僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

【3期】ゾンビむすめ御魚奪取事件(脚本)

僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

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〇築地市場
ゾンビ「あう〜!」
漁港市場の店主「こらこら! そんなに袋に詰めて! お金は持っとるのか?」
ゾンビ「うー!」
漁港市場の店主「こりゃ大変じゃあ・・・!」
漁港市場の店主「これ! 待ちなさい!」
漁港市場の店主「アイタタタ・・・ 腰が・・・」

〇築地市場
漁港市場の店主「──という事があってのう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それは、大変でしたね・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「それで、ゾンビはどこに逃げたんだ?」
漁港市場の店主「海岸のほうへ逃げてったぞい」
漁港市場の店主「わしも追いかけたのじゃが、 なんせ年じゃからのう・・・アタタ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「海岸だな? 行くぞ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「失礼します! お身体、ご自愛くださいね・・・!」

〇海辺
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「この辺りだと思うが──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はぁ、はぁ・・・! 落ち着いてください・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺はガキでも容赦はしねぇぞ?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そいつがゾンビである限り、な」
樺島 ここね(かばしま ここね)「まさか子供も撃つの!? やめてよ! 大人げない!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・んだとぉ!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「誰か居る・・・!」
少年「目を開けてくれ!」
少年「頼むから・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おい! ゾンビから離れろ!」
少年「わっ、誰だよアンタ!?」
少年「警察・・・ゾンビ課?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そいつには窃盗の容疑が掛かっている!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「だから捕まえなきゃならねぇ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ちょっと待ってください! 明らかに倒れてるじゃないですか!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「起き上がって襲ってくる可能性もある」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺はゾンビに気を許すつもりは無ぇぞ!」
少年「なっ!?」
少年「何するつもりだ!」
少年「満琉(みちる)はオレの妹なんだ! 勝手な事させるかよ!」

〇地下の避難所

〇海辺
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ハァ・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「分かったよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ごめんね? 怖がらせるつもりはないんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「妹さん、大丈夫かい?」
少年「・・・身体は動いてるみたいッスから、 大丈夫だと思うんス」
少年「えっと、満琉は何かやらかしたんスか?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「その子・・・お店の魚を盗っちゃったの」
少年「そうッスか・・・ だから散らばってたんスね」
少年「オレの不注意ッス! 満琉から目を離しちまって・・・」
少年「見つけた時にはもう、 満琉が溺れていて・・・!」
少年「満琉・・・!」
ゾンビ「うあ〜?」
少年「良かった、目覚めて・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「無事だったみたい・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫だ・・・ゾンビでも子供だ・・・ いや子供でもゾンビ、か?(ぶつぶつ)」
樺島 ここね(かばしま ここね)「もう、お兄ちゃん! 相手は女の子よ! しっかりして!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あのね、その子に聞きたいの」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お魚を盗んだ理由を、ね」
少年「聞く? どうやって──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね・・・頼んだ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「もう・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うあ〜・・・うあ〜?」
ゾンビ「あう〜・・・あう〜!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「え・・・!?」
少年「あの子は一体・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここねはね、 ゾンビの言葉を理解できるんだよ」
少年「え、本当ッスか!?」
ゾンビ「あう〜!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「えっ、すご〜い! ほんとに!?」
少年「満琉のやつ、あんなに楽しそうに・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここねも、なんだか嬉しそうだ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん聞いて! 大ニュース!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「この島にラッコが住んでいるんだって!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんだって!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも、『エサをあげなきゃ』って・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『育てなきゃ』って・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・えっと、つまり? ラッコを飼っているのかい?」
少年「いえ、正確には『保護』していたんス」
少年「あの海岸の向こうの──」

〇海岸の岩場
海原 漣(うなばら れん)「──海蝕洞(かいしょくどう)で」

〇築地市場
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「砂を海水で洗い落としたはいいが・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「食材が台無しだぜ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「海原 漣(うなばら れん)くん。 ひとまず、魚屋さんに謝りに行こう」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「弁償は覚悟しておけよ?」
海原 漣(うなばら れん)「妹が迷惑かけて、 本当にスミマセンっした!」
海鮮料理屋の大将「やっぱり満琉だったか・・・」
海原 漣(うなばら れん)「オヤジ!? どうしてここに!?」
海鮮料理屋の大将「追加の仕入れに来とったんじゃい!」
海鮮料理屋の大将「窃盗ゾンビの話を聞いて、 ひょっとしたらと話しとったんだ!」
海鮮料理屋の大将「この、バカタレがっ!! 満琉をよく見とけって言っただろうが!!」
漁港市場の店主「大将の言った通りじゃったか! なるほど・・・確かに満琉ちゃんじゃ!」
漁港市場の店主「こっちもすまんかったのう・・・ 気づいとったら通報なんぞ、せんかったぞい」
海原 漣(うなばら れん)「おじちゃん、ゴメン! 妹が盗んだ魚、代わりに払うから・・・」
漁港市場の店主「もう弁償の事は気にせんでよいわい」
漁港市場の店主「お前さん達も大変じゃろうに・・・」
漁港市場の店主「病気とは聞いとったが・・・まさか、 そんな身体になってしもうたとはのう」
海鮮料理屋の大将「いやいや、とんでもない!」
海鮮料理屋の大将「いつもお世話になってるってのに、 せがれ達が粗相やって・・・面目ねえ!」
海原 漣(うなばら れん)「粗相(そそう)って・・・なに?」
海鮮料理屋の大将「お前の不注意の事だろうがっ! ! !」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「よし、終わったな! 帰るぞ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いいえ、まだ終われません! 特異行動の原因が分からないままですから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「満琉ちゃんが言ってたことも、気になるね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「面倒くせぇなあ・・・」
海鮮料理屋の大将「刑事さん達にも迷惑かけちまって、 本当に すまなかったなぁ」
海鮮料理屋の大将「そういやぁ、昼メシは食ってるのかい?」
海鮮料理屋の大将「お詫びと言っちゃあなんだが、 ウチで料理を振る舞わせてくれねぇか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そんな、悪いですよっ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「気持ちは ありがたいが・・・仕事中でね」
  ぐ
  ぅ
海鮮料理屋の大将「ハッハッハ! 嬢ちゃんは正直だなあ!」
海鮮料理屋の大将「それに・・・ アンタ達に お願いしたい事もあってな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それじゃあ、お話を聞きながらでも・・・」

〇寂れた旅館
  海鮮料理店
  〜 青海波-セイカイハ 〜

〇居酒屋のカウンター
樺島 ここね(かばしま ここね)「ん〜〜! おいひい〜!(美味しい)」
樺島 ここね(かばしま ここね)「このイカとエビのかき揚げ! プリップリでサックサクぅ〜!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「このマグロの照焼きステーキ美味いなあ! ご飯が止まらないぞ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ほう・・・真鯛の活け造りか ラプラプみてぇな魚だな」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「あー、酒飲みてぇ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「一応、仕事中ですので・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「わ、分かってらあ!」
海鮮料理屋の大将「ウチの酒、お持ち帰り用も販売しているよ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「お! 大将、気が利くねぇ!」
「ごちそうさまでした!!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「また寄らせてもらおうかな」
海鮮料理屋の大将「気に入ってくれたようで嬉しいねぇ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも、本当にタダで良いんですか?」
海鮮料理屋の大将「心配無用よぉ! ウチの料理の味を覚えてくれたら何よりだ!」
海鮮料理屋の大将「アンタ達なら満琉を任せられるって思えば、 安いモンさ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それって、どういう・・・」
海鮮料理屋の大将「娘を・・・ ゾンビ地区へ連れてっちゃあくれねぇか?」
海原 漣(うなばら れん)「なんだって!?」
海原 漣(うなばら れん)「オヤジ正気かよ!?」
海鮮料理屋の大将「至って大真面目だ」
海鮮料理屋の大将「漣よ・・・ よもや"約束"を忘れた訳じゃあ無ぇよな?」
海原 漣(うなばら れん)「・・・もし満琉が警察沙汰になるような 迷惑行為を行なった場合は──」
海原 漣(うなばら れん)「ゾンビ地区へ送る・・・」
海鮮料理屋の大将「今回の騒動で分かっただろう?」
海鮮料理屋の大将「もう──満琉とは暮らせんのだ、と」
海原 漣(うなばら れん)「だからって・・・そんな、実の娘だろ!?」
海原 漣(うなばら れん)「これまでも何とかやって来たじゃないか!」
海鮮料理屋の大将「もう決めた事だ、腹くくれぃ!」
海原 漣(うなばら れん)「オヤジの・・・分からず屋ッ! !」
海鮮料理屋の大将「分かっとらんのは、お前だろうがっ! !」
海鮮料理屋の大将「毎度毎度、食材を無駄にしおって! 俺が知らねぇとでも思ったか!?」
海鮮料理屋の大将「満琉の機嫌を取る為だろうが、 勝手に店の仕入れに手ェ出しやがって・・・」
海鮮料理屋の大将「お前は俺の店を潰す気かっ! !」
海原 漣(うなばら れん)「もういい・・・! !」
海鮮料理屋の大将「どこへ行く気だ!」
海原 漣(うなばら れん)「知るかよ! !」
海鮮料理屋の大将「こら待たんか! !」
海鮮料理屋の大将「・・・全く」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あの・・・満琉ちゃんの事、 考え直していただけませんか?」
海鮮料理屋の大将「嬢ちゃん・・・しかしだなぁ」
海鮮料理屋の大将「食材を扱っている以上、 品質を下げるワケにゃあいかねぇ」
海鮮料理屋の大将「飲食業とは、 お客さんに料理を提供する商売だ」
海鮮料理屋の大将「今のご時世、"ゾンビが触った食品"も 扱ってるだなんて思われた日にゃあ──」
海鮮料理屋の大将「店の存続の危機になっちまうんだよ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも・・・! 満琉ちゃんが可哀想です!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕からもお願いします まだ根本的な事が解決できてないんです」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「俺からすりゃあ、 もう解決したようなモンだが──」
「尾ヶ崎さん! !     まだだよ! !」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ハイハイ、分かりましたよ・・・ったく」
海鮮料理屋の大将「どういう事だい?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「満琉ちゃんの・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「気持ちが大切なんだと思うんです」

〇海辺
樺島 ここね(かばしま ここね)「ここに居たんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「探したよ? 君のお父さんも心配してたんだから」
海原 漣(うなばら れん)「はは、オヤジが心配だなんて 明日は雨が降りそうッスね」
海原 漣(うなばら れん)「海蝕洞を眺めていたんス」

〇海岸の岩場
海原 漣(うなばら れん)「3年前・・・」
海原 漣(うなばら れん)「あの洞窟の奥を、秘密の隠れ家にしてたんス」
海原 漣(うなばら れん)「オレと満琉で──」

〇海岸の岩場
海原 満琉(うなばら みちる)「にぃにぃ! たいへんだよ!」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「どーした満琉? おたから見つけたかあ?」
海原 満琉(うなばら みちる)「この子、ケガしてるよ! 助けなきゃ!」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「オイオイ・・・ウソだろ? ラッコじゃねぇか!」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「いいか? このことはオレとお前だけのヒミツな?」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「コイツが元気になるまで、 オレたちで育てるぞ!」
海原 満琉(うなばら みちる)「わかった!」
海原 満琉(うなばら みちる)「でもこの子のエサ、どうしよう・・・」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「ははっ! オヤジの店なんだから、 エサなんていくらでもあるだろ!」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「売りもんにならねー、魚のアラとかさ!」

〇幻想2
海原 満琉(うなばら みちる)「たくさん食べて〜♪ ケガを治して〜♪」
海原 満琉(うなばら みちる)「元気いっぱいになってね♪」

〇海辺
樺島 一心(かばしま いっしん)「食材の件・・・その頃からだったんだ」
海原 漣(うなばら れん)「いやあ、ラッコが良くなるまでの間だと 思ってたんスけどね」
海原 漣(うなばら れん)「でも、ある時・・・ オレが熱を出してしまって──」

〇田舎の一人部屋
3年前の海原 漣(うなばら れん)「あ〜、こんな時に限って・・・」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「ラッコ、ハラ空かせてんだろうなあ〜」
3年前の海原 漣(うなばら れん)「満琉・・・? トイレか?」
海原 漣(うなばら れん)「けれど、満琉は戻って来なかったんス」
海原 漣(うなばら れん)「その翌日、オレとオヤジで探し回って・・・」

〇海辺
  満
  琉
  は
  見
  つ
  か
  っ
  た
ゾンビ「あ〜・・・」
  ゾ
  ン
  ビ
  と
  し
  て

〇海辺
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・どうして、 ゾンビになっちゃったんだろう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「3年前だから・・・多分、 まだワクチンが行き届いてなかったんだよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「きっと、野良ゾンビと遭遇して 噛まれてしまったんだ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そんな・・・!」
海原 漣(うなばら れん)「当時・・・オレもオヤジも泣きわめいたし、 何より悔しかったッス」
海原 漣(うなばら れん)「オレが熱で寝込んでなかったら・・・ 家族みんなワクチンを打っていたら・・・」
海原 漣(うなばら れん)「ラッコに出会わなかったら・・・って、 ずっと後悔してたッス」
海原 漣(うなばら れん)「でも、受け入れるしかなかった」
海原 漣(うなばら れん)「ゾンビになっても、 満琉は家族なんだ・・・って」
海原 漣(うなばら れん)「お二人にお会いして・・・より強く、 そう思うようになったッス!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「漣さん・・・!」
海原 漣(うなばら れん)「満琉は・・・ ラッコに会いたがっているんスよね?」
海原 漣(うなばら れん)「お願い、してもいいッスか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もちろん! その為のゾンビ課だから!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・良いですよね? 快晴(かいせい)さん!」
海原 快晴(うなばら かいせい)「・・・漣、お前って奴は」
海原 快晴(うなばら かいせい)「嬢ちゃんを通じて、聞かせてもらったぞ」
海原 快晴(うなばら かいせい)「満琉の想いをよぉ!」
海原 漣(うなばら れん)「オヤジ・・・今なんて?」
海原 快晴(うなばら かいせい)「全く、兄妹そろって親に隠し事とはなあ!」
海原 快晴(うなばら かいせい)「しかもラッコをかくまっていただと? 流石の俺も腰が抜けるかと思ったぞ!」
海原 快晴(うなばら かいせい)「もう──居ねえモンだと思っていたんだがな」
海原 漣(うなばら れん)「本当なんだ! オレと満琉は あの海蝕洞でラッコを・・・!」
ゾンビ「うー!」
海原 漣(うなばら れん)「満琉・・・それは?」
漁港市場の店主「エサじゃよ! レン坊!」
海原 漣(うなばら れん)「おじちゃんまで!?」
漁港市場の店主「ラッコなんざ、子供の頃以来かのう!」
漁港市場の店主「昔は島のあちこちに居たもんじゃい!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そんなに居たのかよ!?」
漁港市場の店主「なんじゃ? てっきり知っとるモンだと思ったぞい」
漁港市場の店主「この島── 汐多大島(しおた おおしま)はのう・・・」
漁港市場の店主「ラッコの名前が由来なんじゃよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「名前・・・しおた・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「──ああ、そういう事か」
樺島 一心(かばしま いっしん)「わかったんですか!?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「『Sea otter』・・・ 英語で『ラッコ』を意味するんだぜ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なるほど・・・! それで『汐多-しおた』ですね!」
漁港市場の店主「『オッターが おったー!』 なんて、よく言ったモンじゃよ!」
海原 快晴(うなばら かいせい)「『そりゃカワウソだろ〜』って、 ガキの頃にダチと漫才したっけなあ・・・」
漁港市場の店主「『漫才し〜おった〜!』 ・・・なんちゃってのう!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「誰か止めてくれ・・・ダジャレ合戦を」

〇海岸の岩場
漁港市場の店主「それじゃあ、 気をつけて帰って来るんじゃぞ」
海原 快晴(うなばら かいせい)「何かあれば、ウチに連絡してくれよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ご協力、ありがとうございました!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いよいよだな・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ラッコに・・・会えるんだね!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「でもよ、居なかったらどうするんだ?」
海原 漣(うなばら れん)「その時は、その時で考えるッス」
海原 漣(うなばら れん)「奥まで行けば、 満琉が何か思い出すかもしれないッスから」
海原 漣(うなばら れん)「・・・あれが、入り口ッス」

〇洞窟の入口(看板無し)
海原 漣(うなばら れん)「いつもなら、海に浸かって入れないんス」
海原 漣(うなばら れん)「けれど今日は大潮(おおしお)! しかもこの時間、一番潮が引いているッス!」
海原 漣(うなばら れん)「行くなら今しかないって事ッスよ・・・!」

〇海岸の岩場
ゾンビ「あう〜!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「長ぐつなら大丈夫だね!」
海原 漣(うなばら れん)「えっと、刑事さんの妹さんは、 何とお呼びすればいいッスか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「『樺島さん』でいいと思うよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ただし・・・『ここね』とか 『ちゃん』付けは、まだ認めないからね?」
海原 漣(うなばら れん)「わ、わかりましたッス・・・?」
海原 漣(うなばら れん)「か、樺島さん! ちょっとお願いしたいことがあるッス」
樺島 ここね(かばしま ここね)「はい・・・?」
海原 漣(うなばら れん)「あの・・・満琉に──」
海原 漣(うなばら れん)「『にぃにぃが、おんぶして進むから』 ・・・って伝えてほしいッス」
海原 漣(うなばら れん)「海水で濡れないようにしたいッスから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・うん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「よしよし・・・まあ、いいだろう」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「妹離れ、したらどうだ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん、これは兄としての務めなのです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼が ここねのボーイフレンドに 相応しいかどうか・・・見定めているのです」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なんだそりゃ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「では、僕達も行きましょう」

〇岩の洞窟
  汐 多 海 蝕 洞
  〜 シオタ カイショクドウ 〜

〇黒
満琉(ゾンビ)「うー」
海原 漣(うなばら れん)「どうした満琉?」
海原 漣(うなばら れん)「にぃにぃが会わせてやるからな!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「思ったより暗いな・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、見て!」

〇岩の洞窟
樺島 一心(かばしま いっしん)「壁が光っている・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「キレイ・・・!」
海原 漣(うなばら れん)「ああ、これはシーグラスや貝がらッス! 綺麗ッスよね!」
海原 漣(うなばら れん)「昔、オレと満琉で壁一面に飾ってたんスよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「オシャレ〜♪ 楽しそう!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「へえ〜! 本格的だなあ!」
満琉(ゾンビ)「あうー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『なつかしい』って、言ってるよ!」
海原 漣(うなばら れん)「満琉・・・!」
海原 漣(うなばら れん)「思い出してくれてるんだな!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「漣さんと満琉ちゃんって・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ここね達に似てるね!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ああ・・・本当に」
樺島 一心(かばしま いっしん)「妹想いの兄貴って感じだな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さんも、そう思いませんか?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「チッ・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・さっさと行こうぜ 水位が上がる前に、な」
樺島 一心(かばしま いっしん)「確かに・・・ 帰る時の事も考えないとですね」
樺島 ここね(かばしま ここね)「急がなきゃ・・・!」

〇黒
海原 漣(うなばら れん)「しっかり掴まってろよ・・・!」
海原 漣(うなばら れん)「ふぅ」
海原 漣(うなばら れん)「皆さん! ココ、足場が悪いので気をつけるッス!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「この水溜まり、少し深いな・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたしも跳び越えちゃお!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お先に〜♪」
樺島 一心(かばしま いっしん)「こら、危ないぞ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「へーきだって!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「これくらい跳べるんだから・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね──ッ!?」
「イテテ・・・   アイタタ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わあっ!? お兄ちゃん大丈夫!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ケガは・・・無いか?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「少し水に濡れたけど、平気──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「くっ、足が・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「見せてみろ・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「あ〜、こりゃ捻挫(ねんざ)だな? 変に捻っただろ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「すみません・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね、すまないが先に行っててくれるか?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたしを庇っちゃったせいで・・・ごめんね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫、後で追うから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも・・・お兄ちゃんが居ないと」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・漣くんは、苦手かい?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そういうわけじゃ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「信じてみようよ。あの二人の絆を」
樺島 一心(かばしま いっしん)「通訳、頼んだぞ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わかった・・・!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも絶対、追いついてね!」

〇岩の洞窟
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「立てるか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ありがとうございます・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「お互い、ビッショビショだな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さんも転んだのですか?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ハァ・・・海水を見てみろ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう満ち始めてる・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「オイオイ・・・ 服濡らして気づかなかったのかよ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ほら、行くぞ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お世話かけます・・・イテテ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「世話の焼ける・・・」

〇黒

〇岩の洞窟
樺島 一心(かばしま いっしん)「今の・・・って」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「マジ・・・かよ」

〇山中の滝

〇小さい滝
  〜 海 蝕 洞 最 深 部 〜
海原 漣(うなばら れん)「やっと着いたあ〜!」
ゾンビ「あ〜う〜!」
海原 漣(うなばら れん)「うわあ、懐かしい! ほとんど変わってないなあ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あの、満琉ちゃんが・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『また来れて嬉しい』って、言ってる」
海原 漣(うなばら れん)「そっか・・・!」
ゾンビ「あうーーー!!」
海原 漣(うなばら れん)「あんなに、はしゃいで・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『ラッコ〜!』・・・だって!」
ゾンビ「あう〜! あう〜!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「それにしても、凄くキレイなところだね」
海原 漣(うなばら れん)「本当かい? そう言われると、なんだか誇らしいよ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも不思議・・・ 川の水が流れてるだなんて」
海原 漣(うなばら れん)「島の山と繋がっているからね」
海原 漣(うなばら れん)「きっとここは、 川と海の境界線みたいな場所なんだよ」
海原 漣(うなばら れん)「あの滝・・・」
海原 漣(うなばら れん)「ああ、ちょっと思い出してさ」
海原 漣(うなばら れん)「前は背が小さくて届かなかったけど・・・」
海原 漣(うなばら れん)「今なら登れそうだな──って」
ゾンビ「あうー!? あーうー!?」
ゾンビ「あー! うーうー! !」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ずっと、ラッコを呼び続けてる・・・」
海原 漣(うなばら れん)「オレ達も探そう!」
ゾンビ「あーーうーー! !」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ごめんね・・・満琉ちゃん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「せっかく、ここまで来たのに・・・ 思い出してくれたのに・・・!」
海原 漣(うなばら れん)「頼む・・・なんでも良い!」
海原 漣(うなばら れん)「ラッコが居た形跡でも見つかれば・・・」
海原 漣(うなばら れん)「これは──間違いない!」
海原 漣(うなばら れん)「『食べ残し』だ・・・ラッコの!」
「待て待て待て待て待てぇーーー! ! !」

〇白

〇小さい滝
「居たあーーーーーっ! !」
ゾンビ「あうーーーーー! !」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ぜぇ、ぜぇ・・・ なんて素早いヤツなんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「待ってくださいよ・・・ 僕、ケガしてるんですから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!」
海原 漣(うなばら れん)「全員、合流できたッスね!」

〇白

〇小さい滝
樺島 ここね(かばしま ここね)「わあ! そうやって食べるんだ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「カワイイなあ〜!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ラッコって、賢いんだなあ!」
ゾンビ「う〜!」
海原 漣(うなばら れん)「ケガも治ってて、元気そうだな!」
海原 漣(うなばら れん)「・・・樺島さん」
海原 漣(うなばら れん)「満琉に、こう伝えてくれる?」
海原 漣(うなばら れん)「『ラッコは大丈夫。 ちゃんと自分でエサを獲って育ってるから』」
海原 漣(うなばら れん)「『もう、安心だ』って」
樺島 ここね(かばしま ここね)「・・・わかった」
ゾンビ「あうう〜!(元気でね!)」

〇山中の滝
海原 漣(うなばら れん)「満琉、良かったな!」
ゾンビ「うーうー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「『これからは、手ぶらでココに来れるね!』 ・・・だって!」
海原 漣(うなばら れん)「それはそれで心配だなあ・・・」
海原 漣(うなばら れん)「また海に溺れてしまいそうだよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「妹を心配する気持ち、分かるなあ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「だがなあ・・・ 溺れる度に呼ばれるのはゴメンだぜ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうですよね・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何か良い方法があればいいんですが・・・」

〇ショーの水槽
  1ヶ月後
  〜 汐 多 水 族 館 〜
樺島 ここね(かばしま ここね)「きゃー♡ カワイイ〜! !」
樺島 一心(かばしま いっしん)「海蝕洞に居たラッコ、元気そうだなあ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「元々居るラッコとも息が合ってるし、 相性が良いのかも!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「漣さんも満琉ちゃんも嬉しそう!」
海原 満琉(うなばら みちる)「あう〜♪」
樺島 ここね(かばしま ここね)「メイクして大正解だね♪」
樺島 一心(かばしま いっしん)「さすが円谷さんの発明だな!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・ここね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・友だちが出来て、良かったな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「なにか言った? お兄ちゃん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いや、なんでもないよ」
水族館スタッフ「さあて! 次にエサやりしたい人、いるかなー?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わたし、やりたーい!」
海原 漣(うなばら れん)「楽しかったな!」
海原 満琉(うなばら みちる)「うー!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「満琉ちゃ〜ん!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あう〜!(バトンタッチ!)」
樺島 一心(かばしま いっしん)「事件を解決する事で 絆も広まっていく・・・か」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん、早くこっちに来てよ〜!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「今行く!」
  〜 ゾンビむすめ御魚奪取 事件 〜
  
  完

次のエピソード:【3期】星の架け橋・迷子事件

コメント

  • 青梨さん作の親父さん、咲良綾さんのゾンビちゃんの立ち絵。
    PeriTune様の神秘的なBGMでとてもほっこりしました。😊

    暗い洞窟を黒背景で巧みに表現。ふじのきぃさんの十八番ですな。

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