犬になって君と過ごした『特別な時間』

立坂雪花

犬になって君と過ごした『特別な時間』(脚本)

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〇花火
  色鮮やかな花達が空を舞い、この花火大会一番の盛り上がりを見せ
  そろそろこの大会が終わる事を花火達が告げてくる。
  ・・・
  俺は・・・・・・

〇黒
  犬になって君と過ごした『特別な時間』
  高校一年生の夏

〇女性の部屋
芽依「あ、起きた! おはよー」
  俺は目覚めると
  同級生であり幼なじみの、芽依の部屋にいた。
芽依「お手っ!」
涼真(今パピちゃんの姿です)「ワン!」
  芽依が飼っている
  犬のチワワ、パピちゃんの姿で。

〇一階の廊下

〇明るいリビング
芽依「ご飯だよー」
芽依「待て!」
芽依「よし!」
涼真(今パピちゃんの姿です)「ワン!」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(命令されると自然に身体が動いてしまう・・・・・・)
涼真(今パピちゃんの姿です)(そもそもなんで俺はパピちゃんなんだ?)

〇明るいリビング
芽依「私もご飯食べよー」
芽依「あ、八時! 占いの時間だ!」
芽依「私一位だ! 獅子座は・・・」
芽依「あきらめないで待ってみて! だってさ」
芽依「涼真は・・・・・・。乙女座二位だ!」
芽依「全力で伝えるとすっきりするって・・・・・・」
芽依「はぁ・・・」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(俺の事もチェックしてくれてるのかよ)
涼真(今パピちゃんの姿です)(ってか、なんでため息なんかついて・・・・・・)

〇明るいリビング
芽依「散歩行くよ!」

〇公園のベンチ
  公園に着き、ベンチでひと休みすることに。
  俺は、芽依の膝の上に座った。

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(なんでリード引かれたり)
涼真(今パピちゃんの姿です)(膝に乗せられたりしてるんだ!?)
涼真(今パピちゃんの姿です)「あぁ、なんか膝の上が落ち着かない!!ソワソワする」

〇公園のベンチ
涼真(今パピちゃんの姿です)「ワンワンワンワン!」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)「ここから降ろしてくれ!」

〇公園のベンチ
芽依「あら、いっぱいお話してるね! 珍しい」
芽依「うんうん! そうだねー! お天気いいね!」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(何も通じない)

〇公園のベンチ
芽依「でも、夜雨降るみたいだよ」
芽依「今日は花火大会なのにね」
芽依「終わる頃降るみたいだから、開催するのかな」
芽依「涼真も行くのかな?」
芽依「この前、告白されてた女の子と・・・・・・」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)「はぁ? 何言ってるんだ?」
涼真(今パピちゃんの姿です)「その子とは一切何もないし」
涼真(今パピちゃんの姿です)「俺が一緒に行きたい相手は・・・・・・」

〇公園のベンチ
涼真(今パピちゃんの姿です)「ワンワンワンワン!」
芽依「今日はよくお話するね」
芽依「もっと走りたいのかな? 行こっか」

〇一戸建て

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(俺の家の前)
涼真(今パピちゃんの姿です)(今の俺の身体の中には、パピちゃんがいるのか?)

〇一戸建て
芽依「連絡してみようかな?」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(花火大会、一緒に行きたい)

〇一戸建て
  一瞬、二階の俺の部屋から、俺の姿をしているパピちゃんが見えた。
  芽依はスマホを見ていて、気がついていない。
芽依「連絡するのやーめた!」
芽依「パピちゃん、花火一緒に行こうか!」

〇明るいリビング

〇明るいリビング

〇川沿いの道
  川沿いの道を進むと、花火大会の会場がある。
芽依「この辺でいっか!」
  人が集まってきた。

〇黒
  打ち上げられた花火達は、輝いてはちりちりと消えてゆく。
  何度も、何度もそれを繰り返す。
  俺はその輝きよりも
  横で体育座りをして空を見上げている
  芽依の表情が気になった。
  彼女の目が輝いていた。
  花火の光が反射しているのかなと思っていたけれど
  それは違った。
  涙だった。

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(・・・・・・)

〇川沿いの道
  気がつくと俺は、芽依の足にくっつき寄り添っていた。
涼真(今パピちゃんの姿です)「・・・・・・」
芽依「心配してくれてるのかな? ありがとね!」
  芽依は頭を撫でてくれた。
芽依「涼真が今、他の女の子とふたりきりで」
芽依「花火を見ているかもしれないって事を想像していたら」
芽依「悲しくなっちゃって」
芽依「この前も似たような理由で泣いてたよね」
芽依「いつも話聞いてくれてありがとね」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(俺は、ここにいるのに・・・・・・)
涼真(今パピちゃんの姿です)(頭ぽんぽん、俺が芽依にしたい・・・・・・)
涼真(今パピちゃんの姿です)(それよりも、パピちゃんはいつも話を聞かされていたのか・・・いつも・・・・・・)
涼真(今パピちゃんの姿です)(いつも?)
涼真(今パピちゃんの姿です)(もしかして、俺の事を?)
涼真(今パピちゃんの姿です)(泣いているのは俺が原因か)
涼真(今パピちゃんの姿です)(伝えたい・・・もう逃げる事なんてしないで)
涼真(今パピちゃんの姿です)(今すぐに伝えたい)
涼真(今パピちゃんの姿です)(こんなに近くにいるのに)
涼真(今パピちゃんの姿です)(伝えられない、なんてもどかしい)
涼真(今パピちゃんの姿です)(伝えたい!)

〇川沿いの道
涼真(今パピちゃんの姿です)「ワンワンワンワン!」
  全力で伝えようとした。
  好きな気持ちを
芽依「どうしたの?」
芽依「帰りたいのかな? 帰ろっか!」

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(違う! そうじゃない!)
涼真(今パピちゃんの姿です)(くそっ。通じない)

〇川沿いの道
  小雨も降ってきた。
  俺達の気持ちのような雨が。
涼真(今パピちゃんの姿です)「ワンワンワンワン!」
  その場から動かずに、俺は伝え続けた。
芽依「そっか、やっぱり最後まで見たいのね」
芽依「少し雨降ってきたけれど、もう花火終わるし」
芽依「最後まで見ていこうか」

〇川沿いの道
  全力で叫び続けた。

〇黒
  その声も花火の大きな音でかき消された。

〇ソーダ
涼真(今パピちゃんの姿です)(あぁ、もう!!!)

〇黒

〇川沿いの道
芽依「パピちゃん、花火綺麗だったね!」
芽依「雨もやんでるし、良かった!」
芽依「えっ! なんでいるの?」
涼真「芽依がっ」
涼真「だいすきだぁーーーーーーーー!!!!」
芽依「・・・・・・」
芽依「私、驚きすぎて絶句した!」
芽依「なんで涼真がここにいるの?」
涼真「・・・・・・」
涼真(もしかして人間に戻った?)
涼真(いつだ? 戻ったのいつだ?)
涼真「もしかして好きって聞こえた?」
芽依「うん!」
芽依「へへ」
涼真「ははは」
  周りから拍手と歓声が湧き上がった。
涼真「恥ずかしいな」
芽依「注目されてるー、やだー!」
涼真「逃げるぞ!」
  俺は、芽依の手を握りしめた。
  ほどけないように、強く、大切に。

〇一戸建て
  そして、家の前まで送った。
涼真「後で連絡するわ」
芽依「うん、待ってる」
パピちゃん「ワン!」
芽依「さっき、逃げてる途中で涼真が言ってた通りだ」
芽依「パピちゃん、ちゃんと家に帰ってきてた」
芽依「無事でよかった!」
涼真「ほら、言った通りだろ!」
涼真「じゃあ俺行くわ!」
涼真(パピちゃん、こうなる為に入れ替わってくれたのかな?)
涼真「パピちゃん、ありがとう!」
パピちゃん「ワン!」
芽依「パピちゃん、何かしてくれたの?」
涼真「ふふっ! 芽依も今日はありがとう!」
  俺は、ずっと芽依にやりたかった
  頭ぽんぽんをやって、家に帰った。

〇一人部屋
涼真(芽依の手、温かくて小さかったなぁ)
涼真(頭もふわっとしたし)
涼真(俺はリードしたいし、頭ぽんぽんもしたい派)
涼真(でも、されるのも好きかも)
涼真(今日は特別な時間を過ごしたな)
涼真(ふふふ)

〇ベビーピンク

コメント

  • 花火と高まる気持ちがシンクロして、話の中にぐんぐん引き込まれていきました。リードされるのがってところから、えっ? 違う世界に? などと勝手に妄想族が発動。設定になんとなく親近感を感じました。

  • パピちゃんの功績により、無事二人が恋人同士になれてよかったです!最後の告白シーンで、いろんな人に注目されて、その場から抜け出す所がキュンときました!
    素敵なお話ありがとうございました!

  • パピちゃんが二人の仲を取り持ってくれたんですね。
    パピちゃんになってて、伝えたいのに伝えられない彼のもどかしさが、最後に爆発するところにキュンとなりました!

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