14 良くある話その8(後編)(脚本)
〇事務所
早川育男「成る程、そう言う事だったか・・・」
浮島史郎「そうなんです・・・ヒーローショーに参加する筈だった声優の方が、」
浮島史郎「今日になって風邪を引いてしまい来れなくなってしまったのです・・・」
早川光子「あぁ、でも代わりの方がいらしたりは?」
浮島史郎「本番は今日なので・・・今から捜しても間に合いません・・・」
浮島史郎「かと言って中止にする訳にも・・・」
早川育男「そうかそうか!あんちゃんの言いたい事は良く分かった!」
早川育男「楽しみにしてる子供もいるだろうし、何としてもやりたいよな!」
浮島史郎「は、はい・・・ですが、今から代理を探すにも・・・」
早川育男「あんちゃん!それ俺にやらせて貰えるか?」
浮島史郎「え、えぇ!?しかし!今日あったばかりなのに!」
早川育男「何言ってんだよ!こんなチャンス滅多に無いだろ!?」
早川育男「これを逃したら俺も絶対後悔するし、」
早川育男「あんちゃんも皆をガッカリさせたく無いだろ?」
浮島史郎「・・・!!確かにそうですが・・・」
早川育男「固いのも細かい事も無しだ!出来る限りやるから頼むよ!な?」
浮島史郎「・・・・・・」
浮島史郎「・・・・・・」
浮島史郎「分かりました!あなたのその熱意、買わせて頂きます!」
早川育男「おっし!そう来なくちゃな!」
早川光子「い、育男さん!本番は今日なのよ!いきなりそんな事して大丈夫なの!?」
早川育男「心配し過ぎだぜ光子!ここは俺に任せて・・・って、」
早川育男「げほっ!ごほっ!」
浮島史郎「あ、あれ!?育男さん大丈夫ですか!?」
早川育男「あ〜悪い悪い!ちょっと咽ただけだ!」
早川光子「育男さん!やっぱり無理しない方が!」
早川育男「大丈夫大丈夫!あんちゃん!早く俺に台本くれよ!」
浮島史郎「あぁ!分かりました!育男さんに頼みたい役は・・・」
〇大きな公園のステージ
数時間後。
浮島史郎「皆様、お待たせ致しました!たった今より、ヒーローショーを開催致します!」
浮島史郎「本番中はお静かに、カメラ等での撮影はご遠慮下さい!それではスタートです!」
ケーキマン(育男)「くははは!久々に下界に降りたが、こんなに沢山の生贄に在りつけるとはな!」
ケーキマン(育男)「冥王様への献上品に皆連れてってやろうか!」
「そうはさせるか!」
ケーキマン(育男)「な、何者だ!?」
ナツレッド「ナツレッド!」
ナツブルー「ナツブルー!」
ナツイエロー「ナツイエロー!」
「全ての悪を焼き尽くす!真夏戦隊ナツレンジャー!出動!!」
ケーキマン(育男)「んな!お前達はナツレンジャー!!また俺様の邪魔をしに来たか!!」
ナツブルー「貴様の悪事もここまでだ!」
ナツイエロー「地球に生きる全ての命を、お前なんかに渡しはしないわ!」
ナツレッド「絶対にお前を倒してやる!行くぞ!」
ケーキマン(育男)「生意気な!今日こそお前達をギタギタにしてやる!!」
ケーキマン(育男)「小癪な!これでどうだ!」
ナツレッド「何!?」
「う、うわあぁぁぁぁ!!!」
ケーキマン(育男)「はははは!お前ら如き敵では無い!今度こそお前達の最後だ!ナツレンジャー!」
ナツブルー「くう!このままでは!」
ナツイエロー「でも、負ける訳には行かないわ!」
ナツレッド「2人共!こうなったらあれで行くしか無い!俺の肩に手を!」
ナツブルー「そうだな!それしか方法は無い!」
ナツイエロー「皆を守る為に!やりましょう!」
ナツレッド「はあぁぁぁ!!!フルパワーナックルぅ!!!」
ケーキマン(育男)「な、何!?」
ケーキマン(育男)「う、うわあぁぁぁぁ!!!」
ナツレッド「て、手強かった・・・俺達の誰かが欠けた状態だったら負けていた・・・」
ナツブルー「あぁ、でもこれで、仲間と協力する事の大切さが改めて分かったな・・・」
ナツイエロー「そうね・・・この出来事を糧に、私達は強くなって行けそうよ!」
浮島史郎「正義の味方ナツレンジャーのお陰で、ケーキマンの悪行は阻止されました!」
浮島史郎「これからも、彼らの活躍に乞うご期待!」
浮島史郎「お客様へ!これよりナツレンジャーとの握手会を開始致しますので、」
浮島史郎「順番を守ってお並び下さいませ!」
〇事務所
早川育男「あ〜負けた負けた!もう清々しい程の負けっぷりだったな俺!」
早川光子「お疲れ様育男さん!もう無理は厳禁よ?」
早川育男「何言ってんだ!俺はまだまだやれるぜ!」
浮島史郎「育男さん!今日は本当にありがとうございました!育男さんのお陰で、」
浮島史郎「無事にショーを開演する事が出来ました!」
早川育男「へへ!この位朝飯前よ!ケーキマンっつったか?中々面白い悪役だったぜ!」
浮島史郎「はい!真夏戦隊ナツレンジャー、子供内で凄く人気でして、」
浮島史郎「ケーキマンは今の所皆勤賞の悪役幹部ですからね・・・」
浮島史郎「ケーキマンの声当て、本当にありがとうございます!」
早川育男「へぇ、そんな良い役をやらせて貰えるとは思わなかったが、中々面白かったぜ!」
浮島史郎「育男さんには感謝してもし切れません・・・これ、今回のお礼になります・・・」
浮島史郎「どうぞ受け取って下さい・・・」
早川育男「ん?こいつは?」
浮島史郎「本日分のギャラになります・・・本当は来る予定の方にお渡しする筈でしたが、」
浮島史郎「今回のお礼も兼ねて、是非受け取って欲しいのです・・・額は少なめですが・・・」
早川育男「何だ・・・んなもん要らねぇよ・・・」
浮島史郎「えぇ!?そんな!折角頑張って頂いたのに!?」
早川光子「育男さん、良いの?何もして無い私が言うのも難だけど、」
早川光子「折角だから受け取ったら?」
早川育男「おいおい、俺がいつ金欲しいからやらせてくれなんて言ったよ?」
早川育男「俺はやりたいからやっただけだぜ?」
浮島史郎「えぇ、しかし、それでは・・・」
早川育男「俺の事は気にするな!先の無い老いぼれを気にするより、」
早川育男「あぁ言うのに嵌ってる子供達に夢を与えてやる事を考えた方が有意義だろ?」
浮島史郎「え?育男さん、今何と?」
早川育男「俺の事は気にしなくて良い!あんちゃん、これからも子供に沢山の夢」
早川育男「与えてやってくれよ!じゃあ、そろそろ行くぜ!」
早川光子「あぁ!育男さん!」
〇遊園地の広場
早川光子「育男さん、本当にこれで良かったの?貰ってれば、もっと楽しい事が沢山・・・」
早川育男「おいおい、まだ気にしてんのか?んなもん無くたって楽しめるもんは」
早川育男「楽しめるだろ?」
早川光子「まぁ、そうだけど・・・」
早川育男「別に俺はデカい事がしたい訳じゃねぇ・・・楽しみたいと思った事を」
早川育男「楽しみたいだけなんだ・・・そりゃ金はあるに越した事は無いけどよ・・・」
早川育男「もう俺は俺のやりたい様にやりたいんだよ・・・」
早川光子「育男さん・・・」
早川育男「ま!俺が良いって言ったんだからこれで良いんだ!それよりも、」
早川育男「いつまでもこんな辛気臭い話しても仕方ねぇ!ここを出たらカラオケ行こうぜ!」
早川光子「・・・そう、そうよね・・・そう言うのは、もう自分で決めれば良いわよね・・・」
早川育男「へへ!そう言うこった!行こうぜ!」
早川光子「・・・はい・・・」
良くある話、何だかんだ楽しんだもん勝ち。


