球~行き着く先は、世界の端~

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29 迎撃(脚本)

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〇後宮の庭
シャラ「どうした?鈍ったか?」
  ハランは剣を構え直した。
ハラン「そう焦るな」
シャラ「無理だな」
シャラ「お前のタガが外れる時を」
シャラ「どれほど待ちわびたと思う?」

〇御殿の廊下
鈴蘭(リンラン)「馬鹿みたいに暴れるじゃないか」
鈴蘭(リンラン)「まったく」
ミムレット「あんなハラン、初めて見た・・・」
  窓の隙間から二人の戦いを見ていたミムレットが、耳を後ろに倒した。
鈴蘭(リンラン)「そりゃあ、弟子の前じゃねぇ」
ハパルム「友人です!」
鈴蘭(リンラン)「友人でも、さ」
鈴蘭(リンラン)「ハランは滅多に激情を見せない」
鈴蘭(リンラン)「己を律することを、骨身に刻んでいるのさ」
鈴蘭(リンラン)「誇っていいよ、あんた達」
  鈴蘭は、目を細めた。
  ミムレットとハパルムを交互に見やって、ふっと息を吐いた。
鈴蘭(リンラン)「妬けるねぇ」
  小首をかしげる二人へ、鈴蘭は続けた。
鈴蘭(リンラン)「それほど、あんた達が大事なのさ。ハランは」
  穏やかな語り口に、ミムレットとハパルムは顔を見合わせた。
ハパルム「大事?」
ミムレット「そ、そんなことより、止めるぞ! 話もできないし」
ハパルム「そうだね!」
ハパルム「とにかく、私達が無事だって伝えて──」
ハパルム「むむ無理かも知れないぃ」
ミムレット「近付ける気がしないぞ」
鈴蘭(リンラン)「お嬢さん方」
鈴蘭(リンラン)「良い手がないなら」
鈴蘭(リンラン)「一つ頼まれておくれ」

〇中華風の通り
  鈴蘭は言った。
鈴蘭(リンラン)「荒野のモンスターが街中へ侵入してきている」
鈴蘭(リンラン)「二人には、モンスターの殲滅(せんめつ)をお願いしたい」

〇中華風の城下町
ハパルム「居た!」
ハパルム「せぃや!」
ミムレット「ヴヴヴゥ!」
ミムレット「このくらい、楽勝だ」
ハパルム「荒野だと急に出て来るもんね」
ミムレット「居ると分かれば、あたし達の敵じゃない」
  ミムレットの耳が、一方向へ向く。
ミムレット「次はあっちか」

〇中華風の通り
  ミムレットとハパルムは、己の武器を駆使して、モンスターを蹴散らしていった。
ハパルム「ふぅ」
ハパルム「街の中なのに、こんなにモンスターが居るなんて」
ミムレット「確かに多いよな」
ミムレット「これも、「綻(ほころ)び」ってやつなのか?」
  ハパルムはハンマーを握りしめて、視線を落とした。
ハパルム「こんなに、モンスターになった人がいるなんて・・・」
ミムレット「そうだな」
ミムレット「倒しても倒しても、溢れてくる」
ハパルム「どうして、モンスターがいっぱいになっちゃったんだろうね?」
ミムレット「分からない。でも──」
ミムレット「何が理由でも」
ミムレット「襲いかかってくるなら、迎え撃つまでだ」
  ハパルムはハンマーを持ち直して、顔を上げた。
ハパルム「・・・行こう。まだ物音がする」
ミムレット「ああ」

〇太子妃の御殿
  モンスターは泡のように分裂し、地面へと溶けて消えた。
ミムレット「あらかた片付いたか?」
ハパルム「これで最後だよ」
ミムレット「よし、あいつ(鈴蘭)の所に戻って──」
  その時、地面から光の束が立ち上がった。
ミムレット「シャァア!!」
ハパルム「ピャー・・・」
  ミムレットが威嚇し、ハパルムが腰を抜かす間も、光の束は数を増していった。
  光の束はやがて、集まり、線を描き出した。

〇黒背景
  やがて、街を取り囲んだ光の線は、複雑な紋様を浮かび上がらせた。
  鈴蘭の国では、この光の囲いをこう呼ぶ。
  『陣』と。

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