僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

【3期】ゾンビ籠城事件(脚本)

僕と半分ゾンビな妹は対話でゾンビを理解する。

薊未ヨクト(あざみよくと)

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〇大企業のオフィスビル

〇廊下のT字路
ゾンビ「あー・・・ああー・・・」
会社員「きゃあ! ゾンビよ!」
ゾンビ「あああー!」

〇基地の廊下
ゾンビ「ううー・・・」
警備員「そ、そこのゾンビ、何している・・・!」
警備員「ビルから、で、出ていけ!」

〇大きい交差点
樺島 一心(かばしま いっしん)「──という通報で来ましたが・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「どこにもいねぇじゃねーか!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう少し、この辺りを捜索してみましょう」

〇開けた交差点
樺島 ここね(かばしま ここね)「それにしても、なんで会社で走りまわっていたんだろうね?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「出勤しているつもりだった、とか」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「社畜だったんじゃねぇの?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「恨みを晴しに、騒ぎを起こしやがったんだ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビはそんなことしないもん!」
???「父さん、お腹ペコペコだね」

〇川に架かる橋
上室 明(かみむろ あきら)「今日の晩ご飯、なんだろ?」
父親「・・・・・・」
上室 明(かみむろ あきら)「足、まだ痛いの?」
上室 明(かみむろ あきら)「引きずってるし、フラフラしてる」
父親「・・・・・・」
上室 明(かみむろ あきら)「運動会の親子リレーの練習、はりきりすぎるからだよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お父さん無口だけど、仲が良さそうな親子だね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ああ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「すみません、ちょっと伺いたいのですが──」
上室 明(かみむろ あきら)「おじさん、誰?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「おじ・・・さん・・・!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お、お兄ちゃんはおじさんじゃないもん!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「はあ、どいていろ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビ課のもんだ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「この付近で、ゾンビを見なかったか?」
上室 明(かみむろ あきら)「ゾンビ? あっちに行ったよ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「本当か!?」
上室 明(かみむろ あきら)「早く追いかけないと、いなくなっちゃうかも」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「よし、急ぐぞ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「待ってください、尾ヶ崎さん!」
父親「ううぅ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「え?」
上室 明(かみむろ あきら)「早く行こ、父さん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「どうした? ここね」
樺島 ここね(かばしま ここね)「今のお父さん、ゾンビだよ・・・!」

〇通学路
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「本当にゾンビだったのか?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「間違いないよ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「”一緒に帰らないと”って、いってたもん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「暗いし、前髪で顔を隠していて、気づかなかったな」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「あのガキ、オレに嘘ついて誤魔化そうとしやがったのか・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あ、あのアパートに入りました」

〇白いアパート

〇アパートの玄関前
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「どうする? 踏みこむか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いえ、ゾンビも落ちついたようですし、明日出直して──」
隣人「うわっ、ビックリした!」
隣人「そんなところでたむろって、何してるの?」
隣人「あ、もしかして、明くんのガールフレンド?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「えっと・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「違います!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ課ですが、明くんはお隣りの少年ですか?」
隣人「え、ええ、そうよ」
隣人「かわいそうに、最近お母さんが事故で亡くなっちゃって」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そんな・・・」
隣人「今は、お父さんと二人暮らしなのよ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「お父さんって、あのゾンビと二人で!?」
隣人「ゾンビじゃなくて、人間のはずよ。 明くんがいっていたもの」
隣人「出張が多いらしくて、ここ数年見かけないけど・・・」
隣人「もういい? 仕事行かないと」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ありがとうございました」

〇白いアパート
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おいおい、あのガキ・・・どんだけ嘘ついているんだ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「悲しいことに、家族がゾンビになったというと、世間体が悪いと考える人はいます」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もしかしたら、お母さんが口止めしていたのかもしれません」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「だが、その母親もいなくなった──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・帰る」
樺島 一心(かばしま いっしん)「え?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「どうせ、ゾンビを処分する気はないんだろ?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なら、オレがここにいてもしょうがねぇ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん!?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「何あれ!? 勝手すぎ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ああ、ごめん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「元気ないね? どうしたの?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「やっぱり、今すぐあの子に話を聞こう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もし、本当にゾンビと二人暮らしなら、保護しないと」
樺島 ここね(かばしま ここね)「それって、お父さんはどうなるの?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あの子に他の親族がいなければ、児童養護施設に行くしかなくなる」
樺島 一心(かばしま いっしん)「さすがに、ゾンビは連れていけない」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お父さんと、お別れしなきゃいけないってこと・・・?」

〇古いアパートの部屋
樺島 一心(かばしま いっしん)「明くん、ちょっといいかな?」
上室 明(かみむろ あきら)「この声、さっきのゾンビ課のヤツ・・・!」

〇アパートの玄関前
上室 明(かみむろ あきら)「誰もいませーん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「いるじゃん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「明くん、お父さんのことで話があるんだ」
上室 明(かみむろ あきら)「父さんは人間だから、ゾンビ課に用はない!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「籠城するつもりか・・・」

〇古いアパートの部屋
樺島 一心(かばしま いっしん)「明くん、お母さんが亡くなったそうだね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「食事とか大変じゃないか?」
上室 明(かみむろ あきら)「別に! 料理だってできるし、もともと他の家事もやってたし!」
上室 明(かみむろ あきら)「なんにも困ってない!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「親戚の人は? 誰か頼れる人はいないの?」
上室 明(かみむろ あきら)「そんなのいない!」
上室 明(かみむろ あきら)「・・・母さんと父さん、カケオチしたんだって」
上室 明(かみむろ あきら)「本当は施設に行かなきゃいけないのは、知ってるよ」
上室 明(かみむろ あきら)「でも・・・父さんと離れたくない!」
ゾンビ「うああ〜?」

〇アパートの玄関前
上室 明(かみむろ あきら)「もう帰ってよ!」
上室 明(かみむろ あきら)「絶対、こっから出ないから!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「なんとかならないの? お兄ちゃん」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ここねたちと違って、お父さんがいるのに・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「一緒に暮らせないなんて、かわいそうだよ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・まずはあの子を保護するのが先決だ」

〇白いアパート

〇車内
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね、寝てていいんだからな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ううん、起きているよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あの子、放っておけないもん」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あ! ドアが・・・!」

〇アパートの玄関前
ゾンビ「うう・・・」

〇車内
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビが出てきた!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まさか、また特異行動を・・・!」

〇アパートの玄関前
樺島 一心(かばしま いっしん)「さっきまで治まっていたのに、どうして・・・」
ゾンビ「ああぅ・・・」
ゾンビ「ああー・・・あぁ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うう・・・ひっく・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね!? どうしたんだ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何かつらいなら、やめても──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ううん、これはここねが伝えないといけないから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ああう・・・うううー・・・」
ゾンビ「うう?」
ゾンビ「ああー・・・ああ・・・」
ゾンビ「あ"あ"ー! あ"あ"ー!」
上室 明(かみむろ あきら)「父さん!」
上室 明(かみむろ あきら)「どうしたの? なんで泣いているの・・・?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お母さんが亡くなったことを、伝えたの」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お父さん、ずっとお母さんを探していたから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「今も・・・あ、明くんが寝たから・・・お母さんを探しに出てきたんだよ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ぐすっ・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね、よく頑張ったな」
上室 明(かみむろ あきら)「父さん・・・だ、大丈夫だよ」
上室 明(かみむろ あきら)「オレはいるから! 絶対離れないから!」
ゾンビ「うううー・・・」
上室 明(かみむろ あきら)「・・・父さんが母さんを探しているのは、わかっていた」

〇大企業のオフィスビル
上室 明(かみむろ あきら)「だから、今日も母さんの会社まで探しにいった」

〇高層ビルのエントランス
上室 明(かみむろ あきら)「父さんがゾンビになる前──」
上室 明(かみむろ あきら)「よく一緒に母さんの会社まで迎えにいってたから」

〇アパートの玄関前
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうか、通報があったのはお母さんが働いていた会社だったのか」
上室 明(かみむろ あきら)「でも、母さんのことがわかったんなら、これからは大丈夫だよ!」
上室 明(かみむろ あきら)「もう誰にも迷惑かけないから!」
上室 明(かみむろ あきら)「離れ離れになりたくない・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「明くん・・・」

〇白いアパート
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おっ、ちょうど部屋から出てきたな」

〇アパートの玄関前
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん!」
上室 明(かみむろ あきら)「オレを連れていく気!?」
上室 明(かみむろ あきら)「イヤだよ! 絶対行かない!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「バーカ、よく見てみろ」
上室 明(かみむろ あきら)「・・・誰?」
祖父「お前が明か?」
祖母「あの子に似て、可愛い子ですね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「お前のじいちゃんとばあちゃんだ」
上室 明(かみむろ あきら)「嘘だ! 連絡先だってわからなかったのに・・・」
祖父「ああ、息子たちとはずっと連絡がつかなかった」
祖母「だから、まさかゾンビになっていたなんて・・・」
祖父「・・・うちに来い」
上室 明(かみむろ あきら)「え?」
祖父「田舎で、部屋は余っているからな」
祖父「二人まとめて、面倒みてやる」
上室 明(かみむろ あきら)「でも・・・」
祖母「いらっしゃい、明ちゃん」
上室 明(かみむろ あきら)「うん・・・!」
上室 明(かみむろ あきら)「父さん、これからもずっと一緒だよ」
ゾンビ「うう!」

〇白いアパート
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん、助かりました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あのタイミングで帰ったから、何か考えはあるのかもとは思っていましたが」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そうだったの!? いってよ、お兄ちゃん!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「うるせぇ! 考えなんてねぇよ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「たまたま戸籍を調べていたら、たまたまウナギが食いたくなって──」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「たまたま静岡まで行ったら、たまたま見つけただけだ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ふっ、すごい偶然ですね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「とっとと帰るぞ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「素直じゃないんだから」

次のエピソード:【3期】ブルーアイズ抱擁事件

コメント

  • ゾンビの父親と離れ離れになりたくない明くん。
    ルイの計らいで親族に保護されて良かった。😌

    次回が3期ラスト。楽しみにしてます!

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