球~行き着く先は、世界の端~

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15 とまどい。そして寒波(脚本)

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〇魔界
  遠くで、道具が壊れる感覚がした。
ハラン「壊されたか」
ハラン「足止めにもならないとは」
ハラン「流石だよ、シャラ」
  独りごちて、僅かに視線を落とした。
ハラン「──さて、どうするかな」
ハパルム「ミムレット~避けて~」

〇魔界
  荒野には、湧き出すようにモンスターが現れる。
  故に、荒野を渡る際は
  モンスターを蹴散らす力が必要である。
ハパルム「えぇいやっ!!」
ハパルム「よしっ」
  背後をとられたハパルム。
ミムレット「シャァァア!!」
ハパルム「ありがとう、ミムレット」
ハパルム「危ないっ」
ハラン「退け」
  倒れたモンスターは、泡のように地面に消えていった。
  瞬く間にモンスターを地に沈めたハランは、剣を鞘へと納めた。
ハラン「片付いたな」
  ハランが周囲を見渡すと、不機嫌な尻尾が目に入った。
ミムレット「横槍だぞ、ハラン!」
ミムレット「アタシだけで倒せたっ」
  ハンマーをヒョイと担いで、ハパルムが合流した。
ハパルム「助かりました!」
ミムレット「ハパルムも!アタシだけで十分だったのに」
ハパルム「まあまあ」
  間に入ったハパルムへ、ハランは静かに声をかけた。
ハラン「ハパルム」
ハラン「モンスターの相手は、辛くないか?」
  その言葉に、ミムレットの方がキュッと耳を下げた。
  ハパルムには、兄がいた。
  しかし・・・
  その兄はモンスターになって、死んだ。

〇中東の街
  知らなかったとはいえ
  ミムレットが、モンスター化したハパルムの兄を、その手にかけたのだった。

〇魔界
  今日倒したモンスターは、昨日愛されていた人かもしれない。
  それでも荒野を行く限りは、襲いかかってくるモンスターを、倒さねばならない。
ミムレット(なんだ?このモヤモヤは)
ハパルム「モンスター化したら、元には戻らない ・・・んですよね?」
ハラン「ああ」
ハラン「モンスター化は不可逆だ。 元に戻りはしない」
ハパルム「だったら、倒します」
  ハランを真っ直ぐに見つめて、言い切った。
ハパルム「ハパーランチアもそう。優しいお兄ちゃんだったけど」
ハパルム「ハランさんや、ミムレットにとっては・・・私にとっても、兄はモンスターでした」
ハパルム「今倒したモンスターと、変わりません」
ハパルム「襲い来るなら、戦います」
ミムレット「ハパルム」
ハパルム「ありがとう、ハランさん」
ハパルム「ミムレットも」
  礼を述べたハパルムを横目で見やると、ミムレットは口を尖らせた。
ミムレット「別に・・・アタシは、ハランに文句を言いたかっただけで」
  ハランは顎に手を当てると、ゆらゆら揺れる尻尾に微笑みかけた。
ハラン「横取りしたのは悪かった」
ハラン「だが、この辺りはモンスターが多いようだ」
ハラン「早めにどこか、街を見つけよう」
ミムレット「街ったって──」
ミムレット「うぉ?」

〇魔界
ミムレット「うわっ」
  白い塊が、凍える風に運ばれて、チラチラと舞い始めた。
ハパルム「雪だ!」
ハパルム「荒野って、雪も降るんですね」
ハパルム「あ、見て、ミムレット!」
  ハパルムが空を指差した。

〇空
  見上げた空には、赤や青のオーロラがゆらゆらと折り重なっていた。

〇魔界
ハラン「・・・・・・」
  ハランはじっと地面を見つめていた。
ハパルム「ハランさん?」
ミムレット「もう!」
ミムレット「こっちに来い、ハラン」
ミムレット「砂嵐の時みたいに、はぐれるなよ」
ハラン「・・・・・・」
ミムレット「どうした?ハラン」
ハパルム「ま、まさか」
ハパルム「あの光のうねうね(オーロラ)は何かの予兆、とか?」
ハラン「・・・・・・」
  ハランは、しばしの間を置いて、吐いた白い息に一言だけ添えた。
ハラン「さ、寒い」
「えっ」

次のエピソード:16 償いの行方

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