5 永遠の命(脚本)
〇警察署の食堂
数時間後。昼休憩。
早乙女麻里奈「・・・はむ・・・」
早乙女麻里奈「・・・・・・まぁ、こんな物か・・・」
榊原勇斗「あれ?麻里奈も仕事終わってた?」
早乙女麻里奈「あ!勇斗お疲れ様!まぁそんな所・・・」
榊原勇斗「それ、美味いか?」
早乙女麻里奈「これね、勇斗が作った料理と比べれば天と地の差ね・・・」
早乙女麻里奈「ここの担当が勇斗だったら良かったのにって思うわ・・・」
榊原勇斗「い、いやいや!そんな事したら本命の仕事出来なくなるから!」
早乙女麻里奈「ふふ!流石に冗談よ!でも恋しくなったらお願いね?」
榊原勇斗「あぁ、勿論!」
早乙女麻里奈「えぇ・・・」
早乙女麻里奈「それはそうと、今日部長に抗議してた大男いたでしょ?勇斗は見てた?」
榊原勇斗「あぁ、見たよ・・・松浦教授から聞いたけど、かなり癖の強そうな感じだったよ・・・」
早乙女麻里奈「内にも色んな使用人がいるけど、あぁ言うタイプって本当にいるのね・・・」
早乙女麻里奈「あれ、何て言うんだっけ?ど・・・だったかず・・・っだったか・・・」
榊原勇斗「ああ、あれが世間一般で言うDQNだよ・・・俺もこう言う所に来て初めて見た・・・」
早乙女麻里奈「DQN!そうそれよ!忙しくて忘れてたわ!」
早乙女麻里奈「で、あいつは何を話してたんだっけ?」
榊原勇斗「あぁ、どう言うつもりか知らないけど、内で取り扱ってる物に武器を取り付けたり、」
榊原勇斗「瀕死の人間をサイボーグにするとかどうとかの話だったらしいよ・・・」
早乙女麻里奈「は?それ何て名前のSFドラマ?」
榊原勇斗「是非俺の方から聞きたいよ・・・」
厚亮「おいお前ら・・・」
「うげ!噂をすれば・・・」
厚亮「見慣れない顔だが、新入りか?」
榊原勇斗「は、はい!先日入社したての榊原勇斗と言います!」
早乙女麻里奈「同じく、新入りの早乙女麻里奈と申しますわ・・・」
厚亮「へぇ、内のお偉いさんはこんなチビやガリヒョロまで雇ってんのか・・・」
厚亮「人手不足が深刻化してるんだな・・・」
早乙女麻里奈「あ、あなた今何とおっしゃいまして!?チビ?チビですってぇ!?」
早乙女麻里奈「上等ですわ!その醜いゴリラ顔を原型が分からなくなる程にして差し上げますわ!!」
榊原勇斗「わ、わぁ!止めろ麻里奈!ここで喧嘩したら拙い!堪えろ堪えろ!」
早乙女麻里奈「勇斗!あなたは悔しく無いの!?こんな奴に言いたい放題言われて!!」
榊原勇斗「悔しいよ!でも本当に駄目だ!問題起こして部長に知られたら!」
早乙女麻里奈「・・・悔しいけどその通りね・・・」
厚亮「へ!自分の立場を理解してるのは感心だな・・・」
榊原勇斗「・・・当然です・・・俺は自分の夢を叶える為に来てますから・・・」
厚亮「は!増々感心だな!その心意気に免じて、俺の夢も教えてやる・・・」
榊原勇斗「夢?何です?」
厚亮「お前ら、永遠の命って信じてる口か?」
早乙女麻里奈「は?何を申しているのです?SFの次はファンタジーですか?」
厚亮「まぁ無理もねぇ・・・実際そんな物はフィクションでしか無いからな・・・」
厚亮「でももし、それが実現出来たらどう思うよ?人類の歴史が変わると思わないか?」
榊原勇斗「・・・いまいちピンと来ませんね・・・そんな夢の様な事を、」
榊原勇斗「実現出来る根拠でもあるのですか?」
厚亮「あるぜ!それがサイボーグだ!」
早乙女麻里奈「サイボーグ・・・ですか?」
厚亮「誰にだって感じた事はあるだろ?空腹にならない様にしたい・・・」
厚亮「幾らやっても疲れない身体にしたい・・・病気が怖い・・・」
厚亮「震災に出くわした時が怖いと・・・人間はそう言う見えない不安に」
厚亮「常に襲われている・・・でももし自分の身体が機械の身体だったらどうだ?」
榊原勇斗「・・・つまりあなたはこう言いたいんですよね?サイボーグになれば、」
榊原勇斗「空腹も疲労も感じないし、眠りも無しで仕事が出来て」
榊原勇斗「しかも補給はガソリンや電力に絞られて、より効率的に動ける様になると・・・」
厚亮「そうだ!食事も睡眠もせずに自分達のやりたい仕事が出来る!」
厚亮「現代社会に置いてこんな理想的な話は無いだろう!だから俺は!」
早乙女麻里奈「・・・お言葉ですが、それ生きてるって言うより、」
早乙女麻里奈「無理矢理生かされてる様にしか見えませんわ・・・」
厚亮「な、何だと!?」
榊原勇斗「俺も麻里奈の意見に賛成です・・・人間を無理矢理サイボーグにして、」
榊原勇斗「自分達のやりたい仕事を延々とやる・・・言葉だけなら確かに理想的です・・・」
榊原勇斗「ですが、世の中には自分はもう充分やったと思う人もいます・・・」
榊原勇斗「それを無理矢理生かすのは、その人に対する冒涜にもなります・・・」
榊原勇斗「賛否両論かもですが、誰彼構わずサイボーグにするのは」
榊原勇斗「その人の命や心、存在その物を否定する事になります・・・」
榊原勇斗「問題は言い出したら切りが無いのでこれ以上は言いませんが・・・」
厚亮「けっ!お前らも綺麗事か?死んだ先の世界がそんなに見たいか?」
厚亮「この世界で延々と生きてた方がずっと楽で良いと思うぜ?」
榊原勇斗「それ、俺の親が聞いたら何て言うでしょうね?」
厚亮「あん?」
榊原勇斗「・・・まぁ、あなたがどんな人かは分かりました・・・」
榊原勇斗「俺はもう行きます・・・」
早乙女麻里奈「あぁ!ちょっと勇斗!」
早乙女麻里奈「あ、あなた厚さんでしたわね?一つ忠告しますわ・・・」
早乙女麻里奈「あなたがどんな理想を掲げるかは勝手ですが、それで誰が傷付くか」
早乙女麻里奈「良くお考えになって下さい!」
厚亮「・・・・・・」
〇オフィスの廊下
早乙女麻里奈「勇斗!」
榊原勇斗「あ、麻里奈・・・」
早乙女麻里奈「えっと、その・・・大丈夫?」
榊原勇斗「俺は大丈夫だよ・・・気にし過ぎ・・・」
早乙女麻里奈「そ、そう・・・なら良いんだけど・・・」
榊原勇斗「あぁ・・・まぁ、厚さんの言う事も分かるっちゃ分かるんだよね・・・」
早乙女麻里奈「え?」
榊原勇斗「永遠の命・・・確かに誰もが憧れる夢だよ・・・」
榊原勇斗「でも仮にロボットになってずっと先も生きてるって、」
榊原勇斗「意味あるのかなって思うよ・・・俺はね・・・」
早乙女麻里奈「・・・・・・」
榊原勇斗「何より、その永遠の命が実現した後、死者を蘇らせるなんて話を持ち出されて、」
榊原勇斗「俺の親をロボットか何かで生き返らせるなんてされたらって考えたらさ・・・」
早乙女麻里奈「・・・確かに、それはその人への冒涜ね・・・」
早乙女麻里奈「とは言え、人様の事に現抜かしても仕方無いわね・・・」
榊原勇斗「あぁ、だから俺もやれる事やるよ・・・コンペ近いしね・・・」
早乙女麻里奈「えぇ!頑張りましょうね!」


