球~行き着く先は、世界の端~

333×

28 撃滅のシャラ、雷霆ハラン(脚本)

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〇黒背景

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ミムレット「ミギャァァア!!」
ハパルム「ピャァァアア!!」

〇太子妃の御殿
ミムレット「イテッ」
ハパルム「・・・で、出られたんです?」
  耳をそばだてて、周囲の様子をうかがう二人。
  どうやら、吸い込まれる前の場所のようだ。
ミムレット「指輪は?」
  地面にきらりと光る物が転がっていた。
ミムレット(まだ「球」の中だから、持ち出せたのか?)
  拾い上げた指輪を、組み紐と共に胸元へ納めたミムレット。
ミムレット「もう少しだけ、一緒だな」
ハパルム「あ!あの人」
  鈴蘭が笑顔で手招きしている。
鈴蘭(リンラン)「お嬢さんたち、こちらへおいで」
鈴蘭(リンラン)「危ないよ」
ミムレット「何を言って──」

〇太子妃の御殿
  ただならぬ気配がした。雷鳴が轟き、辺りに暗雲が立ち込めていた。
ハパルム「髪がピリピリする」
ミムレット「遠くで、なにか聞こえる」
ハパルム「金属がぶつかるような・・・」
鈴蘭(リンラン)「こっちへ」
  鈴蘭はミムレットとハパルムの襟首を掴むと、建物の影へ引きずり込んだ。

〇御殿の廊下
ミムレット「離せ!」
  ミムレットの爪はしかし、鈴蘭に掠りもしなかった。
ミムレット(どうして、届いたはずなのに)
  距離を取って牙を見せるミムレット。
ミムレット「お前は何だ!」
ミムレット「どうしてアタシ達を閉じ込めた?」
鈴蘭(リンラン)「・・・後で詳しく話すよ。 私の事、ハランの事、そして──」
鈴蘭(リンラン)「この「球」の事も」
ハパルム「ハランさんを知ってるの?」
鈴蘭(リンラン)「外をご覧」

〇後宮の庭
  凄まじい速さで白刃が閃き、刃が噛み合う音が響き渡る。

〇御殿の廊下
ハパルム「ハランさん!」
ミムレット「何でシャラと戦ってるんだ?」
  遠くから伝播する烈々たる気合いに、耳を伏せるミムレットとハパルム。
鈴蘭(リンラン)「シャラが、あんた方を盾にしたろ?」
鈴蘭(リンラン)「それでハランが怒ったのさ」
ハパルム「あなたの道具に、吸い込まれた時?」
ハパルム「確かに盾にされたけど・・・」
  ハパルムが小さく牙を剥いた。
ハパルム「そ、そもそも道具なんて使わなければ 良かったでしょ?!」
ミムレット「もとはといえばアンタのせいだろ」
ミムレット「なのに、えらく他人事だな?」
  鈴蘭は朗らかに笑って見せた。
鈴蘭(リンラン)「閉じ込めたことについては詫びるよ」
鈴蘭(リンラン)「しかし、他にどうしろと?」
ハパルム「えっ」
鈴蘭(リンラン)「私には、あんた方が「敵か、味方か」なんて分かりゃしない」
鈴蘭(リンラン)「そんな状況で──」
鈴蘭(リンラン)「こちらが優位なうちに、手を打って何が悪い?」
  低めた声に気圧されて、ハパルムの耳が後ろへと下がった。
ハパルム「て、敵意なんてない!」
鈴蘭(リンラン)「信じろと?」
  沈黙の中、雷鳴だけが静かに鳴り響いた。
ミムレット「悪かった」
  沈黙を破ったのは、ミムレットだった。
ハパルム「ミムレット?」
ミムレット「あんたの縄張りに、勝手に入り込んだんだ」
ミムレット「無礼は詫びる」
ハパルム「そう・・・ですね」
ハパルム「無闇に街へ入ってごめんなさい」
ハパルム「ただ本当に、敵対したい訳じゃないんです」
鈴蘭(リンラン)「・・・ふふっ」
  鈴蘭は、二人の謝罪を聞いて、穏やかな笑みを漏らした。
鈴蘭(リンラン)「試すようなことをして悪かったよ」
鈴蘭(リンラン)「悪気がなかったことは分かっている」
鈴蘭(リンラン)「こちらもやり過ぎたし」
鈴蘭(リンラン)「道具の件は許しておくれ」
  鈴蘭は手を組むと、礼をとった。
ハパルム「信じてくれるんですか?」
鈴蘭(リンラン)「うん」
鈴蘭(リンラン)「あの沈着なハランが、あれほど怒るんだ」
鈴蘭(リンラン)「あんた方は、ハランの大事な連れで間違いないんだろう」
  遠くから響く轟音に、ミムレットもハパルムも飛び上がった。
ミムレット「ハランとシャラか」
鈴蘭(リンラン)「そうだよ」
鈴蘭(リンラン)「・・・さて、ここからが問題だ」
鈴蘭(リンラン)「あの二人をどうやって止める?」
ハパルム「止めるって、あの二人を?」
鈴蘭(リンラン)「そう。あの気性の激しい「二人」を」
ミムレット「二人?」
ミムレット「ハランは激しい・・・か?」
ハパルム「ハランさんは強いですけど・・・静かな方ですよ?」
鈴蘭(リンラン)「おや?知らなかったのかい?」
鈴蘭(リンラン)「あの子らの二つ名」
鈴蘭(リンラン)「──撃滅(げきめつ)のシャラと」
鈴蘭(リンラン)「雷霆(らいてい)ハランを」

〇後宮の庭
ハラン「ふふっ」
ハラン「ふははっ」
シャラ「そうだ!それでこそお前だ!」
  剣を交えるハランの顔には、笑みがたたえられていた。
シャラ「いい顔だ、ハラン!」
シャラ「おんなじだよ、私もお前も」
シャラ「今、この時の仕合が楽しくて仕方ない!」
ハラン「ああ、そうかもしれない」
ハラン「ふふっ」
ハラン「ふははっ」

次のエピソード:29 迎撃

コメント

  • 物語も佳境ですね⁉
    東洋風の背景もいいですね😃
    二つ名もかっこいいです!
    熱戦バトルが楽しみです😁

  • シャラと戦うハランの顔、今まで見た顔の中で1番の笑顔ですね……。

    リンランの道具から脱出出来たミムレットとハパルムは、どうするのか。

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