球~行き着く先は、世界の端~

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23 彼の街(かのまち)(脚本)

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〇中華風の城下町
姉君「行ってらっしゃい」
  はい、行って参ります
姉君「たまには手紙を寄越(よこ)すのですよ?」
  文字は苦手です
姉君「人を率いるならば、そうも行きません」
姉君「武芸と共に、精進なさい」
  はい、師姉
姉君「それと」
姉君「いつでも帰ってきなさいね」
姉君「ここは貴女の故郷なのだから」

〇中華風の通り
ハラン「故郷・・・」
ハラン「故郷、か」

〇御殿の廊下
ハラン「やはり、避けては通れないな」
  記憶の中の姉君は、優しく微笑んだ。
  「球」を壊すにしても
  決着は、つけねばなるまい
ハラン「ふふっ」
ハラン「剣を振って、叩き壊して」
ハラン「それだけで済めば、楽なのにな」

〇中華風の城下町
  見慣れない建物に、目を見張るハパルム。
ハパルム「ここが目指していた街、ですか? ハランさん」
ハラン「・・・そうだよ」
  微笑んでは、いるけれど
  楽しそうでも、嬉しそうでもない、
  吐息に押し出された言葉。
  ハッとして、ハパルムは耳を伏せた。
ハパルム「あの、ハランさん」
ハパルム「もしかして」
ハパルム「来たくなかったんじゃ──」
ミムレット「お、変な建物だな!」
  ミムレットが、二人の間をすり抜けた。
ハパルム「た、確かに面白い形ですけど」
ミムレット「なあなあ、あっちを見に行ってみよう」
ハパルム「あ、ええ?」
ハパルム「引っ張らないで、ミムレット」
ハラン「・・・・・・」
  ハランは、顔に微笑みを残したまま、二人の背を見送った。
???「気を遣われたな」
シャラ「気配を悟られるなんて、らしくない」
ハラン「ふっ」
ハラン「ミムレットは、心の機微に敏感だ」
ハラン「ハパルムも」
ハラン「だから、どうしたってバレるさ」
シャラ「郷愁か。いや、哀愁か?」
ハラン「さてね。少しだけ──」
ハラン「一人で居たいだけさ」
シャラ「どうでも良いが、約束は忘れるな?」
ハラン「分かっている」
シャラ「ならば、良い」

〇中華風の通り
  軒下には、これまた知らない食べ物が並ぶ。
ミムレット「うん、うまい!」
ハパルム「勝手に食べちゃだめだよ!」
ミムレット「ん?」
ミムレット「ハランのくれた組み紐に似てる」
ハパルム「ほんとだ」
  ミムレットとハパルムは、ハランがくれた組み紐を取り出して、見比べた。
  背後に気配を感じて、ミムレットは話しかけながら振り向いた。
ミムレット「なあなあ、ここはハランの「故郷の街」なのか?」
シャラ「そうとも言えるな」
  現れたシャラに、二人同時に跳び上がった。
  その様子を見て、シャラは遠慮無く笑った。
ハパルム「ビックリしたぁ」
ミムレット「ハランかと思っただろ!?」
ミムレット「なんでお前なんだよ!」
ハパルム「は、ハランさんは?」
  シャラは、指を指した。
シャラ「組み紐が、なんだって?」
  ミムレットは、組み紐に通した指輪を、指に握り込めた。
ミムレット「ふん!お前に答えられるのか?」
シャラ「さあ?聞かないとなんとも?」
  唸り声をあげるミムレットに、シャラは肩をすくめて見せた。
シャラ「で、何を聞きたい」
ミムレット「・・・その、球で拾ったモノって」
ミムレット「外に持っていけるのかな・・・って」
ハパルム「言われてみれば、確かに」
ハパルム「「球」のモノって、外に持っていけるの?」
シャラ「そのハランの組み紐か?」
ミムレット「他にも色々だ」
  シャラは僅かに上を向いて、言葉を探した。
シャラ「そうだな・・・」
シャラ「その組み紐が「外から持ち込んだもの」なら」
シャラ「持って出られるだろう」
ミムレット「外から持ち込んだもの・・・」
ハパルム「現実にあったモノって、こと?」
シャラ「そうだ」
ハパルム「じゃあ、「球」の中で拾ったハンマーは?」
シャラ「「球」の中で生成されたものは、持ち出せないだろう」
ミムレット「夢幻(ゆめまぼろし)ってやつか」
ミムレット「でも、そっか」
  ミムレットは、手のひらでそっと指輪を転がした。
ミムレット「指輪は無くなっても、組み紐は残るのか」
ハパルム「ミムレット・・・」
  ミムレットは、大事に組み紐を握りしめた。
シャラ「行くぞ」
ミムレット「あ、待てよ!」
ハパルム「あ!ねえ、ハランさんは?」

〇太子妃の御殿
  シャラの先導で、大きな屋敷の前に着いたミムレットとハパルム。
ミムレット「広いな~」
ミムレット「ん?」
ハパルム「人の気配がするね」
???「シャラ?」
???「シャラじゃないか」
???「奇遇だねえ」
  女性が気さくに話しかけてきた。
  シャラは辺りを見渡してから、女性に向き合った。
シャラ「なんだ」
シャラ「鈴蘭(リンラン)か」
  何だと言われても、女性はおおらかに笑った。
鈴蘭(リンラン)「あら、私じゃ不満?」
  鈴蘭(リンラン)と呼ばれた女性は、いたずらっぽく口を尖らせて見せた。
鈴蘭(リンラン)「まあでも、私じゃなくて」
鈴蘭(リンラン)「「姉君」の方が、良かったかしらね」

次のエピソード:24 収監

コメント

  • 新たなキャラも登場して
    さらに深い内容が語られるのか?
    球の謎やら、因縁やら…、町のことやら、
    どんな方向に向かうのか楽しみです😃

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