HIMAHAN-Z(ヒマハンズ)

君乃世界

エピソード36(脚本)

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〇怪しい研究所

〇おしゃれな部屋
  継人が、青いラインの入ったヘッドギアとオレンジのラインの入ったヘッドギアをパソコンにつなげていじっている。
太田重雄「この192キロってのは何?」
  画面を指さす太田。
広川継人「僕のアバターの握力だよ」
太田重雄「そんなにあるの?」
広川継人「最大値まで上げてみたら192キロになったんだ」
広川継人「たぶん、人間のギネスレコードを上限に設定しているんだと思う。 あ、でもこのリミッター外せるね」
  カチャカチャと操作する。
広川継人「よし。これならもう誰にも負けないぞ。 重雄君のも改造してあげようか?」
太田重雄「僕はそんなに握力いらないよ」
太田重雄「あ、じゃあ、この62%っていうのは?」
広川継人「これは、製品版のHIMAHAN-Zのギアに備わってるメモリ使用量」
広川継人「おそらく、ここに人間の記憶が入ってるんだと思う」
太田重雄「変な感じ」
太田重雄「人の記憶がこんなちっぽけな機械に詰まってるなんて」
広川継人「重雄君のギアを調べさせてもらったおかげで、HIMAHAN-Zの仕組みを理解できたよ」
太田重雄「僕のギア?」
広川継人「そう。重雄君は記憶を抹消されたでしょ? その時のメモリ使用量の変化がヒントになったんだ」
太田重雄「どういうこと?」
広川継人「ふふ。知りたい?」
広川継人「まず、ギアを着けた瞬間に脳をスキャンして、ギア内のメモリに人の記憶がコピーされる。これを記憶Aとする」
広川継人「そして、HIMAHAN-Zにログインする」
広川継人「すると、ギアにコピーされた記憶AがHIMAHAN-Zのクラウドサーバーに更にコピーされるんだ。これを記憶‘Aとする」
太田重雄「えっと、クラウドサーバー・・・」
広川継人「ログインした時点では記憶A=記憶‘Aなんだけど、意識はリアルからバーチャルに移行するでしょ?」
太田重雄「う、うん・・・」
広川継人「意識は1つしかないものでコピーは不可能」
広川継人「だから、HIMAHAN-Z内で新しい情報を得る度に記憶‘Aの情報がアップデートされていく」
広川継人「ギアに残った記憶Aはそのままだから次第に記憶Aと記憶‘Aに乖離が生じていくんだ」
広川継人「そして、ログスポットでセーブされるたびに、記憶‘Aが記憶Aに上書きされていくってわけさ」
太田重雄「・・・な、なんだか、すごいね」
広川継人「β版にはこのギア内のメモリ自体が無いから、随時記憶は上書きされるってわけ」
太田重雄「へ、へえ・・・」
広川継人「でね、ここからがこのギアのすごい所なんだ」
広川継人「このギアのそれぞれがノードの役割を果たしていて、ブロックチェーンの技術を使って記憶の所有権を管理しているんだ」
広川継人「この仕組みであれば、全員が監視し合うから、例え悪意のある誰かが人の記憶を改ざんしようとしてもできない」
  ピンポーン♪
広川継人「誰か来た」
太田重雄「た、助かったー」
広川継人「ん?」

〇おしゃれな玄関
広川継人「クリスティーナ?」
真泉クリスティーナ「ケイトー!」
太田重雄「わわっ」
広川継人「ど、どうしたの?」
真泉クリスティーナ「もう。何で今朝、黙って帰っちゃうのよ」
広川継人「だって、気持ちよさそうに寝てたから。 きっと、疲れてただろうし」
真泉クリスティーナ「何言ってるの。私は平気よ」
広川継人「何しに来たの?」
真泉クリスティーナ「ふふ。 ケイトに必要なものを持ってきてあげたのよ」
広川継人「僕に必要なもの?」
真泉クリスティーナ「上がっていいかしら?」
太田重雄「あ、あのー」

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