球~行き着く先は、世界の端~

333×

40 業を背負い(脚本)

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〇闇の要塞
  焚き火のはぜる音に、甘い匂いが混ざる。
シャラ「食え」
  焼いた果物を差し出されても、ミムレットは顔を伏せたままだった。
ミムレット「いらない」
シャラ「いいから食え」
ミムレット「いらないって言ってるだろ!」
  ミムレットは、シャラに背を向けてうずくまった。
  焼いた果物を置いて、シャラは膝の砂を払った。
ミムレット「モンスターを倒しに行くのか?」
シャラ「おまえは火の番だ」
  荒野へ歩き出す足が、淀みなく砂地を踏みしめた。
シャラ「火を絶やすなよ」

〇魔界
  荒野にうごめくモンスター達。
モンスター「グオオオオ」
  手早くモンスターを狩り集めるシャラ。
  陣にかかったモンスターは、宝石に吸い込まれていった。
シャラ「外のモノと、内のモノを重ね合わせる、か」
  シャラは宝石をつまんで、服の隙間にねじ込んだ。
シャラ「宝石(こんなもの)など無くとも」
シャラ「モンスターを直接壁に叩き込めばいい」
シャラ「そうだろう?」
シャラ「ハラン」
  岩影から現れたハラン。
ハラン「そう上手く行くかな?」
シャラ「モンスターは外と内の混沌(こんとん)」
シャラ「元は外から来た人間であり、内の存在に変容したモノ」
シャラ「そのままで十分、楔になり得る」
ハラン「一体ずつでは、楔として弱い」
ハラン「だが、モンスターを宝石に集めれば、強力な楔となる」
ハラン「あの時、雪山でもそう説明したはず」
  シャラは大仰にため息をついて見せた。
シャラ「いいや、違うな」
シャラ「仮にも人間だったモノを──」
シャラ「壁にねじ込み、叩き潰す」
シャラ「そんな様を、小娘たちに見せたくない。 それだけだろ?」
  ハランはやんわりと口を開いた。
ハラン「確実に、一撃で決めたい」
ハラン「姉君達に気付かれる前に、破壊しなくては」
  シャラはふいとそっぽを向いた。
シャラ「もういい。そういう事にしてやる」
シャラ「そっちの小娘は?」
  そっちの小娘、ハパルム。
ハラン「安全な場所で寝ている」
ハラン「ミムレットは・・・」
シャラ「こちらは消化中だ。 壁の壊し方を話したからな」
ハラン「そうだろうな」
  ハランは眉を下げてわずかに目を細めた。
シャラ「で、わざわざ駆けつけてどうした?」
シャラ「心配なら、引き取って行け」
ハラン「心配はしていない。お前がついてるからな」
ハラン「これを渡しに来たんだ」
シャラ「これは・・・」
ハラン「これ以上離れると、おいそれと会いには来られない」
ハラン「ミムレットを頼む、シャラ」
シャラ「言われずとも、そのつもりだ」

〇闇の要塞
ミムレット「アタシ、どうすればいいんだ?」
  薪をくべる手が、静かに止まった。
ミムレット「答えを出してくれる人がいれば・・・」
  ミムレットの耳に、砂を噛む足音が聞こえた。
シャラ「正しさも間違いも、他人の言いなりになるか?」
  ミムレットは、背を向けたまま答えた。
ミムレット「だって、その方が楽だろ?」
ミムレット「なにも考えずに、答えがもらえるんだから」
ミムレット「でも、そこにアタシはいない」
  ミムレットは大きく伸びをすると、シャラに向き直った。
ミムレット「アタシはそんなのゴメンだ」
ミムレット「アタシはアタシの力で、自分を守るし、相手を守りたい」
  銀の髪をなびかせて、ミムレットは微笑んだ。
シャラ「やる気になったか、小娘」
ミムレット「やってやるさ、「球」を出るためなら」
ミムレット「やらなきゃならないことは、やる」
  ミムレットは、形見の指輪をそっと握りしめた。
ミムレット「アタシは誰かに責任を押し付けたりしない」
ミムレット「自分でやることは、自分が責任を持つ」
シャラ「責任を持つ?」
シャラ「責任を持てない事態になったら?」
ミムレット「それは・・・まだ分かんない」
ミムレット「けど、やりっぱなしにはしない」
ミムレット「じゃなきゃ、ハランに笑われちゃう」
シャラ「──フッ」
シャラ「じゃあこれは要らないな」
  シャラが差し出したのは、ガラスの容器に入った、焼き菓子だった。
ミムレット「焼き菓子!?」
ミムレット「なんで?どこから?」
  うろちょろするミムレットの口に、焼き菓子を放り込んだシャラ。
ミムレット「もがが」
シャラ「いいから食え」
シャラ「食ったら出発だ」
ミムレット「うん!」
  焼き菓子の容器を大事に抱えて、ミムレットは頬ずりした。
ミムレット「・・・ありがとな。ハラン、ハパルム」
ミムレット「あと・・・シャラも・・・」
シャラ「聞こえないぞ、小娘」
ミムレット「う、うるさいな!なんでもない!」

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