Episode3(脚本)
〇皇后の御殿
神聖王国兵1「お、おい、勝手に入るな!」
トビラが開くと、見知らぬ男が叫んだ。
町人1「頼む!! 助けてくれ!!」
警備兵に取り押さえられた男は、床に倒れ込んだ。
フィン・クラーク「何事ですか!?」
突然の出来事に困惑するフィン。
しかし、シノは迷うことなく男に近づいた。
フィン・クラーク「あ、ちょっとシノ!」
シノ・イリヤ「僕は大丈夫。離してあげて」
警備兵たちはためらいつつも、男の拘束を解いた。
シノ・イリヤ「ご主人、何があったのですか?」
町人1「──む、む!!!!」
フィン・クラーク(む?)
シノ・イリヤ「落ち着いて」
町人1「む、むす──」
町人1「娘が、オークの森に入っちまったんだ!!!!」
フィン・クラーク「オークの森に!? それは大変だ!!」
町人1「どうか、どうか娘を助けてくれ!!」
男は、シノに擦り寄るようにすがりついた。
神聖王国兵1「この、無礼者!!」
警備兵が男に向かって怒鳴り声を上げた。
神聖王国兵1「町人風情が!! 何様のつもりだ!!」
フィン・クラーク「カッチーン」
フィン・クラーク「お前こそ、町人風情とはな──」
フィンの言葉を遮るように風が吹いた。
フィン・クラーク(え?)
気づくと、警備兵の服が切り刻まれ下着姿になっていた。
シノ・イリヤ「出直して来い──」
穏やかなシノとは思えないほど、冷めた声だった。
シノ・イリヤ「兵が護るのは国だけではない」
シノ・イリヤ「──民を護れぬ者が軍服を着るな」
シノ・イリヤ「その考えを改めて来い」
警備兵は全身が震えていた。
神聖王国兵1「──は、はひ!!」
神聖王国兵1「もうすわけございまふぇん!!!!」
警備兵は、一目散に退散した。
ニール「じ──」
ニール「黙って見ていれば、なあに見惚れてんのよ!?」
フィン・クラーク(だって──)
フィン・クラーク(反則だよ、あんなの・・・・・・)
ニール「何度も言ってるでしょ?」
ニール「シノのカッコよさは格別なんだから!!」
シノ・イリヤ「いやいや、失礼──」
シノ・イリヤ「あ、そうそう、名乗り遅れました」
シノ・イリヤ「僕は神聖騎士団、 団長のシノ・イリヤです」
シノ・イリヤ「よろしくね」
町人1「あっ、えっと」
町人1「もちろん、知っています!!」
シノ・イリヤ「なんだ知ってたのか〜」
町人1「そりゃ、この国で知らない者はおりません」
シノ・イリヤ「え、そうなの? 有名人になった気分だ」
フィン・クラーク(シノ──護りたい)
ニール「やれやれ・・・・・・」
ニール「さ、急ぎましょう。初任務よフィン!!」
フィン・クラーク「うん!」
シノ・イリヤ「え、ダメ」
「えっ、」
シノ・イリヤ「ダメダメ、フィンを危険な目に合わせるとか絶対無理──」
シノ・イリヤ「想像しただけで無理!!」
シノ・イリヤ「うん、絶対なし、お留守番!!」
ニール(言うと思ってたわ)