球~行き着く先は、世界の端~

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39 壁の壊し方(脚本)

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〇魔界
ミムレット「業(ごう)?」
シャラ「ハランは、話していなかったんだな」
シャラ「壁の壊し方を」
ミムレット「壊し方か?聞いてない」
  シャラは空を見上げて短く息を吐いた。
シャラ「小娘、おまえは守りたいか?守られたいか?どっちだ」
ミムレット「そりゃあ、守りたいさ。自分も他人も守れる方が、強いだろ?」
シャラ「強くなるのはおまえの意思か? 単に憧れか?」
ミムレット「なんだっていいだろ? アタシの意思だ!」
ミムレット「誰にも命令なんてされないし、させない」
シャラ「そうか」
  ミムレットの耳が、岩影に向いた。
モンスター「グオオオ」
シャラ「手を出すな。待機」
  シャラは刀も抜かず、ミムレットの前に出た。
ミムレット「おいっ危な──」
  よろけたモンスターの足元に、幾何学模様が浮かび上がった。
ミムレット「道・・・具?」
シャラ「そうだ。道具だ」
シャラ「私達がするのは、モンスター退治じゃない」
シャラ「狩りだ」

〇黒背景
  シャラは言う。この道具は「罠(わな)」だと。
  敵をおびき寄せ、または追い込み、そして
  陣に嵌(は)め、道具に吸い込む。

〇魔界
ミムレット「吸い込んで、どうする?」
シャラ「おまえはどうやって鈴蘭の道具から出た?」
  ミムレットは胸元の指輪をギュッと握りしめた。
ミムレット「アタシは、父さんの指輪と、ハランの組み紐で・・・」
ミムレット「おまえ・・・おまえは、どうする気だ? その宝石を」
  ミムレットの震える声は、答えを分かっていた。
シャラ「おまえと同じやり方だ」
シャラ「中のモノであるこの宝石に」
シャラ「外のモノであるモンスターを取り込んで」
シャラ「壁に打ち込む楔(くさび)にする」
  ミムレットは目を見開いた。

〇中東の街
  楔にする?
  ハパルムの兄さんと、同じような人を?
ハパーランチア「おいで、ハパルム」
ハパルム「お兄ちゃん!」
  かつて、誰かの大切な人だったモノを?
ハパルム「ミムレットもおいでよ」
ハパルム「スープを作ったよ!」
  もし、ハパルムがモンスターになったら?
  その時も、同じことができるのか?

〇魔界
  ミムレットは身震いした。地面が遠くなった気がして、思わずしゃがみこんだ。
ミムレット「アタシは、モンスターが憎い」
ミムレット「目一杯苦しんで最期を迎えればいいと思ってる。でも──」
  ハパルムの笑顔が、よぎった。
ミムレット「それは憎いやつだったら、の話だ」
  震える手で掴んだ地面が、まだらに濡れていった。
ミムレット「アタシは・・・誰かの大切だった人を、踏みにじりたい訳じゃない!」
  震えるミムレットの肩を叩き、シャラは歩き出した。
シャラ「泣こうが喚こうが、やることは変わらん」
シャラ「やりたくなければ、ただ付いて来い」
シャラ「来ないなら、置いていく」
ミムレット「無いのか?他の方法が」
ミムレット「アタシは・・・」
  呟きは荒野の風に溶けて消えた。

次のエピソード:40 業を背負い

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