く授業に出てないな~」
佐藤里子「う~ん、マイナス100万点!」
佐藤里子「・・・甘すぎるかな?」

〇高い屋上
  その頃、光は屋上で体育の授業を受けるみこの様子を見張っていた。
  光の耳に装着された通信機からは、ノイズ交じりの男の音声が漏れている。
???「初任務、順調そうでよかったよ」
嘉成光「うん、かなり期待していいよ。 もう、今日中に決めるつもりだからさ」
???「今日中? そんなに急いで大丈夫か? 初任務なんだから、もっと時間をかけて調査しても・・・」
嘉成光「心配ご無用!」
???「・・・はあ。最後まで油断するなよ、光」
  そう言い残して、通話が切れる。
嘉成光「相変わらず心配性なんだから。 任せておいてよ、兄さん」
嘉成光「さてと・・・」
  どこからか取り出した弓矢の先端に、手紙をくくりつける。
  そのとき、グラウンドのみこがボールを追いかけて集団の輪から外れた。
嘉成光「かなりいいタイミング!」

〇野球のグラウンド
高原みこ「こらこら、おーい、ボールくん。 どこ行った~?」
  ビイィィン!
高原みこ「なんだこりゃ、矢!?」
高原みこ「手紙がついてる! えーと、なになに?」
  みこちゃんへ
  放課後、屋上に来てほしいな 光
高原みこ「光・・・? 誰だっけ」
高原みこ「・・・あ! あの光くんか!」
  キョロキョロと周囲を見渡すと、屋上から手を振る光の姿が目に入った。
高原みこ「おっけー!」

〇大きな木のある校舎
  ──そして放課後

〇高い屋上
嘉成光「うん、かなりいい夕日だな。 初任務の締めに、ぴったりの舞台」
  光は胸に子猫を抱きながら、街を照らす夕焼けを一望する。
高原みこ「あ、お~い、光くん!」
嘉成光「待ってたよ、みこちゃん!」
高原みこ「屋上で何かあるの?」
嘉成光「うーん、そうだね・・・」
  光は胸に抱いた子猫をそっと足元に下ろした。
嘉成光「・・・みこちゃん、俺、君に秘密にしてたことがあるんだ」
高原みこ「秘密?」
  ビュゥゥゥゥーーー!!
  突然として突風が吹き荒れ、無数の木の葉が光の姿を包み込む。
嘉成光「人気モデルは世を忍ぶ仮の姿」
嘉成光「本当の俺は、飛常葉(ひときわ)流忍者。 嘉成光だ!」
嘉成光「かなり光ってるだろ!」
高原みこ「うわ~光くんって忍者だったの!?」
高原みこ「うん! かなりかっこいい!」
  光は懐から取り出した巨大な手裏剣を構える。
高原みこ「おお~! 手裏剣だ!」
嘉成光「いくよ! みこちゃん!」
  ビュン!!
高原みこ「・・・へ?」
  扉の前でへたりこむみこ。
  その頬から一筋の血が流れた。
高原みこ「な、な・・・当たっちゃうところだったよ!?」
嘉成光「当てようとしてるからね!」
高原みこ「だめだめ! 当たったら死んじゃうから!」
  御主人(マスター)
  私の名前を呼んで!
高原みこ「!? この声、まさか・・・」
  ハッとして鞄を開けるみこ。
  すると、周囲にまばゆい光が溢れた。
嘉成光「なんだ、この光は!?」
高原みこ「また動いてる! なんで!?」
???「さあ、私の手を取って、名前を呼んで。 私はあなたを助けるために来ました」
高原みこ「な、名前って? 知らないよ!」
  戸惑いつつもフィギュアの手を取るみこ。
  その二の腕には「Athena00」という文字列が刻まれている。
高原みこ「あ、あて・・・」
嘉成光「あの光、かなりやばい気がする!」
  危険を察知した光が、みこに向かって咄嗟に手裏剣を投げ放つ!
高原みこ「助けて、アテナ!!」
  バキン!!
  直後、強力な光が一面に広がり、光の手裏剣を弾き飛ばした。

〇高い屋上
高原みこ「お、おっきくなった・・・!?」
  アテナはみこに小さく微笑んだあと、光を鋭く睨みつけた。
アテナ「御主人(マスター)は、100%守ります。 私の命に代えても」

次のエピソード:第3話 100%守ります!③

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