エピソード37(脚本)
〇怪しい研究所
〇研究装置
大勢の開発者がパソコンのキーボードを叩いている。
真泉マリー「博人!」
広川博人「どうしたマリー。開発なら順調に──」
真泉マリー「急いで来て。緊急事態よ」
広川博人「?」
真泉マリー「あの方もすぐに来るわ」
広川博人「・・・・・・」
〇おしゃれな部屋
真泉クリスティーナ「はい。あーん♪」
ウィンナーを継人の口元に運ぶ。
広川継人「自分で食べれるよ!」
真泉クリスティーナ「もう、ケイトったら照れちゃって」
真泉クリスティーナ「私、初めてなのに頑張って作ったんだ から。 炊飯器と包丁を買うところから始めたのよ」
真泉クリスティーナ「これ、おにぎりって言うんでしょ? 日本の伝統だって言うから・・・」
一人で喋り続けるクリスティーナ。
太田重雄「ね、ねえケイト。クリスティーナと何かあったの?」
広川継人「う、うん。ちょっとね」
真泉クリスティーナ「ねえ。聞いてるの?」
広川継人「こんなことしてる場合じゃないよ!」
広川継人「こうしてる間にもみんなはゴウモアで戦ってるんだから」
広川継人「それにもうすぐガスピアで最終決戦だよ!」
ピピピッ
クリスティーナのスマートフォンが音を立てる。
真泉クリスティーナ「ケイト!」
ゴウモアはもうすぐ落ちる。俺たちはそのままガスピアへ向かう。お前たちは後から合流してくれ。ローレン
広川継人「行かなきゃ」
太田重雄「どこに?」
真泉クリスティーナ「HIMAHAN-Zよ」
太田重雄「今14時だよ? あっちは夜中のはずじゃ」
クリスティーナがバッグからギアを出す。
真泉クリスティーナ「これを使うといいわ。 今日、お姉様に会えるかもしれないでしょ?」
太田重雄「お姉さん?」
広川継人「でも、製品版じゃあ」
真泉クリスティーナ「あなたのお姉さんはHIMAHAN-Z内で7年間も記憶がアップデートされ続けているのよ」
真泉クリスティーナ「β版では同期時の脳への負担が大きすぎるわ」
真泉クリスティーナ「あっちでの7年間の記憶は失うけど、これしか方法はないわ」
広川継人「ありがとう。僕、病院に行かなきゃ」
太田重雄「え? 病院?」
真泉クリスティーナ「キュービアでギャロップ達が車を用意してくれるわ」
真泉クリスティーナ「17時に私の部屋で待ち合わせでいいかしら?」
広川継人「わかった」
太田重雄「ちょっと。何があったの?」
広川継人「重雄君。あとで全部説明するから!」
太田重雄「えっと・・・」
真泉クリスティーナ「そのお弁当、全部あげるわ」
太田重雄「・・・・・・」
〇総合病院
〇病院の待合室
広川継人「?」
テレビの前に人だかりができている。
テレビ画面には『HIMAHAN-Zで事故発生か?』とテロップが出ている。
テレビの中の女性が泣きながら答える。
セレブな女性「うちの明彦ちゃんがHIMAHAN-Zをやるって出て行ったきり帰ってこないの。 今日はあの子のお誕生日なのに」
ナレーター「同様のクレームが多発している模様です」
ナレーター「本件について、アメリカにあるHIMAHAN-Zの発売元、リアリティワールド株式会社に取材を行いました」
ナレーター「CEO真泉マリー氏のインタビューをご覧ください」
〇超高層ビル
ビルの玄関で、マリーが記者に囲まれている。
真泉マリー「HIMAHAN-Zに欠陥はございません」
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