41 世界の端、「球」の壁(脚本)
〇魔界
黙々と荒野を歩く二人。
ミムレット「なあ、シャラ」
ミムレット「どこまで歩けばいいんだ?」
二人が目指すのは、荒野の果てにある「壁」
シャラ「もうボチボチだろう」
ミムレット「歩いてばっかりだし、モンスターばっかりだし」
ミムレット「ギャンっ」
突然弾かれたように、ミムレットが尻餅をついた。
ミムレット「な、なんだ?「壁」か?」
シャラ「いや、これは「壁」を守る障壁(しょうへき)だろう」
シャラ「こっちだ」
ミムレット「あ!おいっ」
〇岩山
シャラが導くままに岩山を越えていくと──
〇薄暗い谷底
荒野の果てに、断崖を縫う谷が現れた。
ミムレット「こんなところもあるのか、「球」の中は」
ミムレット「これも、誰かの思い出なのか?」
シャラ「防衛のためだ」
シャラ「我々みたいな輩(やから)が、球の端にたどり着かないように」
ミムレットは素早く目を配ると、シャラに向き直った。
ミムレット「でも、誰の気配もしないぞ?」
シャラ「一番の目的は、モンスターを寄せ付けないこと、だからな」
ミムレット「なんでだ?」
シャラは、懐から一粒の宝石を取り出した。
シャラ「モンスターを集めている目的を忘れたか?」
ミムレット「壁を壊すための、楔(くさび)を作る・・・だよな」
ミムレット「う~ん」
ミムレット「まかり間違って、モンスターが壁を壊さないように?とか?」
ミムレット「そもそもモンスターって、壁を壊せるのか?」
ミムレット「だったら、モンスターをいっぱい連れてきて、「壁」を壊させれば・・・?」
腕を組んで首を捻るミムレット。
シャラ「いっぱい連れてきて、壁を壊そうとしてるだろうが。行くぞ」
ミムレット「ああ──」
ミムレットは、踏み出そうとした足を止めた。
ミムレット(モンスターって、元々人間だよな?)
ミムレット(人間ってことは、外のモノってことで)
ミムレット(でも、今はモンスターになってるから内のモノになるのか?)
ミムレット「あっ」
ミムレットは、組み紐に下げた指輪をギュッと握りしめた。
ミムレット(ああ)
ミムレット(だから宝石に詰めたんだ)
ミムレット(アタシやハパルムが、見なくて済むように)
シャラ「小娘、置いていくぞ」
ミムレット「・・・うん、行くよ」
ミムレット「必ず付いていくから」
それから二人は三日三晩歩いた。
黙々と、粛々と、歩いていった。
谷には人もモンスターもいなかった。
だからただひたすら歩くのみだった。
やがてついに、谷が途切れた。
〇黒背景
〇海辺
微かな風に、潮騒が混じる。
ミムレット「海?」
ミムレット「──じゃなくて」
ミムレット「壁は?ないぞ?」
シャラ「・・・やられた」
額に手をやるシャラ。
海とシャラを交互に見比べるミムレット。
シャラ「壁はある。透明な壁がな」
シャラ「間違いなくここは「球」の端だ」
ミムレット「壁なんてどこにも──」
水平線の彼方を指さすシャラ。
ミムレット「まさか、海の先か?」
シャラはひとつため息をついた。
シャラ「前は干からびた陸地だったんだがな」
ミムレット「え、来たことあったのか」
シャラ「でなければ、対策の立てようもあるまい」
シャラ「しかしこれは・・・面倒だな」
ミムレット「泳げばいいだろ?」
シャラ「水の中に何が潜んでいるかも分からん」
シャラ「それに」
シャラ「ここは辺境警備の縄張りだ」
〇薄暗い谷底
シャラ「見つかると、厄介だぞ」
林(リン)「おやおや」
林(リン)「この気配、シャラ様と・・・」
林(リン)「はて、どこかでお会いしたような?」


