第1話 風縛との出逢い(脚本)
〇近未来の病室
13年前
リヒトの父
『よく・・・よく頑張ったな』
リヒトの母
『うん・・・』
病院の先生
『元気な男の子ですよ』
病院の先生
『お名前は、もう決めているのですか?』
リヒトの父
『リヒト』
リヒトの母
『光・・・て意味です』
病院の先生
『リヒト・・・良い名前ですね』
リヒトの父
『リヒト・・・元気に育つんだぞ』
リヒトの母
『フフ・・・そうよ。元気に・・・』
〇病院の診察室
5年後・・・
リヒトの父
『嘘・・・ですよね?先生』
病院の先生
『いいえ、嘘ではないです。リヒトくんは・・・』
病院の先生
『魔力ゼロです』
リヒトの母
『そ・・・そんな』
リヒトの母は涙する
リヒトの父
『どうにかならないのですか?』
病院の先生
『こればかりは・・・私でも・・・どうにも・・・』
リヒトの父
『そう・・・ですか』
リヒトの父
『わかりました。何があっても私達夫婦が、リヒトを立派に育てます』
リヒトの母
『あなた・・・』
〇湖畔の自然公園
2年後
初等部生徒1
『やいお前』
リヒト
『な・・・何?』
初等部生徒1
『お前・・・魔力が無いんだってな』
リヒト
『そ・・・それが?』
初等部生徒1
『それが・・・てお前、それがどういう意味なのか、わかってないな?』
リヒト
『ど・・・どういう意味・・・て』
初等部生徒1
『無能だって事だよ!』
初等部生徒2
『そうだそうだ。お前は無能だ!』
〇おしゃれな居間
リヒトの母
『どうしたの?リヒト』
リヒト
『お母さん・・・。僕・・・今日も』
リヒトの母
『気にすることはありませんよ?』
リヒト
『え?』
リヒトの母
『確かに魔力が無いことは辛いかもしれません。』
リヒトの母
『ですが、くじけてはなりませんよ』
リヒトの母
『誰に何を言われようが、何かで思い返せば良いのです』
リヒト
『思い返す・・・。いったいどうやって・・・』
リヒトの母
『リヒト。貴方が得意なのは?』
リヒト
『ヴァイオリン』
リヒトの母
『そうです。貴方の演奏で相手を思い返させればいいのです』
リヒト
『・・・うん。僕、やってみるよ』
〇墓地
6年後
リヒト
『母さん。僕・・・』
リヒト
『母さんにアドバイスされた通り』
リヒト
『思い返させるようになったよ』
リヒト
『でも・・・』
リヒト
『本当はもっと、母さんに演奏を聴いてもらいたかったよ』
リヒト
『だけど・・・』
リヒト
『いつまでも悲しむのは辞めなさい・・・て』
リヒト
『母さんは言うよね』
リヒト
『だから観ていてください』
リヒト
『例え死別したとはいえ』
リヒト
『母さんとの思い出は、心の中にありますから』
〇結婚式場前の広場
リヒト
『よし・・・ここなら良いかな』
リヒトは気の向くままにヴァイオリンを弾く
リヒトの弾くヴァイオリンの音色は、行き交う人々の視線に留まり
瞬く間に大勢に囲まれた。
すると一人の女性の耳にも、その音色が届く
???
『ん?何かしら・・・人が大勢・・・』
???
『この音色は・・・』
???
『あの子が弾いている』
???
『え!?あれは・・・精霊?』
???
『あの子の演奏の音色に集まってきたのね』
精霊は常人では目視することが出来ない
しかし、彼女のような魔導士なら、目視する事が出来る
そして暫くして、リヒトは演奏を止めた
すると・・・
大歓声だった
街人1
『凄いぞボウズ!』
街の子供1
『お兄ちゃん、凄い!』
リヒト
『!?』
リヒトは恥ずかしくなったのか、走り去った
???
『あ!待って!』
リヒトの演奏を聴いていた彼女は、彼を追いかけた
〇西洋の街並み
リヒト
『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・』
???
『ま・・・待って・・・』
リヒト
『!?』
???
『はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・』
???
『や・・・やっと追いついた・・・』
リヒト
『だ・・・誰ですか!?・・・ストーカーですか!?』
???
『ち・・・違う。わ・・・私は・・・』
???
『ただ・・・貴方の演奏の音色について・・・聞きたくて・・・』
リヒト
『僕の・・・演奏の音色?』
???
『そう・・・貴方の演奏の音色』
???
『何か特別な演奏法なの?』
リヒト
『特別?』
リヒト
『いいえ、違います。普通に演奏しただけですが・・・』
???
『普通に演奏!?』
リヒト
『何故そんなに驚かれるのですか?』
???
『だってそんな・・・。あんなの魔法でない限り・・・』
リヒト
『魔法?』
リヒト
『僕・・・魔法なんて使ってませんよ』
リヒト
『それに僕・・・魔力ゼロですから、魔法・・・使えないですし・・・』
???
『魔力ゼロ!?』
リヒト
『はい。魔力ゼロですが・・・』
???
『ありえない。魔力ゼロなら、あんな芸当出来ないはず・・・』
???
『もしかしてこの子・・・』
彼女は何かを思いついたのか、リヒトに『ある提案』をする
???
『君・・・名前は?』
リヒト
『・・・先ずはそちらから名乗るべきでは?』
???
『おっと・・・これは失礼・・・』
アルカイド「私はアルカイド」
アルカイド「君は?」
リヒト
『僕はリヒト・モルゲンです』
アルカイド(リヒト・モルゲン・・・。朝の光・・・という意味だったかしら・・・)
リヒト
『あのぉ~、大丈夫ですか?急に黙り込んで』
アルカイド「あ!ごめん」
リヒト
『それで、僕に何か?』
アルカイド「君さえ良ければ・・・なんだけど」
リヒト
『はい』
アルカイド「『魔導協会』に来ない?」
リヒト
『魔導協会?』
次回に続く・・・


